本文にジャンプします
メニューにジャンプします

令和3年第1回定例会 市長提案理由説明について


令和3年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2021年3月1日更新)

はじめに

 令和3年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました令和3年度当初予算 およびその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

 

市政運営にあたっての思い

 平成30年4月、市民の皆様から市政運営の負託をいただき、早くも任期の最終年度を迎えます。

 

 私は、「伊万里に新しい風を!子どもたちにさわやかな風を!」との 思いを胸に、市長就任以来、市民との対話を重視し、現場主義を貫きながら、本市の将来の発展と飛躍への確かな礎を築くため、全力を尽くしてまいりました。
 特に、未来を担う子どもへの投資が最も大事だと考え、安全で快適に学習できる学校施設の整備をはじめ、豊かな創造力を育むプログラミング教育など、ICT教育の充実を積極的に進めてまいりました。

 また、地域の成長を牽引するIT企業の誘致活動が着実に成果を挙げ、若年層の雇用の場を創出し、先進的なデジタル技術を市内産業と融合させ次なる発展を導く新しい地方創生の柱を築くことができました。

 さらに、将来の世代に課題を残さない未来への責任を強く意識し、市民会館大ホールの廃止や公立保育園の民営化など、統廃合を含めた 公共施設の再配置についても、将来のあるべき本市の姿を思い描いた上で苦渋の決断を行い、果敢に実行してきました。

 

 このような市民の豊かな暮らしと経済、産業の持続的な発展の種が芽吹き、次なる成長へのステップに移ろうとした矢先に、未知のウイルスにより私たちの生活は一変し、予想だにしない事態に直面したところであり、この苦難を克服するためには、私自身が不屈の信念を貫き、今こそ、確かなリーダーシップを発揮する時であると、改めて意を強くしたところであります。

 

 私は、まさに混迷を極める時代の真っただ中において、決して臆することなく、新たな道を切り拓く気概を持ち、過去の経験にとらわれない斬新な発想と大胆な行動力でイノベーションを起こし、地域のポテンシャルを最大限に引き出しながら、市民の夢と希望がかない、誰もが幸せを実感できる伊万里市づくりに、使命感を持って全力で取り組んでまいる覚悟であります。

 

市政を取り巻く新しい変化

 さて、近年の日本経済は、米中間の貿易摩擦や消費税率の引き上げなどの影響により景気の後退感が漂い始めた中、突如として現れ猛威を振るった新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の唐突かつ急激な停止から、景気の大幅な落ち込みを経験しました。

 

 今なお、新規の感染者数が高い水準で推移するなど、予断を許さない状況が続いており、国や地方は、景気回復を目指す経済活動の後押しと感染拡大を防ぐ行動制限の両方を同時に見極めながらの大変難しい舵取りを迫られています。

 

 また、制限された社会活動の中で、デジタル技術の活用により、テレワークやWeb会議、オンライン授業など、コロナ禍を契機として新しい社会の仕組みが定着してきたことなどから、社会経済システムを再構築するデジタルシフトを積極的に推進しながら、コロナと共生する社会を構築していくことが求められています。

 

ニューノーマル社会におけるまちづくり

 このような「ニューノーマル社会」と呼ばれる中での新しい生活様式や柔軟な働き方が日常化したことにより、若い世代を中心に地方で暮らすことへの関心が高まるなど、東京圏への人口集中の動きを鈍化させる 新たな潮流が生まれています。

 

 地方分散のチャンスが到来したこの機を逸することなく、これまで 取り組んできた「ひと」と「しごと」の好循環の流れをさらに強め「まち」に活力を与えるためには、令和3年度を地域経済のコロナ禍によるダメージからの脱却と再生の年と位置付け、市民の皆様や企業、団体等と連携を図りながら、地域の特性を生かした実効性のある地方創生の取組を進めていかなければなりません。

 

 私は、まちづくりの原点は「ひとづくり」であるとの揺るぎない信念のもと、魅力的なしごとづくりやシティプロモーションの多様な展開により、暮らしや働く場の充実による若者の定着を図り、移住や定住、観光、企業立地など、今年の1月に誕生した本市の新しいキャッチコピー「いまりで、決まり!」と、あらゆる社会活動の中で選ばれるまちを目指してまいります。

 

主要な施策

 取組にあたっては、いわゆるウィズコロナまたはアフターコロナへの対応も視野に入れ、市民との協働を基本として、国や県などと緊密に連携しながら、総合計画の将来都市像である「人がいきいきと活躍する幸せ実感のまち 伊万里」の実現を目指し、施策の展開を図ってまいります。

 

 第一には、「将来を見据えた人づくり」です。
 無限の可能性を秘める子どもは、未来への希望、私たちの宝であり、新時代に適応した学びと地域が一体となった育ちの環境を充実させていくことが最も重要です。
 GIGAスクール構想の実現に向けたICT教育の更なる充実と伊万里中学校をはじめとする学校施設の改修に取り組むなど、次代を 担う子どもの生きる力と豊かな心を育む教育環境の整備を進めます。
 また、長年の懸案であった東山代小学校の建替えについては、児童の学びの場としてだけでなく、多世代が集う豊かな地域づくりの 拠点として、コミュニティセンターなどとの複合化による施設の整備に着手するほか、大坪地区における保育園とコミュニティセンターとの 複合施設は、本年11月の供用開始を目指し工事の進捗を図ります。
 さらに、民生委員・児童委員をはじめ、地域の防災を担う消防団員、子育て世代を支える留守家庭児童クラブの支援員など、市民の暮らしを支えるひとづくりに力を入れてまいります。

 

 第二には、「市民主導型公民連携のまちづくり」です。
住み慣れた地域を未来に向けて誇りを持って継承していくためには、地域住民が主体性を持って地域のまちづくり活動に取り組み、人と人とがつながり続けるコミュニティを形成していくことが必要です。

 集落支援員の機動力を生かして地域課題の解決を図るとともに、地域自らの力で地域の魅力と活力を高める活動を支援するなど、地域住民が主役となるまちづくりを積極的に進めてまいります。

 また、本市の美しく魅力ある景観を後世に残し、ふるさと伊万里に愛着と誇りを持つことができる地域づくりを進めるため、大川内山地区や里地区を重点地区とした景観計画の策定に着手します。

 さらに、地方創生に関する包括連携協定を締結した伊万里信用金庫と一体となり、看護師、保育士、介護福祉士などを志す若者を支援し、地元就職を促す市民向け学資ローンを新たに創設するなど、医療や子育て、介護等の担い手を確保し、福祉等の専門職と協働した助け合いと支え合いのまちづくりに努めてまいります。

 

 第三には、「しごとづくりと人材の確保」です。
人口減少が進行する中、地域の稼ぐ力を高め発展を図るためには、付加価値の高い仕事と雇用の機会を創出することが重要です。

 若者の定住の可能性を拡大するIT企業など事務系企業の誘致には、確かな手ごたえを感じているところであり、引き続き誘致活動に取り組むとともに、製造業の新しい集積拠点となる伊万里東部工業団地への早期の企業立地を促進し、新たな雇用の場の確保にさらに力を注いでまいります。

 また、オンラインによる移住相談会等を活用した情報提供の充実を 図り、テレワークやワーケーションなど、新しい暮らしや働き方を希望する若者の本市への関心を高めることにより、地域や企業、農業、まちづくりなどへの新たな人材の参画を促してまいります。

 さらに、コロナ禍の中で加速しているDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組については、総合政策部内に専門部署を設置し、デジタル技術を活用した新しい発想による業務の変革に向けた取組を 支援することで、商工業や農業など産業の生産性と競争力の向上に努めてまいります。

 本市最大の資源である伊万里港については、国際コンテナ貨物の取扱量が過去最高を記録するなど、北部九州において確固たる地位を 築いていることから、更なる成長を目指し、コンテナターミナルの機能拡充や浦ノ崎地区廃棄物処理用地の具体的な将来構想の策定に向け、佐賀県や関係機関との連携を強化してまいります。

 

 第四には、「交流人口の拡大によるにぎわいのあるまちづくり」です。
コロナ禍により、観光客の誘致は大変厳しい状況となっているものの、アフターコロナを見据えて、交流人口の回復、その後の拡大を目指していくことが必要です。

 伝統産業や豊富な地域資源など従来からの観光素材に、健康やアニメといった新たなコンテンツを加えた周遊観光を展開するとともに、観光協会等との強固な連携による誘客活動に努めてまいります。

 人々を魅了する伊万里焼や伊万里牛、伊万里梨などの伊万里ブランドについては、引き続き観光施策との連携によりPRを強化するとともに、後継者の育成や飼育頭数の増頭、樹園地の改植など、産地を守る取組を支援し、ブランド力の向上に努めてまいります。

 また、新たに、慶應義塾大学と連携したデジタルマーケティングの実証実験に取り組み、ウェブデータの利活用や効果的な情報発信などにより、郷土愛の醸成と併せ、更なる知名度の向上に努めてまいります。

 交流人口の拡大のみならず、市外にいながら本市に継続的に関わりを持つ「関係人口」の創出を図るため、伊万里信用金庫と連携し、都市部の優秀な人材が持つノウハウやスキルを地域経済の振興に活用する新たな取組を進めてまいります。

 

 第五には、「安全・安心な暮らしづくり」です。

 市民の皆様が幸福を実感するためには、暮らしの安全と安心が確保されていることが大前提となります。

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種については、健康福祉部内に設置した専門部署が推進役を務め、医師会などとも十分連携しながら、計画的かつ迅速な対応を図り、市民の命と暮らしを守る取組に全力を挙げてまいります。

 また、私たちの生活に欠かせない水を、衛生的に安定して供給するため、地域住民の意見を踏まえながら、水道未普及地域の解消等に努めてまいります。

 さらに、山代町楠久津地区の排水機場の整備に取り組み、道路や家屋など地域の浸水被害の軽減に努めてまいります。

 散弾銃射撃場の鉛汚染対策については、専門家からの指導、助言などを踏まえ、引き続き水質検査を実施しながら、汚染土壌の撤去に向けた具体的な検討を進めてまいります。

 

 第六には、「効率的で効果的な行財政運営」です。

 厳しい財政運営が続く中、創意工夫を凝らし、最少の経費で最大の効果を発揮することが地方自治の原則であり、常に追求していかなければならない重要な課題です。

 将来を見据えた公共施設の在り方については、今月末に策定する公共建築物の個別施設計画に基づき、人口動向や財政状況のほか、市民の皆様の意見を十分に踏まえ、公共施設の適正な再配置や効率的な維持管理に努めてまいります。
 特に、公立保育園の民営化については、民間活力を活用した施設の更新につなげるため、運営主体となる社会福祉法人等と緊密に連携し、子どもが健やかに育つ環境の整備を進めてまいります。

 また、ふるさと応援寄附金については、生産者や事業者、行政が一丸となって取り組んだ成果により過去最高の寄附額を更新しており、引き続き魅力ある新しい返礼品の開発などに取り組み、本市の特産品のPRとともに貴重な財源の確保に努めます。

 さらに、国による行政手続きのデジタル化の流れに機敏に対応するため、市役所の行政事務についても効率化と市民サービスの向上につなげるDX推進の取組を本格化させます。

 令和3年度の施策の推進にあたりましては、当面は新型コロナウイルス感染症の対応が中心となるものの、人口減少をはじめ、少子高齢化が顕在化する中で、私は、コロナ禍が続く激動の社会の先に明るい未来を創りあげるという強い信念のもと、積み重なった困難な 課題にも勇気を持って挑戦する1年にしたいと考えています。
 

予算編成方針

 本市の令和3年度における財政状況については、歳入をみると、新型コロナウイルス感染症の影響等により、自主財源の根幹をなす個人市民税の大幅な減少が見込まれ、歳出では、社会保障に関する経費や一部事務組合への負担金などの義務的経費のほか、伊万里中学校改築工事、大坪地区における複合施設の整備などの建設事業費が増加する見込みであります。

 

 このような中、昨年10月に策定した「第5次伊万里市財政基盤安定化計画」に基づき、個々の事業を徹底的に見直したほか、コロナ禍における対応も十分配慮した真に必要で緊急性や実現性の高い事業を選択し、財政の健全化を図りながら、堅実な予算編成に努めたところです。

 この結果、令和3年度の当初予算の規模は、
 一般会計 276億4,300万円
 特別会計 145億  518万8千円
 企業会計  73億4,064万9千円 としております。

 

当初予算の主な内容

 以下、今回提案しました予算の主な内容について、重複を避けながら、総合計画で定めたまちづくりの目標に沿ってご説明いたします。

 

 はじめに、安心で健やかな暮らしづくりについて申し上げます。

 

 地域福祉の充実については、誰もが住み慣れた地域で安心して生活を送ることができる地域共生社会の実現に向け、基本的な指針を定める第4次地域福祉計画の策定に取り組みます。

 また、市民の皆様の最も身近な相談窓口となる民生委員・児童委員の活動や市民による福祉活動の中心となる社会福祉協議会の運営を支援するほか、犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図るための見舞金を支給します。

 

 高齢者支援の充実については、在宅医療や介護の関係機関等と地域との連携による地域包括ケアシステムの充実に努めるほか、いきいき百歳体操など市民主体の介護予防の活動等を支援し、地域住民が共に支えあい、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることができる地域づくりを進めます。

 また、老人クラブの活動やシルバー人材センターの運営を支援し、高齢者が積極的に地域との関わりを深め、豊かな知識や経験を生かして地域づくりの担い手としていきいきと活躍できる取組を進めていきます。

 

 障害者支援の充実については、介護給付や訓練等給付などの障害福祉サービスを適切に提供し、障害を軽減するための医療費や補装具等の購入費用を助成するなど、障害のある人の地域での自立した生活を支援します。

 こどもハートフルセンターひまわり園においては、心身の発達に支援を要する就学前の幼児とその保護者を対象に、子どもの個々の特性に応じて、日常生活や集団生活に適応するための訓練や指導を行います。

 

 子育て支援の充実については、近年多様化している保育ニーズに対応するため、引き続き一時保育や休日保育を実施するほか、病後児保育室について市民交流プラザ内に専用施設を整備し移転します。

 また、保育士をサポートする保育補助者等の雇用やICTを活用した保育業務の効率化に取り組む保育所等を支援し、安心して子どもを産み育てることができる保育環境の整備を進めます。

 さらに、家庭の状況に応じたきめ細かな支援を行うため、家庭児童相談員や母子父子自立支援員等を配置します。

 新たに、子どもの貧困についての調査に基づいた対策計画を策定するほか、支援が必要な児童に食事を提供し見守り支援を行う民間団体の活動等を支援します。

 留守家庭児童クラブにおいては、支援員を増員し、支援を要する児童への対応を強化するほか、施設の拡充により待機児童の解消を図るなど支援体制の充実に努めます。

 また、運営に必要な人材を安定的に確保するため、支援員の処遇改善に取り組みます。

 

 低所得者支援の充実については、生活困窮者に寄り添った支援を行うため、専門の相談員や指導員を配置します。

 また、離職等により住居を失うおそれのある人などを対象に住居確保のための支援を行います。

 

 保健医療体制の充実については、妊婦や乳幼児の疾病の予防と早期発見のため、健康診査の実施や費用の助成のほか、1歳6か月児等の健康診査や4か月児訪問事業による全戸訪問の際に育児相談を行うなど、子どもの心身の成長発達に応じた相談体制の充実に努めます。

 また、出産を希望する夫婦の経済的負担を軽減するため、不妊治療費の一部を助成するなど、子どもが健やかに生まれ育つための取組を推進します。

 さらに、各種がん検診の受診率向上に努めるとともに、抗がん剤の副作用によりかつらの購入を必要とする人に対し費用の一部を助成するほか、感染症の発生や蔓延を予防するため、子どもと高齢者の定期予防接種を実施します。

 健康づくり活動の推進については、コミュニティセンター等での健康相談や食生活改善による食を通じた健康づくりを推進するなど、市民の健康意識の向上を図ります。

 さらに、生涯を通して歯の健康を保つため、幼稚園や保育園、小中学校および義務教育学校を対象に、品質や安全性が認められた医薬品を用いて、フッ化物洗口を実施します。

 地域医療の充実については、地域の中核的病院である伊万里有田共立病院をはじめ、医療や看護の担い手を育成する伊万里看護学校の運営を支援するほか、医師会等と連携し、休日・夜間急患医療センターや病院群輪番制などの円滑な運営を図ります。

 

 二つ目に、創造的で心豊かなひとづくりについて申し上げます。

 

 学校教育の推進については、小中学校および義務教育学校において、魅力ある学校づくりや学びの環境の整備を図るための学校運営交付金を交付するとともに、学校運営協議会の設置によりコミュニティ・スクールを推進し、地域と一体となった特色ある学校づくりを進めます。

 また、学校施設の適切な保守管理を行い、トイレの洋式化についての検討を進めるなど、児童生徒が安心して学習活動に取り組むことができる教育環境の整備に努めます。

 

 生涯学習の推進については、多様な学習ニーズに応じた「伊万里学」などの学習活動の充実を図ります。

 市民図書館においては、市民との協働による運営のもと、生涯学習の拠点として、家読やブックスタート、調べる学習コンクールなどの取組を進めます。

 

 青少年の健全育成の推進については、いじめや不登校などの悩みを抱える青少年やその家族からの相談に対応するほか、青少年育成市民会議などの関係機関と連携した体験活動の実施により、青少年の健全育成を図ります。

 

 文化芸術・スポーツの振興のうち、文化芸術の振興については、市民の文化活動の成果を発表する場であり、市民が文化芸術を鑑賞する機会となる市美術展や市民音楽祭について、感染症対策に十分に配慮したうえでの開催を目指します。

 また、多文化共生の地域づくりを推進するため、日本語教室を開催するなど、増加する外国人住民と市民との交流を図る取組を行います。

 スポーツの振興については、市民が広くスポーツに親しむ機会として、グラウンドゴルフ大会や伊万里ウオークなどを開催するとともに、スポーツ推進委員を中心に各地域における生涯スポーツの振興を図ります。
 また、7月から開催予定の東京オリンピック・パラリンピックへの関心と期待を呼び起こすため、聖火リレーを実施します。

 スポーツ施設の整備については、令和6年に開催することとなった 国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会佐賀大会に向けて、会場となる国見台球技場や野球場の改修に取り組みます。

 

 人権教育と啓発の推進については、同和問題をはじめとする人権問題について、地区巡回講座等の市民への学習の場の提供や動画の配信等による啓発活動の展開に努めます。

 また、小学生を対象とした人権の花運動や高校生を主体としたハートフルフォーラムを実施し、人権尊重の意識の高揚を図ります。

 

 文化財の保護については、鍋島焼の歴史認識や今後の整備事業についての理解を深めるため、国史跡大川内鍋島窯跡の発掘調査の成果を市民に広く公開するほか、引き続き市内遺跡の確認調査を実施し、埋蔵文化財の保護に努めます。

 

 三つ目に、活気あふれる産業づくりについて申し上げます。

 

 農林水産業の振興のうち、本市の主要な産業である農業については、水田農業の担い手の経営安定と競争力の強化を図るとともに、収益性の高い園芸農業を確立するため、農業機械やハウスなどの施設整備を支援するほか、土地改良区が行う東山代干拓の区画の整理や水路等の整備を支援するなど、生産性向上による農家の経営の安定化を図ります。

 また、農業の生産条件が不利な中山間地域等において、中山間地域等直接支払交付金を活用し農地の適正な管理に努めるとともに、有害鳥獣の駆除に要する経費等への支援を行い、農作物の被害軽減に努めます。

 林業については、森林環境譲与税の活用により、森林所有者の意向に基づく今後の管理方針についての計画を策定し、意欲と能力のある林業経営者を市が仲介することにより、森林管理の適正化と林業経営の効率化を図ります。

 また、森林整備や県内産木材の利用を促進するため、森林組合などが行う間伐材の搬出や作業路の開設に要する費用を支援します。

 水産業については、良好な海域の環境や生態系を維持し、水産資源の確保による安定的な漁業の振興を図るため、地域住民が行う漂着物の 回収や漁業協同組合が行う稚魚の放流などの活動を支援します。

 

 商工業の振興については、地域の特性や潜在能力を生かした創業が活発に行われるよう、伊万里商工会議所が取り組む専門家相談や創業塾の開講等を支援します。

 また、本市の伝統産業である窯業の振興を図るため、後継者の確保や育成のほか、感染症防止の観点を踏まえた新たな誘客や販売促進に取り組む伊万里鍋島焼協同組合の活動を支援します。

 

 観光の振興については、伊万里フェアの開催などにより、伊万里焼をはじめとする伊万里産品のブランド価値の向上や販売の促進を図るとともに、連携協定を締結している日本航空株式会社のネットワークやPR媒体を最大限に活用し伊万里の魅力を効果的に発信するなど、本市の観光資源の国内外への認知度向上に努めます。

 また、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、市内周遊観光券の発行などに取り組む観光協会を支援するほか、佐賀県観光連盟等の関係機関と連携した営業プロモーション活動の推進や観光客の受け入れ体制の充実を図ることで、コロナ禍で落ち込んだ交流人口の回復を目指します。

 

 港湾の活用については、伊万里港の国際的な物流拠点としての更なる発展を図るため、佐賀県や民間企業等と連携し、伊万里港セミナーの開催を通して、伊万里港活用の利点を広く紹介するなど、国内外の荷主や船会社への積極的なポートセールスに取り組み、コンテナ貨物の集荷を 促進します。

 

 四つ目に、生活の基盤づくりについて申し上げます。

 

 道路・交通体系の整備については、道路は市民生活や経済活動を支える重要な社会基盤の一つであるため、市道重橋・中山線などの改良や市道中山・井野尾線の歩道整備を行うほか、老朽化が進行する橋りょうや道路照明灯の計画的な維持補修による長寿命化を図ります。

 西九州自動車道については、市内全区間の早期開通を目指し、地元期成会等と連携しながら、関係機関への積極的な提案活動を行います。

 公共交通については、高齢者や障害のある人、学生などの交通弱者をはじめとする市民の皆様の移動手段を確保するため、市街地などを巡回するいまりんバスを運行するほか、地域が取り組むコミュニティバスやデマンドタクシーの運行を支援するなど、地域の実情に応じた 交通体系の維持や確保に努めます。

 

 上下水道の整備のうち、上水道については、水道施設の更新計画に基づき、有田川浄水場の排水処理施設の更新に着手するほか、老朽化した管路の更新を進めるなど、安全で安心な水道水の安定的な供給に努めます。

 また、下水道については、公共下水道施設の長寿命化を図るため、ストックマネジメント実施計画の策定に着手するとともに、老朽化している浄化センターの汚水ポンプや宿地区農業集落排水処理センターの機械設備等の更新を行うなど、下水道施設の適切な維持管理に努めます。

 さらに、公共下水道と農業集落排水の処理区域外において、浄化槽の普及促進のための設置費用の補助を行います。

 

 都市空間の形成については、交通事情の変化などの現状に即した都市計画道路の計画の見直しに着手するほか、市内各地の公園について、長寿命化計画を策定し、市民の憩いの場として安全かつ快適に利用できるよう、適正な維持管理に努めます。

 

 住宅施策の推進については、市営住宅において、断熱改修やガス管改修などを行い、住環境の改善や施設の長寿命化を図るとともに、一般の住宅において、所有者が行う耐震診断やブロック塀の除去の費用の一部を補助し、地震による住宅の被害への不安の解消を図ります。
 また、市内で増加傾向にある空き家については、法律や条例に基づき、所有者への指導や助言のほか、解体費用の一部の補助や緊急対応として、安全を確保するための措置などを行います。

 

 五つ目に、住みよい環境づくりについて申し上げます。

 

 生活環境の保全については、一般廃棄物を適正かつ衛生的に処理するため、さが西部クリーンセンターの運営を支援するほか、ビン類やペットボトルなど再資源化が可能なものについては、環境センターにおいて適切な中間処理を行います。
 また、良好な自然環境と生活環境を維持するため、市民大清掃や伊万里湾岸清掃などの環境美化活動を促進するほか、水質や騒音、振動などの測定を行い状況の把握に努めます。

 

 防災体制の整備については、多発する集中豪雨に対応し、浸水などによる被害を軽減するため、雨水排水路やポンプ場を適正に管理するとともに、河川改修や急傾斜地崩壊危険区域の整備を行うなど災害による被害の軽減や防止に努めます。

 また、地域の防災力向上を図るため、地区防災委員の研修や情報伝達訓練を実施するとともに、コミュニティセンターにおける災害用の備蓄品を充実させるほか、防災情報を確実に伝達するため、防災行政無線の適切な運用に加え、補完的な役割を担う戸別受信機の 設置などを進めます。

 さらに、火災や自然災害から市民の生命や財産を守るため、伊万里・有田消防組合を支援するほか、消防団の円滑な活動を支援するため、運営交付金の増額や小型動力ポンプ付積載車の更新などに取り組みます。

 

 暮らしの安全・安心の確立については、交通安全意識の向上を図るため、交通対策協議会を中心として、交通安全運動などの機会を捉えた啓発活動を行います。

 また、今後5年間の本市の交通安全対策の方向性を定める第11次の交通安全計画の策定に取り組みます。
 市民の皆様の日常生活で生じる相続などの法的判断を必要とする問題等の解決を図るため、弁護士や司法書士などによる専門的な相談窓口を開設するとともに、複雑化し多様化する市民の消費生活相談に対応する相談体制の充実に努めます。

 

 最後に、自立と協働のまちづくりについて申し上げます。

 

 市政に関する情報共有と市民参画の促進については、広報紙や市ホームページに加え、SNSや動画共有サービスなどの情報発信手段を活用し、的確で迅速な行政情報や災害情報の提供に努めます。

 また、市政に関する意見や提案を広く募集するパブリックコメントや伊万里っ子ポストの取組により、行政運営への市民の参画を促進します。

 

 市民との協働によるまちづくりの推進については、地域住民自らが発案し、地域資源を生かした活力ある地域づくりに取り組むまちづくり団体等の活動を支援します。

 

 男女協働参画社会の形成については、第4次男女協働参画基本計画の改定に向け市民意識調査を実施するなど、男女協働参画に関する意識を向上させる取組を促進します。

 また、男女間のあらゆる暴力の根絶のため、未然防止のための啓発活動を積極的に行うとともに、関係部署や関係機関と連携し、被害者への切れ目のない支援に努めます。

 

 自立した行財政運営の確立については、第6次総合計画の前期基本計画の期間が令和4年度で満了となることから、市民アンケートを実施するなど、後期基本計画の策定作業に着手します。

 行政手続きの簡略化による利便性向上などを目的に国が定着を図っているマイナンバー制度については、健康保険証としての利用が拡大され運転免許証等としての利用も計画されているマイナンバーカードの取得促進に努めます。

 また、本庁舎をはじめ市民図書館や体育施設などの照明設備のLEDへの更新について、効率的な手法による実施を検討します。

 

 移住・定住の促進については、ワンストップで住まいや仕事等の情報提供を行うなど、移住希望者のニーズに応じた相談窓口の充実を図るほか、40歳未満の転入世帯を対象に、新築住宅や空き家情報バンクに登録されている物件の購入費等を助成し、子育て世代の転入促進を図ります。

 婚活の推進については、地域ならではの特色を生かした魅力ある婚活イベントを実施し、登録者や成婚者の増加に努めます。

ダウンロード

 市長提案理由説明(HP用).pdf(515KB)