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平成28年第1回定例会 市長提案理由説明について


平成28年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2016年3月8日更新)

はじめに

 平成28年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案いたしました平成28年度当初予算並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

政治信条

 私は、伊万里市制60余年の歴史の中で、市民の皆様から4期目の市政運営の負託を受け、早くもその任期の折り返し点を迎えようとしております。

 今日まで、市民の皆様と同じ目線に立った考え方と前例にとらわれない発想による市民本位の市政運営を政治信条として、暮らしの安全と安心の確保、地域産業の振興、賑わいと活力の創造の3つの柱のもと政策の推進に邁進してまいりました。

 特に、平成23年3月の福島第一原子力発電所の事故を教訓として取り組んできた玄海原子力発電所に関連する安全協定については、2月2日に、九州電力株式会社と事前説明等に関する安全協定を、また、佐賀県知事と事前了解の判断時における本市への配慮等に関する覚書を締結したところであり、市民の皆様の安全と安心の確保に向け、大きく前進できたものと確信しております。

 また、待望の西九州自動車道の市内区間が開通し、本市が本格的に高速交通体系に組み入れられるとともに、伊万里港と神戸港を結び世界中への迅速なコンテナ輸送が可能となる国際フィーダー航路が開設され、国内外との人や物の交流がますます拡大することが見込まれるほか、県西部地区4市5町による「さが西部クリーンセンター」が稼働するなど、重要プロジェクトのそれぞれが市政発展の礎として姿を現してまいりました。

 今、地方創生の取組が全国一斉に開始され、地方の創意と工夫による主体的なまちづくりが求められる中で、私は、揺るぎない信念と先見性をもって、みなぎる情熱を無限の動力へと転化し、個性豊かで力強く躍動する伊万里市づくりに全力で挑戦を続けていくことが私の使命であると、決意を新たにしているところであります。

市政を取り巻く情勢

  さて、今日の社会経済情勢については、本年2月にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への署名が行われ、まさに歴史的な転換期を迎えており、幅広い分野での新しい経済ルールの構築が期待される一方で、6次産業化や農地集積等による農業・農村の所得倍増の方向性が示されてはいるものの、地方の基幹産業である農林水産業への様々な影響が想定されるところであります。

 また、世界の工場から世界の市場へと役割を変え、世界経済の回復を牽引してきた中国経済の減速等に伴い世界経済の不透明感が増しており、我が国の経済への長期にわたる影響も懸念されております。

 国においては、強い経済を実現する新たな成長軌道の創出に向け、希望を生み出す強い経済、夢をつむぐ子育て支援、安心につながる社会保障という新たな三本の矢により一億総活躍社会づくりへの取組が開始されたところであります。

 また、地方においては、アベノミクスによる経済再生の取組により経済の好循環に向けた動きは徐々に広がりを見せてはいるものの、人々が実感できるまでの効果は得られておらず、本市を取り巻く経済情勢は決して予断を許さない状況にあります。

まちづくりの基本方針

 このように混迷する社会経済情勢の中で、全国的なうねりとして高まりを見せる地方創生は、本格的な実行段階である第2ステージへと移行しております。

 今後、本市が未来に向け大きく躍動し飛躍するための確固たる基盤を築いていくためには、この地方創生を競争力強化の最大の好機と捉え、行政だけではなく、民間企業をはじめ、まちづくり団体や地域など、あらゆる分野の皆様と一丸となって、「まち」、「ひと」、「しごと」の好循環の確立に向けた各種施策を展開していかなければなりません。

 私は、我が国の人口減少対策と活力維持という日本再生の鍵は、まさに地方の再生にあると確信しており、伊万里市まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げた4つの基本目標の実現に向け、悠久の歴史の中で蓄積された地域特性を最大限に生かすとともに、TPPへの柔軟な対応も図りながら、伊万里湾地域の発展を先導するという気概を持って、伊万里市ならではの地方創生を「深化」させていく覚悟であります。 

主要な施策

 政策の推進にあたりましては、総合計画に定めた将来都市像である「活力あふれ ひとが輝く安らぎのまち 伊万里」の実現を目指し、後期基本計画に位置づけた施策の展開を図るとともに、伊万里市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、重点的な事業の推進に努めてまいります。

 第一に、「産業振興により『活気あふれるまち』をつくる」であります。
 私は、市長就任以来、地方創生の根幹をなす「しごとづくり」へとつながる企業誘致に積極的に取り組んだ結果、これまで23社の企業が進出し、多くの雇用を生み出すことができたところであります。

 将来の伊万里市を支える若者の就労の場を確保するため、これまでの製造業を中心とした企業誘致に加え、大学新卒者や女性等の就職先となるオフィス系企業の立地に向けた積極的な誘致活動を展開してまいります。

 また、本市には世界有数の技術力を有する企業も立地していることから、福岡都市圏や市内において企業説明会を開催し情報提供を行うことにより、優秀な人材の確保に結びつけるなど、地域の産業力の強化に努めるほか、本年1月に国の認定を受けた伊万里市創業支援事業計画のもと、商工会議所や金融機関と連携し相談員の配置や創業塾の開設等に取り組み、地域の特性や潜在能力を生かした創業支援に努めてまいります。

 農業については、高齢化や後継者不足による農業従事者の減少に歯止めをかけるため、新たに給付金を創設し親元での就農を促進するほか、伊万里梨やブドウなどの樹園地の借受けや改植を支援するなど、地域農業の担い手の確保と就農意欲の向上に努めます。

 第二に、「地域資源を生かし『行きたいまち』をつくる」であります。
 平成24年を本市の観光元年と位置づけ、福岡都市圏を主要なターゲットとして観光戦略を展開してきたところであり、減少傾向にあった観光 客数は増加に転じるなど、その成果は着実に現れてきております。

 間近に迫った西九州自動車道の伊万里東インターチェンジ(仮称)までの延伸を見据え、福岡都市圏を中心とする観光情報の発信に取り組むとともに、伊万里焼や伊万里牛などの伊万里ブラントを活用したイベントを開催するなど、交流人口の拡大による地域経済の活性化に努めてまいります。

 また、外国人観光客の誘客に向け、クルーズ客船の伊万里港への誘致やツアー会社への積極的な働きかけを行うとともに、市内商店の消費税免税店への登録を支援するほか、伊万里駅周辺の案内看板の多言語化や外国人観光客向けの観光パンフレットの改訂に取り組むなど、年々増加する外国人観光客の動向やニーズを捉えた事業の展開に努めてまいります。

 さらに、定住人口の増加を図るため、政策経営部内に専門部署を設置し、大都市圏や近隣自治体等からの移住を促進するとともに、市外への転出抑制に取り組んでまいります。

 第三に、「市民みんなで『子育てしやすいまち』をつくる」であります。
 2.11と全国的に高い水準にある合計特殊出生率を維持し出生数の増加を図るため、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援に努めてまいります。
 
 子どもの医療費助成については、これまでも小中学生の入院費を対象とするなど充実に努めてまいりましたが、さらなる子育て世代のニーズに応えるため、小中学生の通院費までに助成対象を拡大します。

 また、新たに子育て世代地域包括支援センターを設置し、専門的な知見と当事者目線の両方の視点から適切な保健サービスを提供するなど、妊娠初期の段階から子育て期に至るまでの一貫したワンストップ相談体制を構築します。

 さらに、小学校低学年児童の健全な育成と、保護者の子育てと仕事の両立を支援するため、留守家庭児童クラブの円滑な運営に努めるとともに、対象学年の計画的な拡大について検討を進めます。
 
 結婚活動の支援については、結婚を希望する独身の男女の相談を受ける専門相談員を配置するほか、出会いの機会を創出するための各種イベントを実施するとともに、結婚への意識を高めるための講演会を開催するなど、より多くのカップルの成立や成婚へとつなげてまいります。
 
 第四に、「時代に合った都市づくりで『安心で住みたいまち』をつくる」であります。
 本年1月の記録的な大雪に伴い、水道の断水や給水制限、公共交通機関の乱れなど市民生活に大きな打撃を受けたところであり、私は、自然の脅威を目の当たりにし、様々な災害に対する万全の備えの大切さについての認識を新たにしたところであります。
 
 自然災害や原子力災害等が発生した場合に災害情報の伝達手段となる防災行政無線については、3年間での完成を目指し整備に着工するとともに、災害時の避難経路となる国道や県道、市道の整備を促進します。

 本市における「小さな拠点」のモデル事業であり、任意団体による有償運送の県内第一号として注目を集める波多津町まちづくり運営協議会によるコミュニティバスの運行を支援するとともに、成果を見ながら他地区への拡大について検討を進めてまいります。
 
 昨年1月から返礼品を拡充し、全国から大きな反響を得ているふるさと納税については、さらなるPRに努めるとともに、企業版のふるさと納税制度の創設に対応し、寄附の対象事業を地域再生計画に位置づけ、企業への働きかけを行ってまいります。
 
 さらに、本市における産業の振興や交流人口の拡大に重要な役割を果たす幹線道路である西九州自動車道や国道204号、都市計画道路大坪木須線、臨港道路七ツ島線および県道伊万里有田線(セラミックロード)等の整備を促進します。

当初予算編成の考え方

 本市の財政は、法人住民税の一部国税化に伴う税率の引き下げや固定資産税の評価替えの影響等もあり、市税収入が減少傾向にある一方、今後、少子高齢化の進展に伴う扶助費などの社会保障関連経費や公債費など義務的経費の増大に加え、老朽化した公共施設等の改築や大規模な修繕等が必要となるなど、さらなる硬直化が見込まれる状況にあります。

 このため、既存事業の大幅な見直しと戦略的視点に立った特定の事業への集中投資、さらには、ふるさと応援寄附金の活用などにより、限られた財源の中で、堅実でありながらも、子育て支援や産業振興など伊万里市の未来を見据えた予算編成に努めました。
 
 この結果、平成28年度当初予算の規模は、
  一般会計 249億1,400万円
  特別会計 175億7,512万7千円
  企業会計  53億8,137万5千円 といたしております。

当初予算の主な考え方

 以下、今回提案いたしました予算の主な内容について、重複を避けながら、総合計画で定めたまちづくりの目標に沿ってご説明いたします。
 
 はじめに、安心で健やかな暮らしづくりについて申し上げます。
 地域福祉の充実については、福祉サービスの在り方や市民と行政の役割を位置づけた地域福祉計画の改定に取り組むとともに、地域における福祉の推進母体として活動している社会福祉協議会の運営を支援します。

 また、市民のボランティアとしての福祉活動への参加を促進するほか、地域において最も身近なところで福祉に関する相談等を受ける民生委員・児童委員の活動を支援します。
 
 さらに、賃金の引き上げなど経済対策の恩恵が及びにくい低所得の高齢者等へ年金生活者等支援臨時福祉給付金を給付するとともに、消費税率引き上げに伴う低所得者の負担軽減を図るため臨時福祉給付金を給付します。
 
 高齢者支援の充実については、高齢者の生きがいや支え合い活動に取り組む老人クラブや、高齢者の就労機会を創出するシルバー人材センターの活動を支援するほか、介護予防に向け地域が主体となって取り組む健康づくり活動への高齢者の積極的な参加を促進します。
 
 また、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、ひとり暮らしなど見守りが必要な高齢者への愛の一声運動の実施や、緊急通報システム機器の設置に取り組みます。
 
 障害者支援の充実については、障害のある人や家族等からの就業や生活に関する相談等に対し必要な情報を提供するなど、障害のある人の地域における自立した生活を支援します。
 
 また、将来的に身体に障害を残すと認められる児童の日常生活能力を高めるための医療費の一部を給付するとともに、身体に障害のある人および障害のある児童の身体機能を補完する補装具の給付に取り組みます。
 
 子育て支援の充実については、子ども・子育て支援新制度に基づき保育の量の拡大や質の向上を図るため、延長保育や病後児保育等の多様な保育ニーズへの対応に努めるほか、民間企業において新たに開設される事業所内保育所の運営を支援します。
 
 また、家庭児童相談員や母子・父子自立支援員を配置するとともに、子育て支援センターにおける児童相談への対応など、家庭の状況等に応じたきめ細かな支援に努めます。
 
 さらに、多子世帯における4人目以降の児童生徒の給食費を助成するとともに、児童手当や児童扶養手当を給付するほか、ひとり親家庭等の医療費を助成するなど、子育て家庭の経済的負担の軽減を図ります。

 低所得者福祉の推進については、生活困窮者の相談への対応や就労に向けた支援を行うとともに、離職により住宅の確保が困難な人に対し家賃相当の給付金を支給します。
 
 保健活動の推進については、より安心して子どもを産み育てることができるよう、不妊治療費の助成額を引き上げるとともに、出産等に不安を抱える妊婦や未熟児がいる家庭の訪問指導を行うなど、産前・産後の支援の充実に努めます。
 
 また、各種がん検診の受診率向上に努めるとともに、抗がん剤の副作用による脱毛に悩む人のかつら購入費用の一部を助成するほか、予防接種法に基づき、麻しん・風しん、ヒブや高齢者および小児の肺炎球菌、水痘などの定期予防接種を適切に実施し感染症の予防に努めます。
 
 さらに、国民健康保険の加入者の特定健康診査などの受診率向上を図るため、受診者負担金の無料化に取り組み、生活習慣病の早期発見と早期治療につなげてまいります。
 
 医療体制の充実については、伊万里有田共立病院の運営を支援するとともに、休日・夜間急患医療センターをはじめ、在宅当番医制や病院群輪番制の円滑な運営に努めるほか、休日や夜間の医療情報を入手できる救急医療情報システムの有効活用を促進します。
 
 また、国民健康保険においては、新たに柔道整復施術療養費の利用状況調査に取り組むとともに、レセプト点検やジェネリック医薬品の利用促進等による医療費の適正化や、国民健康保険税の収納対策の強化により財源確保に努めるなど、事業の健全な運営を図ります。
 
 二つ目に、創造的で心豊かなひとづくりについて申し上げます。
 生涯学習の推進については、将来の伊万里市を担う人材を育成するため、生涯学習センター等を拠点として伊万里の歴史や伝統を学び郷土愛を 育てる子ども伊万里塾を開設するとともに、地域貢献を志し地域づくり活動の企画立案や実践に取り組む若者を伊万里未来プランナーとして養成します。
 
 また、大手新聞社による調査で西日本一の図書館として専門家から高い評価を受けた市民図書館において、移動図書館車「ぶっくん」を更新するとともに、市民の皆様への豊かな情報を提供するため図書館資料の充実に努めます。
 
 青少年の健全育成の推進については、青少年育成市民会議等と連携し伊万里サマーキャンプなどの体験研修事業に取り組むとともに、スポーツや文化活動をはじめ、児童と地域住民の活発な交流活動を促進するため放課後子ども教室を開催します。
 
 学校教育の推進については、教育効果を高めるため、小中一貫校南波多校において、小学校敷地内に中学校校舎を建設するための実施 設計を行うとともに、来年4月の波多津小学校と波多津東小学校の統合に向けた準備を進めるほか、牧島小学校、黒川小学校および大川小学校の屋内運動場の改修に取り組みます。
 
 また、確かな学力の定着と向上を図るため教員の指導力向上に努めるとともに、不登校などの悩みに対応するスクールカウンセラーを派遣し悩みを持つ児童の心理的負担の軽減を図るほか、スクールサポーターの配置によりいじめや非行の未然防止に努めます。
 
 学校給食センターにおいては、徹底した衛生管理のもと安全で安心な学校給食の提供に努めます。

 スポーツの振興については、市内一周駅伝競走大会や高校野球大会等を開催し競技力の向上を図るほか、市民グラウンド・ゴルフ大会等の開催など、市民の皆様が気軽にスポーツを楽しみ、交流を深める機会を提供します。
 
 また、伊万里ハーフマラソン大会を開催するとともに、スポーツ合宿については、より多くのチームが利用できるよう支援制度を充実させるほか、スポーツツーリズムの観点からこれらの機会を捉え、本市の観光PRや交流人口の拡大による地域経済の活性化を図ります。
 
 さらに、国見台公園において、武道館の耐震補強工事に取り組むとともに、トリムコースの改修や野球場のボールカウント表示のBSO方式への改修を行うほか、松浦町におけるスポーツ・レクリエーション施設の整備に向けた用地購入等に取り組みます。
 
 人権教育と啓発の推進については、地域に密着した巡回人権講座等の開催による学習の場づくりに取り組むとともに、地域における人権教育指導者の育成により市民の人権意識の高揚を図ります。
 
 また、高校との連携によるハートフルフォーラムの開催や、小学生が花の成長を通じて人権尊重の理解を深めるための人権の花運動に取り組むなど、子どもたちの豊かな人権感覚の育成を図ります。
 
 文化活動の推進については、市民の皆様が気軽に文化芸術に触れ、活動する機会と発表の場として市民音楽祭や美術展等を開催します。
 
 また、友好交流都市である中国大連市との人的交流を深めるため公務研修生を受け入れるほか、大連市長との会談をきっかけとして平成27年度から始まった大連市からの修学旅行生の受け入れや、大連市アカシア祭りウォーキング大会への中学生の派遣など、国際感覚を身に付けた青少年の育成を図ります。
 
 本市文化活動の中心施設である市民センターにおいて、利用者の快適性を確保するため空調設備の更新に着手するとともに、建設から44年が経過した市民会館において、吊り天井の改修に向けた調査および設計業務に取り組みます。
 
 文化財の保護と活用については、史跡大川内鍋島窯跡の学術調査を実施し歴史的価値を明らかにするとともに、地域等との連携のもと、窯跡などの貴重な文化財の保護活動に取り組みます。
 
 また、歴史民俗資料館において関係団体と連携し企画展を開催するほか、伊万里・鍋島ギャラリーにおいて鍋島や古伊万里の展示を行うなど、世界に誇る文化遺産の公開活用を図ります。
 
 三つ目に、活気あふれる産業づくりについて申し上げます。
 農業の振興については、収益性の高い水田農業の確立と良好な農村環境の整備を図るため、経営所得安定対策の活用や高性能機械などの導入をはじめ、野菜や果樹など園芸作物の施設整備等の支援に努めるとともに、6次産業化の取組を進めます。
 
 また、肉用牛を中心とする畜産については、伊万里牛振興会との連携により伊万里牛の銘柄確立や販路拡大に取り組むとともに、繁殖雌牛の導入を支援し繁殖農家の経営規模の拡大を促進します。
 
 農作物への大きな被害をもたらすイノシシやカラスなどの有害鳥獣対策については、駆除に要する経費等への支援を行い農作物への被害軽減に努めます。

 また、中山間地域における水源かん養など多面的機能の維持・増進をはじめ、農道等の補修や景観形成など農村環境の良好な保全のため地域が一体となって取り組む活動を支援するとともに、新たに東部地区において中山間地域の特性を踏まえた農業の展開を促進するための総合的な整備に取り組むほか、炭山地区における棚田保全のための看板設置などPR活動への支援を行います。
 
 林業の振興については、森林や林業の再生に必要な施設や高性能機械の導入をはじめ、森林の施業および保護に関する計画の作成等を支援するほか、森林整備の基盤施設となる林道烏帽子岳線および二里下分線の用地取得に取り組みます。
 
 工業の振興については、本年は日本磁器発祥400年という大きな 節目を迎えていることから、大川内山への多くの観光客が見込まれるところであり、「鍋島献上の儀 歩み展」の開催に取り組む窯業団体等を支援するなど、伊万里焼の国内外へのPRに努めます。
 
 また、中小企業等の経営安定化を図るための金融支援を行うとともに、新たにソフトウェア業や情報処理・提供サービス業などの誘致や雇用に対する奨励金等の拡充に取り組むなど、企業の設備投資を促進し雇用の拡大に努めます。

 商業の振興については、中心市街地の活性化のため、商店街の集客や賑わいづくりのためのイベントの開催を支援するとともに、市民が主体となり中心市街地の集客や情報発信の拠点として活用されている「伊萬里まちなか一番館」の運営を支援します。
 
 観光の振興については、どっちゃん祭りやいまり秋祭りなど本市特有の歴史と文化を持つイベントの開催や本市の豊かな自然を生かしたグリーン・ツーリズムの取組を支援します。
 
 また、農業体験を盛り込んだ「畑の中のレストラン」を回数を増やして実施するほか、市内のまちおこし団体との連携により九州のブランド牛の食べ比べを行うイベントを開催するなど、交流人口の拡大に努めます。
 
 貿易の振興については、北部九州の国際物流拠点として着実に成長を続けている伊万里港について、佐賀県伊万里港振興会などの団体等と連携し、国内外の荷主や船社へのポートセールス活動に取り組むとともに、コンテナを輸出する荷主への助成制度による利用促進に努めます。
 四つ目に、安全で快適な地域づくりについて申し上げます。
 
 道路・交通体系の整備については、中心市街地の交通の円滑化を図るため都市計画道路大坪小学校線の整備を進めるとともに、市道の改良により交通安全の確保と利便性の向上を図るほか、老朽化した立花跨線橋の改修に向けた詳細設計や都市計画道路二里黒川線の照明灯の設置に取り組みます。
 
 また、公共交通機関については、新たに策定に取り組んでいる地域公共交通網形成計画に基づき、バス事業者やバスを運営する市民団体との連携により、路線バスをはじめ、いまりんバスや元気バス等の既存バス路線の効率的な運行に努めるなど、持続可能な公共交通網の構築を進めるほか、松浦鉄道については、支援計画に基づく老朽施設の整備等を支援するなど、安全な運行と経営の安定化を図ります。
 
 港湾機能の整備については、伊万里港の港湾機能の拡充に向け、関係団体と連携し、国や佐賀県への働きかけを行うほか、浦ノ崎地区廃棄物処理用地に関して、早期の産業用地としての利用が可能となるよう、港湾計画の変更等に向け、港湾管理者である佐賀県と協力して取り組んでまいります。
 
 上水道の整備については、平成25年度から取り組んできた有田川浄水場の浄水施設の更新事業を完了させるとともに、有田川取水・導水施設の耐震化や災害時における被害軽減と安定供給を図るための配水管の更新を進めます。
 
 また、水道未普及地域の解消を図るため、黒川町花房地区への給水区域の拡張に取り組みます。

 都市景観の形成については、古伊万里文化の香り漂うまちづくりの視点を持って、老朽化した伊万里川河畔壁の改修を行うほか、将来の都市づくりを見据えた用途地域の見直しに取り組みます。

 居住空間の整備については、市内に点在し増加傾向にある空家等の適切な管理を促進するため、市内全域の空家実態調査や危険な空家の除却を含めた対策を講じるほか、入居者が快適で安全に暮らすことができるよう市営住宅の内部改修に取り組みます。
 
 下水道等の整備については、新たに浄化センターの汚泥を資源化するための施設整備の基本設計を実施するとともに、機械設備等の更新に取り組みます。
 
 また、農業集落排水においては、施設の適正な維持管理に努めるとともに、井手野地区において処理場の改修に伴う実施設計に取り組むほか、汚水の集合処理ができない地域での浄化槽の設置を支援するなど、公共用水域の水質保全と快適な生活環境の確保に努めます。
 
 ごみの減量化と廃棄物の適正な処理については、家庭から出る資源ごみの回収運動に取り組む団体を支援するほか、ビン類やペットボトルなど資源ごみの処理を行う環境センターの適切な運営に努めます。
 
 環境保全活動の推進については、市民の皆様との協働による市民大清掃や伊万里湾岸の清掃などの環境保全活動に取り組むとともに、水質や大気環境の測定を行います。
 
 消防・救急体制の充実については、火災や自然災害から市民の生命や財産を守るため、伊万里・有田消防組合による消防、救急活動に取り組むほか、円滑な消防団活動を支援するため、小型動力ポンプ付積載車の更新をはじめ、防火衣や水難救助用の救命胴衣等の消防団員の活動装備を充実させるなど、地域における消防力の向上を図ります。
 
 また、突然の心肺停止状態に対応するためのAED(自動体外式除細動器)を新たに伊万里湾大橋球技場と東山代運動広場に設置します。
 
 防災の推進については、木須町馬伏地区の低平地における浸水被害を防止するため、雨水ポンプ場を供用開始するとともに、調整池となる藤の尾溜池の浚渫工事に着手します。
 
 また、老朽化が進んでいる長浜六本松排水機場のポンプ改修に取り組むとともに、煤屋川の改修による浸水対策に取り組みます。
 
 さらに、地域において防災の中心的な役割を担う地区防災委員の研修や情報伝達訓練を実施するとともに、「わがまち・わが家の防災マップ」を活用した住民避難訓練の実施に取り組みます。
 
 交通安全対策の推進については、交通安全運動の機会等を捉え、交通対策協議会等を中心として高齢者の交通事故防止等に向けた取組の強化などの啓発活動を推進するとともに、5年間の交通安全対策の方向性を定める第10次伊万里市交通安全計画の策定に取り組みます。
 
 五つ目に、自立と協働のまちづくりについて申し上げます。
 適正な情報公開と広報広聴の充実については、行政情報をはじめ災害発生時の避難情報等を伝達するため、波多津町内におけるケーブルテレビ網の配信エリア拡張を支援します。
 
 また、広報紙やホームページ等による的確で迅速な行政情報の提供に努めるとともに、重要な施策等の決定においてはパブリックコメントを実施するなど行政運営への市民参加を促進します。
 
 まちづくりの担い手の育成については、地域特有の課題解決に向け、各町において主体的に取り組まれているまちづくり活動を促進するとともに、市民活動団体等が自ら企画し実行する事業の支援に努めます。
 
 また、市民活動支援センターを核として、市民活動団体の相互連携と活動の活性化を図るとともに、国内での研修へ市民を派遣するなど市民が主役のまちづくりを支える人材の育成に努めます。
 
 男女協働参画社会の形成については、男女協働参画に関する計画の改定に向け、関係団体等で構成する審議会を設置し市民意識調査等の基礎調査に取り組むとともに、いまりプラザと連携し男女協働参画意識の向上に向けた啓発活動を進めてまいります。
 
 効率的な行財政の運営については、第6次行政改革大綱に基づき、自主財源の確保をはじめ、行政評価の活用や機構改革によるコストの縮減など、さらなる改革を推進し、将来にわたる健全な行財政運営に努めます。
 
 また、公共施設の老朽化については、今後の人口減少を見据えた適正な規模や利用状況、運営コスト等を踏まえ、施設の統廃合や改修等に関する検討を進めます。
 
 さらに、市税の口座振替納付を奨励し収納率の向上を図るほか、土地の一筆ごとに地目や面積等を確定する地籍調査に引き続き取り組みます。
 
 自立した行政経営の確立については、全国一斉に地方創生の取組が開始され地域間競争の激化が進む中で、俯瞰的な視点と果敢なチャレンジ意欲等を備えた職員の育成に努めます。

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