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令和6年第1回定例会 市長提案理由説明について


令和6年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2024年3月7日更新)

 令和6年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました令和6年度当初予算及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

 

はじめに

 令和4年4月に市民の皆様から2期目の市政運営の負託を受け、早くも任期の折り返しを迎えようとしております。
 市長就任当初から、揺らぐことのない私の市政運営の原点は「子どもたちへの強い思い」であります。
 何よりも子どもたちの輝く笑顔が見たいという強い信念をもって、安全で快適に学習できる教育環境の整備に力を入れてまいりました。
 また、この思いを実現するためには、財源の確保が不可欠となります ので、本市に必要な事業を見極め財政の立て直しに全力で取り組んだ結果、財政の健全化に一定の成果を上げることができたところです。
 2期目にあたっては、人口減少が進む中、特に子育て支援に重点を置き、子どもの医療費助成の拡充、ICT教育の推進、基幹公園へのインクルーシブ遊具の導入など、次代を担う若い世代が住みたいと思える環境づくりを進めています。
 積年の課題解決にも真正面から取り組み、散弾銃射撃場の鉛除去や老朽化した国見台プールの解体などに着手できたところです。
 昭和29年4月、新しい都市づくりに向けた情熱の結晶として伊万里市が誕生し、令和6年度は市制施行70周年を迎えます。
 物事の本質は変えず、時代とともに新しい変化を取り入れるという不易流行の理念を大切にしながら、これまで本市の更なる発展に向けて積み重ねてきた経験と実績をもとに、確固たる決意と自信を持って、力強く道を切り拓いてまいります。

 

市政における現状と課題

 1月1日に発生した能登半島地震では、最大震度7の揺れにより3割以上の建物が全壊し、200人を上回る方が命を失う大変痛ましい震災となりました。
 国内で頻発、激甚化する自然災害を踏まえ、本市においても防災対策の向上に取り組んでおりますが、想定以上の災害がいつ何時起こるかわからないことを肝に銘じ、避難所の整備を強化するなど今後の教訓としなければなりません。
 また、我が国の経済情勢は、第2次石油危機以来41年ぶりの物価上昇率となるなど、今後の予測が難しい状況にあります。
 新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行を受けて、本市においてもいまり秋祭り等のイベントや地区運動会等の地域行事が数年ぶりに本格再開されており、コロナ禍の収束で感じる明るさを交流人口の拡大や地域経済の活性化へとつなげていくことが求められています。
 さらに、昨年12月に公表された本市の2050年の将来推計人口が35,675人まで減少し、特に14歳以下の年少人口は3,838人で現在からほぼ半減すると見込まれるなど、人口減少に歯止めがかからない状況です。
 高齢化が進む地域での更なる人口減少が避けられない中、住み慣れた地域で暮らし続けるために不可欠な生活サービスをいかに確保していくかが課題となっています。
 加えて、本市は昼間の人口が夜間より多い活気ある「働くまち」であることから、人口減少のスピードを少しでも緩めるため、市外から通勤する約1万人もの人々をいかに本市への定住につなげていくか、私はこれらの課題解決に向けた取組が本市発展の鍵を握るとの思いを強くしております。

 

市政運営の基本方針

 想定を超えて進む人口減少への対応は、もはや一刻の猶予もありません。
 私は、守るべき伝統は引き継ぎながらも、時代の趨勢を見越し、新しい価値観や社会の変化をしなやかに市政に取り入れ、本年を人口が減少する中でも成長を維持するまちづくりへの転換点にしたいと考えています。
 このためにまず手掛けるのは、やはり子育て支援であります。
 子どもが大切に育まれ、若い世代が安心して子育てができる環境を整えるため、子どもや子育て世代の目線に立った多様な視点から施策を展開し、市を挙げた子どもの成長応援に更なる力を注いでまいります。
 また、これまでは財政上の課題により手を付けられなかった事業がありましたが、私が市長就任以来取り組んできた財政健全化の成果をいかし、機が熟した今こそ、市勢の飛躍につながるプロジェクトに強い決意を持って全力で取り組んでまいります。
 さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、積極的な魅力発信や伊万里ブランドの振興、移住・定住の促進や地域支援の強化など、本市の課題解決に向けた多くの取組が形となるよう、更なる施策の拡充に努めます。
 私は、人々が明日の伊万里市に胸が高鳴り、まちに活気と変化を生み出す取組を渾身の力を込めて推し進める覚悟であります。
 この躍動する力を、本市の特徴である活気ある「働くまち」から、魅力ある「住んで働きたいと感じるまち」へと飛躍させる原動力に転化し、人口減少期においても一歩ずつ着実に、力強く進んでいく伊万里市の実現を目指してまいります。

 

主要な施策

 この1年で私が取り組む「いまりSTEP UPプロジェクト」2024年版では、5つの都市像の実現に向けた具体的な取組を進めます。

 

 第1に、未来を託す子育て応援都市であります。

 人口減少、少子化対策となる子育て支援を最重要施策と位置付け、子育て・若者成長応援パッケージ第2弾として、「支える」、「感じる」、「選ばれる」の3つの視点から支援策を組み合わせ推進してまいります。
 まず、子どもの成長と子育てを「支える」取組として、学校や保育施設の給食費の高騰分への支援に加え、進学等に向け特に経済的負担が大きい中学3年生等の給食費を無償化します。
 また、民間のノウハウを活用した県内初の公私連携型保育所として民営化した保育園の新施設の整備を支援するとともに、民営化による財政効果をいかし、約9割にあたる世帯の保育料を引き下げるなど、子育て世代の更なる経済的負担の軽減を図ります。
 さらに、妊産婦や子育て世帯、子どもへの切れ目のない相談支援を一体的に行うこども家庭センターを設置するほか、今年度末で閉園するひまわり園を活用し、家庭環境等に課題を抱える子どもの生活習慣の形成や学習サポート、進路の相談支援等により自立に向けた力を育む子どもの居場所を整備するなど、子育て世代や子どものこころに寄り添う支援を拡充します。
 次に、若者が伊万里で子育てしたいと「感じる」取組として、ものづくりのまち伊万里への愛着の醸成と将来の市内就職や定住を促進する小学生を対象とした工場見学等を実施するほか、学校に加え家庭でのデジタルドリルの活用による一人一人の理解度に応じた学習や市内のIT企業と連携したデジタル技術を積極的に活用する能力の育成など、本市独自の特色ある教育を推進します。
 また、市制施行70周年記念として、子育て世代の賑わいを創出し交流を促進するため、子どもに人気の音楽ユニットによる幼児向けコンサートを開催するなど、未来の伊万里市を担う子どもの成長につながる体験や経験の場の充実に努めます。
 次に、子育ての場に「選ばれる」取組として、多世代交流により地域の子育て力の向上を促進する東山代小学校とコミュニティセンター等の複合施設の整備をはじめ、安全・安心な通学環境を確保するため、学校から1キロメートル以内の通学路における交通安全施設の整備のほか、家族の絆を深める魅力ある公園づくりとして、伊万里ファミリーパークの改修や楠久津公園への複合遊具の設置などに取り組みます。
 さらに、明日の伊万里市の活気につながるプロジェクトとして、スポーツ、健康、憩い、防災の4つをテーマとする体育館の建替を中心とした国見台公園の総合的な整備の検討や、子育て、賑わい、多世代交流の3つをテーマとする市民会館跡地での複合施設の整備に向けた検討に着手します。
 こうした魅力を高める取組が、本市の未来を託す若者や子どもたちにとって、伊万里市が新しく変わってきたと感じる契機となり、若い世代が住み続け、子育てしたいと感じるまちづくりを推進してまいります。

 

 第2に、未来を先取るデジタル都市であります。
 デジタル田園都市構想実現に向けた第3期まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、デジタル技術を地域課題解決の鍵として、誰もが便利で快適に暮らせる持続可能な社会の実現を目指します。
 まず、行政手続きでは、市役所来庁者の住民異動申請時の負担を軽減するスマート窓口の本格運用を開始し、導入効果を高めるため1階の案内表示や窓口カウンター等を更新するほか、昨年3月に開始したコンビニエンスストアでの住民票等の交付に戸籍を追加するとともに、公共施設のオンライン予約受付等へのデジタル技術の活用を検討するなど、市民の利便性の向上に努めます。
 また、特性を持つ子どもに応じた適切な支援と教員の専門性の向上を図る特別支援教育システムの学校への導入や幅広い世代を対象に市内のIT企業等と連携したデジタル技術を学ぶ場の確保のほか、きめ細かな情報弱者支援として各地区での高齢者等のスマートフォン教室を開催します。

 

 第3に、競争に打ち勝つ産業都市であります。
 伊万里焼や伊万里牛などの伊万里ブランドの振興、交流人口獲得の最大のターゲットとする福岡都市圏向けの観光戦略の拡充など、九州西北部の活力創造拠点として更なる活性化を図ります。
 まず、伊万里牛については、本市特産品としての振興はもとより、ふるさと応援寄附の返礼品としても高い人気を集めています。
 飼料価格の高騰などにより経営が悪化し、飼養頭数が減少している肉用牛農家等への支援として、出荷頭数や等級に応じた奨励金を交付するほか、規模拡大や一貫経営など、経営基盤の強化に向けた補助制度を拡充します。
 また、コロナ禍前を上回る観光需要が見られる中、福岡市内の飲食店と連携した伊万里産食材による食のイベントの開催のほか、旅好きの女性をターゲットとするモニターツアーの開催や女子旅EXPOへの出展など、本市独自の効果的なプロモーション活動を展開します。
 このほか、本市出身で海上保安官の活躍を描く「海猿」で有名な小森陽一氏とタイアップし、映画の特別上映会や海上保安庁と連携した体験航海等の開催により、郷土愛を醸成し市の魅力を内外に発信します。
 さらに、本市観光の玄関口である伊万里駅周辺の民間活力による活性化の促進のほか、令和7年に佐賀鍋島藩御用窯の開設350周年を迎える大川内山において、産地のコンセプトや統一ロゴマークなど次の400周年へと引き継ぐ産地ブランディング戦略の策定を支援するとともに、伊万里鍋島焼の歴史や価値などを効果的に伝えるため、伊万里・有田焼伝統産業会館の資料展示室等を改修するなど、産業観光の振興に努めてまいります。

 

 第4に、世界に向けた港湾都市であります。
 西九州随一の良港である伊万里港において、浦ノ崎地区の開発に向け、再生可能エネルギーとして期待が高まる洋上風力発電の関連産業やトラックドライバーの過重労働対策にもつながるフェリー・RO‐RO船の誘致に向けた調査研究を進めるなど、佐賀県との連携により、伊万里港の将来の開発を見据えた長期構想の策定を促進します。
 また、コンテナ貨物の取扱量の増加を図るため、新たに伊万里港をトライアル利用する荷主等への助成など佐賀県伊万里港振興会の取組を支援するほか、伊万里団地を中心とした企業の集積に伴う渋滞の解消に向け臨港道路久原線の4車線化を促進します。
 さらに、伊万里ファミリーパークにおいて、民間のノウハウや資金による未利用地の整備を進め、近接する海浜公園を含む海に親しむ公園としての魅力向上に向けて取り組んでまいります。

 

 第5に、SDGs推進都市であります。
 私は、全国的に人口減少が避けられない中でも、本市が転入者の増加と転出者の抑制により人口減少のスピードを緩め、成長を続ける魅力あるまちであり続けるには、活気を生み出す新しい施策の展開に加え、小さな声にもしっかりと向き合い、SDGsの理念でもある誰一人取り残さない、温かい地域づくりの視点が欠かせないと考えています。
 まず、移住の促進と定住人口の確保については、市内企業への就業を柱として、これまで申し上げました新たな魅力ある施策に加え、いまり暮らしスタート支援金等の移住奨励金の拡充やU・I・Jターン就職の促進、移住に関する情報発信などに取り組みます。
 また、令和7年に開館30周年を迎える市民図書館を、次の30年を見据えた新たな図書館像の一つとして、本市の脱炭素社会の実現に向けた拠点となるカーボン・ニュートラル・ライブラリーと位置付け、太陽光発電設備等の整備や環境学習施設の整備方針を検討します。
 このほか、市民の脱炭素への意識向上の促進や観光客等の移動手段の拡充のため、伊万里駅前でEV公用車を活用したカーシェアリングを導入します。
 さらに、誰一人取り残さない地域づくりとして、地域課題の把握と解決に取り組む集落支援員の増員をはじめ、地域における買い物手段の確保と見守りや交流促進を担う移動販売事業者への支援のほか、コミュニティセンターを核とした地域経営の在り方やモデル的な地域づくり等の研究を進める「地域経営支援室」の新設など、地域の絆をもとに、将来にわたり安心して暮らすことができるまちづくりを推進します。
 本年は、いよいよSAGA2024国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されます。
 本市の魅力を全国に発信する絶好の機会となりますので、本市特産品をいかしたおもてなしや小中学生の競技観戦等を実施し、市民総ぐるみで大会を盛り上げ、賑わいの創出につなげます。
 私は伊万里市版SDGsを推進し、住み慣れた地域で今後も暮らし続けることができる持続可能な伊万里市づくりに、市民の皆様とともに全力で取り組んでまいります。

 

当初予算編成の考え方

 本市の財政状況について、歳入は、近年の市税の増加や国の財政支援の強化などにより堅調に推移する見込みであり、歳出は、社会保障費に関する義務的経費のほか、東山代小学校等複合施設や黒川町浦分地区の排水機場の整備等の建設事業費が増加する見込みであります。
 このような中、「住んで働きたいと感じるまち」の実現に向け、企業版ふるさと納税制度など新たな財源を確保し、財政の健全性に配慮しながら、本市の将来にとって真に必要な事業を選択し、今だからこそ着手できる事業にも積極的に取り組む予算編成としたところです。
 この結果、令和6年度の当初予算の規模は、
  一般会計342億5,200万円
  特別会計150億  149万6千円
  企業会計 87億2,350万1千円 としております。

 

当初予算の主な内容

 以下、今回提案しました予算の主な内容について、重複を避けながら、総合計画で定めたまちづくりの目標に沿ってご説明いたします。

 

 はじめに、安心で健やかな暮らしづくりについて申し上げます。
 地域福祉の充実については、市民の皆様の身近な相談窓口となる民生委員・児童委員の活動や市民による福祉活動の中心となる社会福祉協議会の運営を支援するとともに、災害時における避難行動要支援者に関する情報を共有するなど、地域における支援体制の整備に努めます。
 高齢者支援の充実については、住み慣れた地域で安心して健やかに暮らすことができる地域づくりを推進し、生きがいづくりと社会参加を促進するため、高齢者の就業機会を提供するシルバー人材センターの運営や高齢者自らの健康増進と介護予防等に取り組む老人クラブの活動を支援します。
 障がい者支援の充実については、介護給付や訓練給付等の障がい福祉サービスの適切な提供をはじめ、障がいのある子どもの療育の場として、民間事業者による伊万里・有田地区の中核的支援施設の設置や放課後等デイサービスなどの障がい児通所サービスの支援を行うほか、障がいを軽減するための医療費を給付するなど、障がいのある人の地域における自立した生活を支援します。
 子育て支援の充実については、障がいのある児童を受け入れる保育施設への支援の拡充をはじめ、家事や育児に不安を抱える家庭への訪問支援を行うほか、保育補助者等の雇用やICTを活用した保育業務の効率化に取り組む保育施設を支援するなど、安心して子どもを産み育てることができる保育環境の整備を進めます。
 また、多様化するニーズに対応した切れ目のない子育て支援を進めるため、第3期子ども・子育て支援事業計画を策定するほか、子育て世帯の経済的な負担を軽減するため、就学前児童の医療費について、医療機関での窓口負担が無料となる現物給付に取り組みます。
 低所得者支援の充実については、自立に向けた支援体制の充実を図るため、専門の相談員による生活困窮者の就労準備や家計改善の支援に取り組みます。
 保健医療体制の充実については、出産後の初期段階における母子への支援を強化するため、産婦の健康診査の費用を支援するほか、安心して出産、子育てができるよう、妊娠期から妊婦や子育て家庭に寄り添った相談支援と経済的支援を一体的に実施します。
 また、医療や看護の担い手を育成する伊万里看護学校の運営を支援するほか、医師会と連携し、休日・夜間急患医療センターにおける緊急医療体制の確保を図ります。

 

 二つ目に、創造的で心豊かなひとづくりについて申し上げます。
 学校教育の推進については、デジタル技術の活用により「未来に羽ばたく伊万里っ子」を育成するため、ICT支援員による教職員への支援範囲を拡大するなど、1人1台端末の更なる活用を推進します。
 また、学校統合に伴い東陵中学校区に開校予定の義務教育学校の改修をはじめ、特別教室へのエアコン設置など学習環境の整備を図るほか、老朽化した給食センターの機械設備等を改修するとともに、アレルギー対応給食の提供を開始し、安全で安心な給食の提供に努めます。
 生涯学習の推進については、伊万里学の学習活動を通し、郷土意識を醸成し地域づくりを担う人材を育成します。
 また、市民図書館においては、生涯学習の拠点として多様な資料収集に努めるほか、図書管理システムの更新により利用者の利便性の向上を図ります。
 青少年の健全育成の推進については、いじめや不登校などの悩みを抱える青少年やその家族への相談体制を整備するほか、地域住民等の協力を得ながら学習や体験活動等を行う放課後子ども教室を実施し、子どもの社会性や自主性、創造性などを育みます。
 文化芸術・スポーツの振興については、市民センター文化ホールを改修するなど、市民の文化芸術活動の環境改善を図るほか、中国大連市との相互訪問による友好交流を再開するとともに、本市在住の外国人向け日本語教室を開催するなど、多文化共生社会の取り組みを推進します。
 また、スポーツによる交流人口拡大のため、伊万里ハーフマラソンや伊万里ウオーク等の開催により市の魅力発信に努めるほか、老朽化が著しい国見台陸上競技場の改修を進めます。
 人権教育と啓発の推進については、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決に向け、同和問題講演会の開催や地区巡回講座等による啓発活動を展開するほか、インターネットモニタリングによる人権侵害防止に努めます。
 文化財の保護については、国史跡大川内鍋島窯跡の発掘調査や腰岳産黒曜石の化学分析の実施など、埋蔵文化財の保存と活用に努めるほか、各地域で受け継がれている民俗芸能を後世に残すため、映像記録を調査・確認しデジタルによる保存を進めます。

 

 三つ目に、活気あふれる産業づくりについて申し上げます。
 農林水産業の振興のうち、農業の振興については、地域農業の担い手を確保するため、就農後に要する経費や機械の導入を支援するほか、中山間地域等直接支払交付金を活用し耕作放棄地の発生防止や農地の適正な管理に努めます。
 また、農業振興地域整備計画を改訂し優良な農地の保全や整備を適切に進めるほか、佐賀県やJA伊万里と連携してスマート農業をはじめとした農業DXの推進に取り組むなど、農業経営の効率化を図ります。
 畜産業の振興については、伊万里牛の出荷頭数の維持と安定供給を図るため、銘柄の確立や販路の拡大に取り組む伊万里牛振興会の活動を支援します。
 林業の振興については、森林環境譲与税の活用により、新規林業就業者への給付金の支給をはじめ、幼少期から木材との関わりを深めるため、新生児への積み木の配付を行うほか、小学生への木育活動を推進するなど、森林整備の担い手の確保や木材の利用普及に努めます。
 水産業の振興については、地域住民が行う漂着物の回収などの活動を支援し、安心して漁業ができる海域の確保に努めるほか、波多津漁港の機能保全や長寿命化に向け施設を補修するなど、利用者や周辺住民の生活環境の向上を図ります。
 商工業の振興については、企業の競争力を強化するため、デジタル機器等を体験できるDX推進フェアの開催やデジタルを活用した業務の効率化を支援するなど、市内企業におけるDXの推進に努めます。
 また、市民の消費喚起や地域経済の活性化のため、プレミアム付商品券を発行するほか、企業雇用型の地域おこし協力隊を活用し、中心市街地における空家等の利活用の調査や空き店舗の改修への支援など、まちなかの活性化を図ります。
 観光の振興については、福岡都市圏のホテルにおける伊万里フェアの開催や福岡空港への伊万里焼風鈴の展示などにより本市の魅力を発信し伊万里ブランドの認知度の向上に努めます。
 また、一新した観光パンフレットを活用した旅行会社等への営業活動の強化をはじめ、SNS上の情報発信で大きな影響力を持つインフルエンサーを活用するほか、大川内山の観光の新たな魅力づくりとして、電動車による移動サービスであるグリーンスローモビリティを本格導入するなど、時流に合ったプロモーション活動に取り組みます。
 さらに、JA伊万里による、本市の重要な観光拠点施設である道の駅伊万里「伊万里ふるさと村」のリニューアルを支援します。
 港湾の活用については、伊万里港の国際物流拠点としての地位を高めるため、佐賀県伊万里港振興会との連携による国内外の荷主や船会社へのポートセールスに積極的に取り組み、伊万里港の認知度向上と利用促進に努めます。

 

 四つ目に、生活の基盤づくりについて申し上げます。
 道路・交通体系の整備については、安全で利便性の高い道路を整備するため、通学路である市道提川・川西線の歩道整備や伊万里駅と国道202号を結ぶ市道伊万里大通り線の歩道補修のほか、舗装個別施設計画に基づく市道の補修工事に取り組みます。
 また、西九州自動車道の市内全区間の早期開通を目指し、期成会等を主とした提案活動に加え、さらに効果を高めるため、市単独での要望活動に取り組みます。
 さらに、移動手段に制約を抱える高齢者等が地域で安心して暮らせるように、市街地等を巡回するいまりんバスを運行するほか、バス事業者や鉄道事業者、地域が取り組むコミュニティバスの運行を支援するなど、地域の実情に応じた交通体系の維持に努めます。
 上下水道の整備については、安全で安心な水道水の安定供給を図るため、黒川町深山地区の送配水施設の新設や波瀬地区の管路布設に着手するほか、水道施設の更新計画に基づき排水施設や老朽化した管路を更新します。
 また、老朽化した施設の適切な維持管理を行うため、公共下水道ストックマネジメント計画に基づき浄化センター等の機械・電気設備を更新するほか、生活排水による環境の悪化を防止するため、浄化槽の設置を支援し普及促進を図ります。
 都市空間の形成については、将来の都市像を見据えた都市計画を推進するため、都市計画マスタープランや立地適正化計画の策定を進めるほか、市内各地の公園について、市民の憩いの場として安全かつ快適に利用できるよう、一元管理により専門性を高め効率的な維持管理に努めます。
 住宅施策の推進については、市営住宅の排水管やガス管等の設備改修に取り組むなど、施設の長寿命化を図ります。
 また、空き家の倒壊や事故等を未然に防ぎ市民の生活環境の保全を図るため、危険な空き家の解体や移住施策と連動した実家の改修等への支援を拡充します。

 

 五つ目に、住みよい環境づくりについて申し上げます。
 生活環境の保全については、一般廃棄物を適正かつ衛生的に処理するため、さが西部クリーンセンターの運営支援をはじめ、環境基本計画の改訂のほか、二酸化炭素等の温室効果ガスの削減に取り組むための地球温暖化対策実行計画を策定します。
 また、市内事業者の地球温暖化対策の取組を促進するため、省エネ診断の受診費用を全額支援するほか、自然エネルギーの活用などを学ぶ親子省エネ工作教室を開催します。
 防災体制の充実については、多発する集中豪雨に対応するため、松島雨水ポンプ場の機械・電気設備の更新や黒川町浦分地区の排水機場の整備のほか、水防法改正に伴い義務化された想定最大規模降雨に対応した区域の雨水管理方針の策定など、災害による被害の軽減や防止を図ります。
 また、地域の防災力向上を図るため、地区防災委員が地図等に自分の地域や住まいに潜む災害の危険性を書き込み、見える化する災害図上訓練を実施します。
 さらに、今回の能登半島地震では、複合災害への備えの重要性を改めて認識したところであり、国の原子力災害対策における指針の見直しを注視しながら、その対応について検討を進めます。
 暮らしの安全・安心の確立については、交通事故を防止するため、交通対策協議会や関係機関と連携し、子どもや高齢者、市内在住外国人を対象とする交通安全教室を開催します。
 また、複雑化、多様化する市民相談に対応するため、弁護士や司法書士による専門的な相談窓口を開設するなど、市民の消費生活相談全般に対応する相談体制の充実に努めます。

 

 最後に、自立と協働のまちづくりについて申し上げます。
 市政に関する情報共有と市民参画の促進については、広報紙やホームページ、SNS等を活用し、的確で迅速な行政情報や災害情報の提供、共有に努めます。
 また、出前講座による学習機会の提供をはじめ、市政に関する意見や提案を広く募集する伊万里っ子ポストやパブリックコメントの実施のほか、市民自らがインターネット上で行政や防災等の多様な情報を集約的に把握できる地理情報システムの活用により、市民のより自発的な行政運営への参画を促進します。
 市民との協働によるまちづくりの推進については、地域資源をいかした活動に取り組むまちづくり団体等の活動を支援するほか、都市地域から移住し地域協力活動に取り組む地域おこし協力隊を配置し、各地域での農業への従事や地場商品の協同販売等を通して地域活性化や地域コミュニティの維持・強化を図ります。
 男女協働参画社会の形成については、第5次伊万里市男女協働参画基本計画に基づき、男女協働参画の市民意識の醸成や男女がともに活躍する社会づくりを推進します。
 また、暴力やハラスメントを容認しない社会づくりのため、様々な問題を抱える女性への相談対応と窓口の周知拡大を図るほか、関係部署や関係機関と連携しDV被害者の発見から保護、自立支援など切れ目のない支援に努めます。
 自立した行財政運営の確立については、市税の納付における利便性を高めるため、スマートフォン決済アプリ等を利用したキャッシュレス支払いの拡充を図るほか、ふるさと応援寄附については昨年10月の地場産品基準の厳格化に対応した魅力ある返礼品の開発に取り組み安定した寄附額の確保に努めます。
 また、市民の行政サービスにおける利便性の向上や職員の業務負担の軽減と効率化を図るため、デジタル技術やAI等の活用に取り組むほか、デジタル人材育成につながる各種研修への職員の派遣や、デジタルスキル向上に寄与する資格取得を促進します。
 さらに、市役所庁舎の適切な維持管理や長寿命化への対応として、空調や照明設備の改修等に取り組みます。
 移住・定住の促進については、市内企業に就職を検討している県外在住者への宿泊費の支援のほか、よりきめ細かに移住希望者のニーズに対応するためオンライン移住相談窓口の開設など、更なる移住促進施策に取り組みます。
 また、婚活支援については本市ならではの特色をいかした魅力あるイベントや相談の場を提供し、成婚者の増加につながる取組を推進します。
 さらに、関係人口の創出や拡大を目的として、本市の地域資源を活用した新商品の開発やフィールドワークを行う大学生の活動を支援します。

 

 (その他の議案については省略)

 

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