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平成29年第1回定例会 市長提案理由説明について


平成29年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2017年3月1日更新)

はじめに

 平成29年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案いたしました平成29年度当初予算並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

政治信条

 平成29年度は、私にとりまして、市政運営4期目の仕上げの年となります。今任期にあたり、私は、「暮らしの安全と安心の確保、地域産業の振興、賑わいと活力の創造」を3本の柱として、市民と同じ目線に立った考え方と前例にとらわれない発想による市民本位の市政運営に邁進してまいりました。

 これまで、市民の皆様の安全と安心の確保を重要施策として、市内全域への防災行政無線の整備着工をはじめ、集落を単位とする防災マップの作成、広域連携によるさが西部クリーンセンターの整備や子どもを安心して産み育てるための子ども医療費の対象年齢の拡大等に取り組んできたところであります。

 特に、玄海原子力発電所の再稼働については、昨年2月に九州電力との安全協定を締結したところであり、今後も30キロ圏内は地元自治体であるとの考えから、市民の皆様の原発に対する不安に寄り添い伊万里市の考え方を明確に述べていく決意であります。
 
 また、市民待望の西九州自動車道の市内区間の開通や伊万里港の有機的な連携に向け着々と進む臨港道路の整備、さらには、神戸港と結ばれ世界へとつながるフィーダー航路の開設など、将来にわたり発展の礎となる都市基盤や産業基盤の整備を着実に進めることができました。
 
 このような中、伊万里港が開港50周年の節目を迎えます。古くは古伊万里の積出港として世界に名を馳せ、今日では工業港として、また、国際物流港として、伊万里の賑わいと活力の源として成長を続けてまいりました。

 まさに、伊万里港の歴史は本市発展の歴史であり、連綿と続いてきた先人たちの努力の結晶であるこの伊万里を誇りを持って次代に引き継ぐことが、今を生きる私達の使命であると強く感じているところであります。
 
 アジアへ向けた伊万里港と福岡都市圏に向けた西九州自動車道という西九州北部地域のゲートウェイとしての確固たる成長力を手にした今、私は、これまでの市政運営の実績の上に、将来をしっかりと見据え、市民の皆様の英知と行動力を結集し、国内はもとより世界へと大きく翔(は)ばたく、存在感のある伊万里市づくりに挑戦していく決意であります。

市政を取り巻く情勢

 さて、今日の社会経済情勢については、英国の欧州連合(EU)離脱の決定や、米国の新大統領の誕生に伴う環太平洋パートナーシップ(TPP)からの離脱など、従来の枠組みを変える大きな変革期にあり、さらには、世界経済の成長を牽引してきた中国をはじめとする新興国の経済が失速するなど、今後の世界的な激動が懸念される事態にあります。

 また、国内経済は、アベノミクスの取組などにより緩やかな回復基調が続いてはいるものの、景気回復を確かなものにするためには、個人消費の底上げとともに企業の設備投資を拡大する新たな政策の展開が求められています。
 
 国においては、誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる社会を創出する「一億総活躍の国創り」が推進されており、経済成長を阻害する構造的な問題となっている少子高齢化の克服に向けた取組により経済成長を図るという、世界に先駆けた挑戦が始められています。

 本市においては、国の経済対策の効果により雇用情勢の改善等は進んでいますが、企業収益や個人所得への波及効果は充分に得られていない状況にあり、さらには、平成27年度の国勢調査において、少子高齢化の傾向と併せて、特に若い女性の流出が顕著となるなど、人口減少対策は地域経済の活性化とともに本市の喫緊の課題となっています。

まちづくりの基本方針

 このように先行きの見極めが困難な中で、国内外における社会経済情勢のめまぐるしい変化に機敏に対応していく一方で、少子高齢化対策や財政健全化など長期的な政策課題についても、一歩一歩着実に成果を積み上げていく戦略的な市政運営に取り組まなければなりません。
 
 私は、国が進める「一億総活躍社会」を実現するメインエンジンは地方創生の推進であるとの考えから、さらなる深化に向け、昨年8月に地方創生人材支援制度を活用して総務省から人材派遣を受けたところであり、地方創生推進交付金をはじめ関係する国の制度を十分に活用しながら、関係団体や事業者等との連携による具体的な実行計画のもと、すべての市民が職場や地域など、あらゆる場で生き生きと活躍できるまちづくりに全力で取り組んでいく覚悟であります。

主要な施策

 政策の推進にあたりましては、総合計画の将来都市像である「活力あふれ ひとが輝く 安らぎのまち 伊万里」の実現を目指し施策の展開を図るとともに、市民総活躍の3つの視点から事業の推進に努めてまいります。

 第一に、「市民がしごとで活躍できるまちづくり」であります。
 私は、市長就任以来、市民の皆様の安定した暮らしに不可欠なしごとづくりとして、企業誘致を積極的に推進した結果、多くの雇用を新たに生み出すことができ既存の工業団地はほぼ完売の状況にあります。

 若者の定住対策として効果が高い就労の場を確保するため、国道498号松浦バイパス付近に製造業の立地を想定した新たな工業団地の整備を進めるとともに、民間のオフィス物件を市街地に確保し若者や女性の就労先となる事務系企業の誘致を進めます。

 また、西九州自動車道の伊万里東インターチェンジ(仮称)の開通に伴う本市へのアクセス向上を好機と捉え、福岡都市圏を対象とする観光戦略のさらなる展開により、交流人口の増加を地域経済の好循環へとつなげてまいります。

 新たな市街地形成の拠点としての期待が膨らむ松島搦地区については、都市計画道路大坪木須線の整備が進んでいるところであり、本市の玄関口となる伊万里中インターチェンジ(仮称)の開通を見据え、民間事業者により進められている新たな商業地の開発が、伊万里らしさを感じられるまちづくりにつながるよう、関係者との協議を深めてまいります。
 
 農業については、観光事業との連携により伊万里牛や伊万里梨などのブランド確立や販路拡大を進めるとともに、伊万里梨等の樹園地拡大や老木の改植、繁殖雌牛の導入を支援するなど、生産者の経営安定化と産地の維持、拡大を図ります。
 
 ふるさと応援寄附金については、本市ならではの返礼品の充実により全国から高い評価を得ており、今後も新たな特産品の開発や地域資源を活用したブランド化など将来的に競争力を備えた地域産業の振興につなげてまいります。

 昨年4月に「日本磁器のふるさと 肥前」として日本遺産に認定され、県境を越えて設立された「肥前窯業圏」活性化推進協議会において、今後の事業展開に関する総合戦略が策定されることから、肥前陶磁文化に関する情報発信や観光コンテンツを充実させるなど、圏域が一体となった効果的な誘客活動につなげてまいります。

 また、昭和63年に始まった大連市との友好交流が30周年を迎えることから、記念事業を開催するとともに、公務研修生の受け入れなどの人的交流で得た成果を経済交流をはじめ、観光交流、スポーツ交流などあらゆる分野の交流へと展開できるよう、国際戦略の視点から検討を進めます。

 第二に、「市民が地域で活躍できるまちづくり」であります。
 本市では、「小さな拠点」づくりとして、地域住民が行政や事業者等と連携し、生活に必要な機能の確保や地域の資源を生かした事業の展開により持続可能な地域を目指すまちづくりを進めており、波多津町をモデル地区と位置づけ事業に取り組んでおります。
 
 現在、まちづくり活動の拠点として波多津町コミュニティセンターの整備を進めており、コミュニティビジネスの取組を活性化するため、波多津町まちづくり運営協議会のNPO法人化を促進し自律的で持続的なまちづくり活動を支援します。

 また、大川町においても自発的な取組として、大川町コミュニティ運営協議会によるコミュニティバスの10月の運行開始に向けた準備が進められており、このような住民主体による地域の元気を生み出すまちづくり活動のさらなる拡大を期待するところであります。

 専門部署を新設して取り組んでいる移住・定住の促進については、本年1月から奨励金制度を創設したところ多くの問い合わせを受けており、新たな取組として、都市圏の若者を地域おこし協力隊として採用し、若者の視点からの移住施策の検討や地域のまちづくり活動の活性化を図ります。

 移住者の受入に際しては、特に、空家の提供や地域における包容力が欠かせないものであることから、議員や市民の皆様のご協力をお願いしたいと考えております。
 
 第三に、「女性が活躍できるまちづくり」であります。
 本市では、一人一人が自立し、社会のあらゆる分野に平等に参画し責任を分かち合う社会、互いの違いや多様な生き方を認め尊重する社会を実現するため、昨年4月に男女協働参画を推進する条例を施行するなど、女性が活躍しやすいまちづくりを推進しております。

 ワーク・ライフ・バランスを推進し、男女が仕事と家庭生活、地域活動などを両立し円滑に継続できるような男女協働参画社会を実現するための指針を盛り込んだ第4次男女協働参画基本計画を策定します。

 しごと創りセンターPORTO(ポルト)3316 IMARIについては、市内外からの注目を集め、既にICT関連企業や大学生による起業の取組が始まっています。今後さらに、女性や若者の多様な働き方につながる活動が展開されるよう大きな期待を寄せているところであり、市民の皆様とともに応援し育ててまいりたいと考えております。
 
 また、子育てと仕事の両立を支援する取組として、留守家庭児童クラブについて、対象学年を計画的に拡大するほか、施設の拡充や支援員の増員など受入体制を整備するとともに、小中学生の医療費助成について、現物給付へと移行し保護者の申請手続きを簡略化するなど、働きやすい環境づくりと子育てにかかる経済的な負担の軽減に努めます。

 ただいま申し上げました「市民総活躍のまちづくり」を実現するためには、冒頭申し上げましたとおり、市民の皆様の暮らしの安全と安心が確保されることが不可欠であります。
 
 このため、災害の発生時に主要な情報伝達手段となる防災行政無線の平成30年度の市内全域への整備完了に向け、工事の円滑な進捗に努めるとともに、避難の際に支援が必要となる市民の情報を集約するなど、災害から安心して避難できる体制づくりを進めてまいります。
 
 また、市民の皆様が快適に利用できる公共施設等の環境整備として、大坪小学校と松浦小学校、市民図書館、伊万里湾大橋球技場、牧島運動広場のトイレの整備に取り組むほか、新たに産後うつを予防するための産婦健診の受診の促進や5歳児巡回相談の実施など母子保健事業の充実を図るとともに、各種がん検診の受診負担金を引き下げることにより受診率の向上を図り本市において死因の第一位であるがんの早期発見と早期治療を促進します。

 さらに、市政運営の最上位の計画である総合計画について、平成31年度を初年度とし概ね10年間を計画期間とする第6次計画の策定に取り組み、その基礎調査として市民アンケートを実施するほか、「市長と語ろう『伊万里の夢づくり』座談会」を地区公民館で開催し、市民の皆様の意見の反映に努めてまいります。

当初予算編成の考え方

 本市の財政は、社会保障関係の経費や特別会計への繰出金など義務的経費が増加している一方で、歳入の根幹となる市税は、企業収益の伸び悩み等により法人市民税の増加が期待できない状況にあるなど、厳しい運営を余儀なくされています。

 このため、既存事業の徹底した見直しを行うとともに、財政調整基金や減債基金等に加えて、ふるさと応援寄附金の活用などにより、限られた財源の中で、堅実でありながらも、老朽化した学校施設の改築や市民の健康長寿につながる保健事業の充実、子どもを産み育てやすい環境づくりなどに配慮した予算編成に努めました。
 
 この結果、平成29年度当初予算の規模は、
  一般会計 248億700万円
  特別会計 178億7,796万8千円
  企業会計  56億4,319万1千円 といたしております。

当初予算の主な内容

 以下、今回提案いたしました予算の主な内容について、重複を避けながら、総合計画で定めたまちづくりの目標に沿ってご説明いたします。

 はじめに、安心で健やかな暮らしづくりについて申し上げます。
 地域福祉の充実については、市民の福祉へのニーズが多様化する中で、総合相談窓口の設置やボランティア人材の育成などにより地域福祉を推進する社会福祉協議会の運営を支援するとともに、市民の皆様の最も身近な相談窓口となる民生委員・児童委員の活動を支援します。
 
 また、国や県において犯罪被害者やその家族への支援の動きが進む中、本市においても、新たに犯罪被害者等に対し遺族見舞金や傷病見舞金を支給する制度を創設します。

 高齢者支援の充実については、介護保険法が改正されたことに伴い、医師会など関係機関との連携により、新たに在宅による医療と介護の一体的な提供やアドバイザーの活用による地域ぐるみの支援体制の構築を促進するとともに、認知症患者とその家族の支援や高齢者見守りのネットワークを形成するなど、地域包括ケアシステムの構築を図ります。

 また、高齢者が個人の尊厳を保持しながら、住み慣れた地域で健やかに安心して暮らせる社会の実現のため、高齢者に対する保健福祉や介護等の施策を総合的に推進する第4次高齢者福祉計画および第7期介護保険事業計画を策定します。
 
 さらに、地域共生ステーションの防犯対策を支援するとともに、高齢者の就労機会を創出するシルバー人材センターや高齢者の生きがいづくりに取り組む老人クラブを支援するほか、住民が主体となって運営する集いの場の自立的な拡大を図るため、いきいき百歳体操を取り入れた介護予防活動を促進します。
 
 障害者支援の充実については、障害福祉サービスの提供体制の確保や事業の円滑な実施について定める第5期障害福祉計画を策定するとともに、障害者等からの申請による手話通訳者等の派遣をはじめ、障害を軽減し日常生活能力の向上を図るための医療の給付など、障害者の地域における自立した生活を支援します。
 
 また、こどもハートフルセンターひまわり園において、心身の発達に支援を要する幼児と保護者を対象に、日常生活等に適応するための訓練や指導を行います。
 
 子育て支援の充実については、先ほど申し上げましたように、留守家庭児童クラブの施設等を拡充するほか、病後児保育や延長保育等を 実施するとともに、子育てファミリーサポートセンターを運営するなど、多様な保育ニーズに対応した子育て支援サービスを提供します。
 
 また、児童手当の支給や幼児のインフルエンザ予防接種の助成のほか、多子世帯における4人目以降の児童生徒の給食費の助成やひとり親家庭の就業支援など、保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、子育てを社会全体で支える取組を進めます。
 
 さらに、子育て支援センターで実施する育児相談をはじめ、ひとり親家庭や心身に障害のある児童を持つ家庭からの相談など、家庭の状況に応じたきめ細かな支援体制の充実に努めます。
 
 開始から7年が経過し、多くの成婚に結び付き着実に成果が現れている結婚活動の支援については、出会いの場を提供するとともに、婚活サポーターの活動の活性化を図ります。

 低所得者福祉の推進については、生活困窮者に対する専門的な立場から助言指導を行う面接相談員や就労支援専門員を配置するなど、支援が必要な人に寄り添った体制を整えるほか、離職により住宅の確保が困難な人に対し家賃相当額の給付を行います。
 
 保健活動の推進については、不妊治療費や妊婦健診費用を助成するとともに、特定健康診査の受診者負担金を継続して無料とするほか、地区公民館等において健康に関する教育や指導を行うなど、心身の健康づくりについての啓発活動に取り組みます。
 
 また、国民健康保険の被保険者について特定健康診査の受診等をポイント化して特典を交付する健康マイレージ事業に新たに取り組むなど、疾病を予防する取組を進めます。
 
 医療体制の充実については、西部保健医療圏の中核的病院である伊万里有田共立病院や病院群輪番制の運営を支援するほか、休日・夜間急患医療センターや在宅当番医制の円滑な運営により、様々な疾病やケガに柔軟に対応できる適切な医療の提供に努めます。
 
 二つ目に、創造的で心豊かなひとづくりについて申し上げます。
 生涯学習の推進については、将来の伊万里市を担う人材を育成するため、地域貢献を志し地域づくり活動の企画立案や実践に取り組む若者を伊万里未来プランナーとして養成します。
 
 また、市民図書館においては、図書館資料の充実に努めるとともに、開館から21年が経過し老朽化が進む設備を改修するなど、図書館サービスの向上を図ります。
 
 さらに、昨年9月に「日本一のうちどく推進のまち・いまり」を宣言したところであり、新たに黒川町うちどく広め隊を中心とする全市的な取組を促進し、家読に対する市民意識の高揚を図ります。
 
 青少年の健全育成の推進については、子どもの安全な居場所づくりとして地域住民と児童が交流する放課後子ども教室を開催するほか、いじめや不登校など青少年やその保護者の悩みに対応するため、学校や関係機関と連携した相談体制の充実に努めます。

 学校教育の推進については、小中一貫校南波多校の教育効果を高めるため、校舎を小学校敷地に増築するとともに、平成31年度からの伊万里中学校の新校舎建設に向けた基本設計を行うほか、パソコン教室にタブレットPCを配置するなどICT利活用教育の充実を図ります。
 
 また、心や体に不安を抱える児童生徒を支援するため、スクールカウンセラーを派遣するほか、学校内において児童生徒をサポートする支援員を28人から46人に大幅に増員するなど、安心して学習する ことができる環境を整えます。
 
 学校給食センターにおいては、8月から調理業務を民間事業者へ委託し、民間事業者の調理技術や効率的な運営手法の活用により安全で安心な学校給食の提供に努めます。
 
 スポーツの振興については、国見台陸上競技場の第3種公認を更新するため、フィールドの改修工事や投てきサークル等の整備を行うほか、松浦町におけるスポーツ・レクリエーション施設の整備に向けた用地購入に取り組みます。
 
 また、生涯スポーツの振興においては、市民グラウンド・ゴルフ大会や伊万里ウオークなど、市民が気軽にスポーツを楽しむ機会を提供するとともに、ニュースポーツの普及や指導を通してスポーツ推進委員など地域のスポーツ指導者の育成を図ります。
 
 さらに、競技スポーツの振興においては、市内一周駅伝競走大会や高校野球大会等を開催するほか、4年ぶりに本市を中心に開催される第70回県民体育大会への出場を支援し、さらなる競技力の向上に努めます。

 定着してきた高校生や大学生のスポーツ合宿については、宿泊費の一部を支援するとともに、県内外から多数のランナーが参加するハーフマラソン大会では、参加者やその家族が伊万里の魅力を体感する機会として、物産展などの開催による伊万里ならではのおもてなしを実践するなど、スポーツツーリズムの観点から本市の観光PRに努め、さらなる交流人口の拡大につなげます。

 人権教育と啓発の推進については、関係団体と連携し高校生を実行委員とするハートフルフォーラムを開催するとともに、小学生が花の成長を通して人権尊重の理解を深める人権の花運動に取り組むなど、人権意識の高揚を図ります。

 また、同和問題をはじめとする人権問題についての正しい理解を深めるため、市民の人権・同和教育について、地域に密着した地区巡回講座等の実施による学習の場を確保するとともに、各種研修講座により地域の指導者の育成を図ります。
 
 文化活動の推進については、22年ぶりに本市でNHKのど自慢が開催されるほか、市民会館大ホールの吊天井の落下防止対策工事や市民センターの空調設備の更新など施設の整備に取り組むとともに、文化芸術に触れる機会を提供する市民音楽祭や市美術展を開催します。
 
 また、増加している外国人観光客への対応として、市内商店の消費税免税店への登録の支援をはじめ、国際戦略に基づき、佐賀県観光連盟等と連携し東南アジア等において観光プロモーションを実施するとともに、外国人観光客を取り扱う国内旅行会社への働きかけを進めます。
 
 文化財の保護と活用については、歴史的な価値を明らかにし、史跡の整備資料とするため、史跡大川内鍋島窯跡の学術調査を行うほか、肥前地域を象徴する固有の文化財である窯跡を盗掘から守るため、関係機関と連携したパトロールや警告看板の設置などの保護活動を実施します。
 
 また、歴史民俗資料館で趣向を凝らした企画展を開催するとともに、伊万里・鍋島ギャラリーでは、世界に誇る鍋島や古伊万里を公開するほか博物館の整備の可能性について、引き続き調査研究を行います。

 三つ目に、活気あふれる産業づくりについて申し上げます。
 農業の振興については、イチゴやキュウリなどの園芸作物の品質向上や経営コストの削減等に向けた施設等の整備を支援するほか、青年就農給付金や親元就農給付金により地域農業の担い手を育成するとともに、収益性の高い農業の確立を目指すため、経営所得安定対策の活用や高性能機械の導入等を支援します。

 また、イノシシ等の有害鳥獣の駆除や被害防止対策に要する経費等への支援を行い農作物の被害軽減を図るほか、生産条件の不利な中山間地域における農業生産活動を支援し、耕作放棄地の発生防止や農地の適正な管理を促進します。
 
 さらに、農地が持つ多面的機能を良好に保つための地域活動に対する支援を行うとともに、老朽化しているため池等の改修に取り組むなど、災害を未然に防止し農地の保全等を図ります。
 
 本市が全国の中でも先導的に取り組んできた食を活かしたまちづくりを進めるため、第3次伊万里市食のまちづくり・食育推進基本計画の策定に取り組みます。

 林業の振興については、森林の施業および保護に必要な森林経営計画の作成や施業の集約化を支援するとともに、高性能林業機械の導入を支援するなど、林業経営の安定化と適正な森林の管理を促進します。
 
 水産業の振興については、水産資源の確保のための放流事業をはじめ、漁業者等が実施する海域の環境や生態を維持するための活動を支援します。
 
 工業の振興については、地域の特性を生かした起業を支援するとともに、設備投資に対する支援を行うなど、中小企業等の経営安定化に努めるほか、本市の伝統産業である伊万里焼の振興においては、鍋島献上の儀などによる伊万里焼のPRや伝統技法の技術向上と後継者の育成に取り組む団体を支援します。
 
 また、関係団体との協力により、市内外の若者に対し高度な技術力等を有する市内企業をPRし就職を促進するため、伊万里の“いい職”説明会を開催するなど、高校新卒者等の市内定着と市内企業の人材確保を図ります。
 
 商業の振興については、新たに市内企業の魅力ある新商品の販路拡大を目的とする展示商談会への出展を支援するほか、中心市街地の活性化のため商店街への賑わいづくりを行う団体等の取組や伊萬里まちなか一番館の運営を支援します。
 
 観光の振興については、首都圏や福岡都市圏のホテルにおいて伊万里産食材を使用した限定メニューを伊万里焼の器で提供する伊万里フェアを開催するとともに、唐津市内の西九州自動車道の沿道に伊万里牛をテーマとして本市へと誘導する看板を新たに設置するなど、福岡都市圏からの誘客を柱とした観光戦略のさらなる展開を図ります。
 
 また、本市の豊かな自然を生かしたグリーン・ツーリズム事業に取り組む団体を支援するほか、農業体験を盛り込んだ体験型観光として「畑の中のレストラン」の開催を支援し都市との交流の拡大を図ります。
 
 貿易の振興については、九州の国際物流拠点としての地位が高まっている伊万里港を利用しコンテナにより輸出する荷主への助成を引き続き行うとともに、佐賀県伊万里港振興会や民間企業等と連携した国内外の荷主や船社へのポートセールス活動に取り組み、取扱貨物のさらなる増加を図ります。
 
 四つ目に、安全で快適な地域づくりについて申し上げます。
 道路・交通体系の整備については、市街地の円滑な交通を確保する都市計画道路について大坪小学校線の用地購入等を進めるほか、市道の補修をはじめ、道路照明灯などの道路付属物や橋りょうの長寿命化に取り組むとともに、新たにドローン(小型無人飛行機)を活用した橋りょう等の点検を行うなど、安全に安心して通行できる道路環境の整備に努めます。
 
 また、高齢化の進行に伴い重要度が高まっている路線バスや鉄道については、運行事業者やまちづくり協議会などの関係団体等との連携により利便性の向上を図り、将来にわたり持続可能な公共交通網の構築に努めます。

 港湾機能の整備については、伊万里港の物流の効率化を図るため、関係団体等との連携により、国や佐賀県に対し臨港道路七ツ島線の整備促進について働きかけるとともに、浦ノ崎地区廃棄物処理用地については、早期の産業用地としての利用が可能となるよう、港湾計画の変更等に向け、港湾管理者である佐賀県と協力して取り組んでまいります。
 
 上水道の整備については、平成25年度から実施している有田川浄水施設の更新事業を完了させるとともに、有田川取水・導水施設の耐震化や老朽化への対応を進めるほか、アセットマネジメント及び水道ビジョンの策定を行い、将来にわたり安定的な水道水の供給に努めます。

 都市景観の形成については、住環境や道路環境の変化等の状況を考慮して適切に用途地域を見直すなど、計画的なまちづくりを進めます。

 公園等の整備については、市内38か所の都市公園の適正な管理に努めるほか、多くの市民が利用している国見台公園のトリムコースについて快適に利用できるよう舗装の改修を行います。

 居住空間の整備については、市営住宅の適正な管理に努めるとともに、本市の住宅政策の基本となる住生活基本計画や市営住宅の計画的な改修の指針となる公営住宅等長寿命化計画の策定に取り組みます。

 また、地震による家屋の倒壊を未然に防ぐため、一般住宅の耐震診断を支援するとともに、建築物の耐震に関する方向性を示す耐震改修促進計画を策定します。
 
 さらに、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するための空家等対策計画を策定するとともに、空家等の解体や移住の受け皿としての有効活用を支援するなど、適正な管理を促進します。

 下水道等の整備については、浄化センターの汚水処理施設に先駆的な技術を活用した機器等を導入するとともに、老朽化している管路の長寿命化や農業集落排水の井手野地区において処理場の機能更新工事に取り組みます。

 また、平成31年度に予定している下水道事業の地方公営企業法適用に向け、公共下水道事業特別会計の累積赤字解消に努めます。
 
 ごみの減量化と廃棄物の適正な処理については、一般廃棄物の適正な処理を行うため、さが西部クリーンセンターの運営を支援するとともに、再資源化が可能なビン、紙類やペットボトル等のリサイクルを推進します。
 
 環境保全活動の推進については、市民大清掃や伊万里湾岸清掃など市民が主体となった活動を支援するとともに、事業所からの排水の水質調査や大気環境の測定に取り組みます。
 
 消防・救急体制の充実については、火災や自然災害から市民の生命や財産を守るため、伊万里・有田消防組合による消防、救急活動を支援するほか、地域における消防力の向上を図るため、小型動力ポンプ付積載車の更新をはじめ、防火衣等の消防団員の活動装備の充実に努めます。

 防災の推進については、平成17年度から取り組んでいる煤屋川の改修を完了させるとともに、老朽化が進んでいる長浜六本松排水機場と木須新田排水機場の保全改修を行うなど浸水対策に取り組みます。

 また、災害時に主体的に行動する力を育むため、新たに中学生を対象とした防災教育に取り組むほか、地域において防災の中心的な役割を担う地区防災委員の研修や情報伝達訓練を実施するとともに、佐賀県と協力して原子力災害を想定した防災訓練に取り組みます。
 
 さらに、災害時に市民等が的確に避難できるよう、指定避難所となる地区公民館への誘導看板を設置するほか、2月に締結した災害時応援協定に基づき、民間企業と連携し災害発生時におけるドローン等を活用した迅速な支援活動に努めます。
 
 交通安全対策の推進については、交通事故加害者に占める割合が高い高齢者を対象として、運転免許証の自主返納者へのいまりんバスの無料化に新たに取り組むとともに、交通対策協議会の活動を中心とした啓発活動を推進するほか、飲酒運転の撲滅に努めます。
 
 防犯活動の推進については、夜間の安全確保を図るため、地域における防犯灯の設置を支援するとともに、多様化する消費トラブルをはじめとする市民生活における様々な相談内容に対応するため、各種専門相談員を配置します。
 
 五つ目に、自立と協働のまちづくりについて申し上げます。
 適正な情報公開と広報広聴の充実については、広報紙やホームページ等による的確で迅速な行政情報の提供に努めるとともに、災害時の避難情報等を伝達するため、ケーブルテレビ網の波多津町内への配信エリア拡張を支援します。

 また、重要な施策等の決定におけるパブリックコメントの実施や伊万里っ子ポストによる提案など、行政運営への市民参加の促進に努めます。

 市民と行政との協働については、身近な生活に関わる行政情報等に関するまちづくり出前講座を実施するとともに、各種審議会や委員会等の設置にあたっては公募委員を募集するなど、市民の皆様との協働によるまちづくりを進めます。

 まちづくりの担い手の育成については、各町において地域住民が主体となって地域の課題解決に取り組むまちづくり活動を促進するとともに、市民活動団体等が自ら企画し実行する事業の支援に努めます。

 また、市民活動支援センターの利用を促進し、市民活動団体の相互連携と活動の活性化を図るとともに、市民をまちづくり研修に派遣するなど、市民主体のまちづくりのリーダーとなる人材の育成に努めます。

 男女協働参画社会の形成については、伊万里プラザと連携し男女協働参画意識の向上に向けた啓発に努めるとともに、配偶者からの暴力をはじめ女性が抱える家庭や子育てなどに関する相談等に適切に対応します。
 
 効率的な行財政の運営については、第6次行政改革大綱に基づき、市税の収納率向上等による自主財源の確保をはじめ、ICTの利活用や機構改革による事務の効率化などさらなる改革を推進し、市民サービスの向上につなげてまいります。

 また、老朽化が進む公共施設については、公共施設等総合管理計画に基づき、人口減少を見据えた適正な規模や利用状況、運営コスト等を踏まえ今後の統廃合や改修等の検討を進めます。
 
 自立した行政経営の確立については、市民の意見を充分に聴き課題を自ら発見し解決していく政策形成能力を備えた職員の育成に努めます。

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