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令和4年第2回定例会 市長提案理由説明について


令和4年第2回定例会 市長提案理由説明について
(2022年6月10日更新)

はじめに

 令和4年第2回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました補正予算及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

 

2期目にあたっての決意

 去る4月17日に執行されました市長選挙におきまして、多くの市民の皆様の力強い激励と心温まるご支援を賜り2期目の市政運営への負託をいただきましたことは、私にとりまして、この上なく光栄なことであります。

 市長としての使命と職責の重さに、改めて身の引き締まる思いであり、市民の皆様のご期待にお応えし、本市の将来に向けた更なる発展のため、私の持てる力の全てを使ってこの重責を担う覚悟であります。

 さて、1期目は、まずは財政基盤の安定化、教育施設の整備など従来からの課題の解決、またバンリビルへのIT企業の誘致など時代を先導する施策に集中して取組を開始し、さらに人口減少対策や公共施設の適正化など本市の持続可能性をも左右する重要課題の対策に本格的に着手した矢先に、新型コロナウイルス感染症の拡大という予想だにしなかった厳しい局面を迎えることとなりました。

 私は、このように従来の手法や考え方が通用しない困難にも、真正面から全力で取り組み、また、本市の未来を的確に見据え、時代に応じた施策にチャレンジすることにより、本市の更なる成長への礎を築いてまいりました。

 2期目のスタートにあたり、人口減少対策を最大の課題と捉え、コロナ対策をはじめ、緒についたばかりの事業の推進や積み残した課題の解決に向け、1期4年間の取組を継承しつつ、本市を輝く未来へと導く道を切り開く決意を新たにしております。

 私は、本市固有の豊かな自然や先人が築いた歴史、文化を大切に守りながらも、機を逃さず攻めるべきときは攻める進取果敢の姿勢をもって、市民の皆様が未来に希望を持って暮らすことができる伊万里市づくりを推し進める覚悟でありますので、議員の皆様の更なるご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。

 

市政運営の現状認識

 世界各国で新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、まずは、市民の命と健康を守る取組を最優先に進めなければなりません。

 

   また、豊かで活力のある「誰一人取り残さない」社会の実現は、今の時代を生きる私達に課せられた使命であり、世界の共通目標であるSDGsの達成に向けた取組を加速させなければなりません。

 

   このような中、本市において全国の自治体と同様に進む人口減少は、農林水産業や商工業など全ての産業における人材不足の大きな要因となり、加えて、地域においては、まちづくり活動の担い手が不足し、活力の縮小につながることが懸念される状況となっており、可能な限りの方策を尽くして人口減少の抑止の取組を進めていく必要があります。

 

   コロナ禍に伴い東京への一極集中から流出へと人流の変化が始まる中で、大規模な設備投資を伴う市内企業の新たな事業展開や地域の活力を高める各種のまちづくり活動などを力強い原動力として、本市経済の更なる成長と市民生活の質の向上を進め、愛する郷土を将来を担う世代へとつなぐ上で、今こそ守りから攻めへと転換すべき時であるとの思いを強くしております。

まちづくりの基本方針

   市長就任当初から私が一貫して進めてきたひとづくりの政策は、本市を希望ある未来へと導く一本道であり、これからも信念を持って真っ直ぐに取り組んでまいります。

 

   また、時代の変遷とともに新たな課題が数多く現れる中、私は、これまでの堅実な行財政運営を基本としながらも、将来への布石にも積極的に投資する必要があると考えております。

 

   まずは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に万全の対策を講じた上で、特に子育て支援の拡充やデジタル化の推進、教育の充実、産業の振興など、コロナ禍という未曽有のピンチをチャンスに変え一気に加速する政策として、全市を挙げて「いまりSTEP UPプロジェクト」を展開し、九州西北部における活力創造拠点となる持続可能な伊万里市の発展に向け、次なるステージへと大きな一歩を踏み出してまいります。

主要な施策

   この「いまりSTEP UPプロジェクト」では、市民の皆様とともに、4つのアクションに取り組みます。

 

   第1にステップ(STEP)のS、これは支援、サポートのSです。

 

   子どもと子育て世代の安心な暮らしを全力でサポートし、未来を託す子育て応援都市を目指します。

 

   まず、学校について、地域の子どもの教育において学校と地域が連携を深める取組のモデルとして東山代小学校とコミュニティセンター、留守家庭児童クラブの複合施設を整備します。

 

   学校トイレの洋式化や通学路の安全確保など、子どもが安心して学校生活を送ることができるよう、更なる環境の整備を進めます。

 

   学校給食センターでは、設備の老朽化により給食の提供に支障が生じないよう、さらには、アレルギー対策を施した給食を提供することができるよう、大規模な改修工事に着手します。

 

   また、本年4月に新たに公私連携型としてスタートした3つの保育所について、安定的な運営と園舎の整備に向けた取組を支援します。

 

   公園については、障がいのある子どもとない子どもが一緒になって遊べるインクルーシブ公園や地域における基幹的な公園の整備をはじめ、老朽化が進む遊具等の改修など、計画的な整備や更新に着手し、子育て世代が魅力を感じるまちづくりを進めてまいります。

 

   第2にステップ(STEP)のT、これは技術、テクノロジーのTです。

 

   第4次産業革命の中核となるデジタル技術等のテクノロジーをまちづくりに活用し、未来を先取るデジタル都市を目指します。

 

   教育分野においては、プログラミング教育の推進やオンライン授業の実現に向けた環境整備など、また、産業分野においては、スマート農業の導入促進による省力化と生産コストの低減、企業における業務の改善や生産性の向上など、市民の皆様の身近なところにおけるICTの活用を促進し、国が提唱するデジタル田園都市の構築に向けた取組を進めます。

 

   また、デジタルを活用した行政手続きのオンライン化を進め、行政サービス提供の迅速化と効率化を図るほか、地図情報など災害時に有用な情報のデータ化を進め、災害発生時に迅速で的確に対応できる環境を整備します。

 

   市街地で進む空洞化の対策として、企業から派遣された若者を地域おこし協力隊として委嘱し、空き店舗等を地域の資源として活用することで、新たな商業者にとどまらずIT企業等の事務系企業の誘致や起業につなげ、若者のしごとづくりと絡めた市街地の賑わいづくりを進めてまいります。

 

   第3にステップ(STEP)のE、これは経済、エコノミーのEです。

 

   伊万里ブランドなど本市ならではの魅力の効果的な活用による産業の振興を図り、競争に打ち勝つ産業都市を目指します。

 

   本市の基幹産業である農業の振興については、飼料代や園芸施設の加温に要する燃料代など、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発する原油価格や物価高騰の影響を受けた農業者への支援に取り組むほか、次代を担う新規就農者の確保につなげる取組や農業経営を拡大するための新たな挑戦への支援を行います。

 

   伊万里牛、伊万里梨などの農畜産物について、牛舎施設等の改修や伊万里産素牛の購入を支援するほか、梨園における研修生の受入や園地の借受を支援するなど、産地の維持と更なる振興を図ります。

 

   観光戦略の新たな展開を図るため、5月の機構改革で発足させたシティプロモーション推進課を新たに創設する市民交流部に移し、まちづくりと一体となった本市のプロモーション活動を進めていきます。

 

   また、YouTube(ユーチューブ)やInstagram(インスタグラム)などのSNSで活躍するインフルエンサーを起用した新たなプロモーションの展開により、大川内山をはじめとする観光地への更なる誘客を図り、伊万里焼や食、体験など、伊万里ブランドの強みをいかした交流人口の拡大に取り組んでまいります。

 

   第4にステップ(STEP)のP、これは港、ポートのPです。

 

   アジア諸国との近接性と平穏で深い水深を持つという強みを生かし、伊万里港の更なる発展を図り、世界に向けた港湾都市を目指します。

 

   伊万里湾の開発を専門的に所管する部署として伊万里湾総合開発課を総合政策部内に設置し、伊万里港における産業集積の拠点として大きな期待を担う浦ノ崎地区廃棄物処理用地の活用をはじめ、伊万里港の長期構想の策定等に取り組みます。

 

   順調に取扱量が増加しているコンテナターミナルにおいて佐賀県により2基目のガントリークレーンの整備が進められ、また、黒川町において今年度の前半には国による七ツ島大橋が完成するなど港湾機能の強化が進むことから、取扱貨物の増加を促進するなど、国際物流拠点としての更なる地位の向上を図ります。

 

   伊万里港浦ノ崎地区について、世界的なエネルギー政策として注目を集める洋上風力発電に関係する企業などの誘致を強力に推進してまいります。

 

   この「いまりSTEP UPプロジェクト」を推進するためには、プロジェクトを支える人材の確保と多様な世代の連携が不可欠となります。

 

   市内企業の大規模な設備投資やIT企業の立地により、移住・定住施策の推進に強い追い風が吹いており、この機を逃さないために、佐賀県と連携し、新たに「いまり暮らしスタート支援金」を創設するなどUIJターン者への支援を拡充するほか、市民の皆様の協力を得て、移住プロモーション活動を強化することにより本市への若者世代の移住と定住の拡大を図ります。

 

   若者の流出を少しでも食い止めるため、医療、福祉などの高等教育機関の誘致についても、関係者との協議を重ね、着実に前進させてまいります。

 

   また、今日までの本市の発展を支えてこられた高齢者の皆様を対象として、移動手段の確保や生きがいづくり、コミュニティセンターにおける各種活動のための備品整備など、いつまでも元気に活躍していただくことができる地域づくりを進めてまいります。

 

   本市が将来にわたり持続可能な都市として成長を続けていくため、脱炭素社会の実現に向けた取組をはじめ、喫緊の課題である散弾銃射撃場の鉛汚染対策など、伊万里市版のSDGsの取組を進めてまいります。

 

   ただ今申し上げた様々な施策をはじめ、私が掲げる市政運営の中長期的な方針については、民間のアイデアや資金の活用をはじめ、国や県、近隣自治体との連携などを念頭に置いて、市民の皆様や議員の皆様との議論を深めながら、現在策定中の第6次総合計画後期基本計画に位置付け、着実に推進してまいります。  

補正予算の主な内容

   以上、主要な施策についてご説明いたしましたが、今回の補正予算については、当初予算で最小限にとどめていた政策的な経費を中心に、事業の重要性や緊急性を考慮して予算編成を行いました。

 

   また、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、感染症の拡大防止のほか、地域経済のコロナ禍によるダメージからの回復を阻害している原油価格や物価の高騰への対策を加え、市民の皆様の暮らしを守る取組に必要な予算を計上しました。

 

 この結果、一般会計におきましては、歳入歳出それぞれ17億174万9千円を追加し、予算の総額を295億908万7千円とするものです。

 

 以下、今回提案しました予算の主なものについて、重複を避けながら歳出の款ごとにご説明いたします。

 

   総務費については、市民活動支援センターの老朽化した屋上部分の改修にかかる経費をはじめ、地域資源をいかした自発の地域づくりへの取組やコミュニティ活動に必要な自治公民館等の整備への補助金など、住民が主体となったまちづくりの支援に要する経費を計上しました。

 

   また、様々な分野の有識者を政策アドバイザーとして委嘱し市政運営への提言を受けるための懇話会の運営に要する経費のほか、工業用水の確保に向けた新たな水資源の開発の可能性を調査するための経費、駅ビル開業20周年を記念した切符の販売など鉄道の利活用促進に関連するイベント等の開催に要する経費等を計上しました。

 

   さらに、新型コロナウイルス感染症対策として、コンビニエンスストアにおける住民票等の交付に必要なシステム改修に要する経費、駅ビルの利用者に向けた無線LAN機器の設置に要する経費等を計上しました。

 

   民生費については、地域の身近な相談窓口となる民生委員・児童委員の活動の支援に要する経費をはじめ、敬老行事の実施や地域で活躍する80歳以上の元気な高齢者の顕彰に要する経費のほか、新生児を対象とした特別給付金の給付や宅食を通じて支援が必要な子どもの見守り活動を行う団体への支援など子育て支援の充実に要する経費等を計上しました。

 

 また、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金について、申請期限が8月末まで延長されたことから支給に要する経費を追加しました。

 

   衛生費については、不妊治療に必要な費用の助成をはじめ、がん患者のウィッグや胸部補正具の購入への補助、地域医療の担い手を養成する伊万里看護学校への支援に要する経費のほか、河川等の水質保全を図る浄化槽の設置への補助、資源ごみの回収など環境保全活動を実施する団体への支援に要する経費、環境センターにおける焼却棟や煙突の解体工事に要する経費等を計上しました。

 

   また、新型コロナウイルス感染症対策として、今後の感染症の拡大時に速やかに学校や保育所、市民の皆様に届けることができるよう、備蓄用のマスクや消毒液等の購入に要する経費を計上しました。

 

   労働費については、勤労者の福利厚生の向上を図るため勤労者福祉団体への支援に要する経費を計上しました。

 

   農林水産業費については、老朽化したため池の点検や改修に要する経費、瀬戸町の瀬戸新田地区における農地の区画整理に向けた県への負担金、森林の整備を担う人材の育成と確保を図る取組への補助や小学生を対象にした木育活動に要する経費等を計上しました。

 

   また、国の臨時交付金を活用し、原油価格の高騰により影響を受けている漁業者の支援に要する経費等を計上しました。

 

   商工費については、佐賀県を舞台にした人気アニメを活用した観光PRの展開をはじめ、県外からの宿泊者を対象とした市内周遊観光券の発行に取り組む観光協会への支援など市内への誘客に要する経費のほか、大川内山の鍋島藩窯公園について、老朽化した展望台の撤去工事や落石の危険性がある箇所の改修に要する経費等を計上しました。

 

   また、新型コロナウイルス感染症対策として、深刻な影響を受けている市民生活や地域経済を支援するためのクーポン券の配布とプレミアム付き商品券の発行に要する経費等を計上しました。

 

   土木費については、市民の皆様の身近な生活道路である市道の整備に要する経費のほか、市街地の浸水被害を軽減する松島雨水ポンプ場の設備更新に要する経費、大規模な盛土造成地における安全性の調査に要する経費など地域の安全・安心を確保する防災体制の整備に要する経費を計上しました。

 

   また、伊万里港における船舶の安全な航行を図るための久原南地区の浚渫工事への負担金、市営住宅の設備の改修など適正な維持管理に要する経費等を計上しました。

 

   消防費については、伊万里・有田消防組合の運営負担金のほか、消防団の積載車格納庫の建替えや防火水槽の補修に要する経費等を計上しました。

 

   教育費については、伊万里中学校の改築や屋内運動場の改修など、教育環境の整備に要する経費をはじめ、市民図書館における書籍の購入や無線LAN機器の設置、館内照明のLED化に要する経費を計上しました。

 

   また、児童生徒のスポーツ意欲の向上を図るための県内プロチームによるサッカー教室の開催に要する経費のほか、スポーツ合宿の誘致や国見台陸上競技場と庭球場の夜間照明のLED化に要する経費、黒曜石の国内有数の原産地遺跡である腰岳の学術調査に要する経費等を計上しました。

 

   さらに、国の臨時交付金を活用し、物価高騰により影響を受けている学校給食について、食材費の高騰分を補填するための補助金を計上しました。

 

   なお、歳入については、ただいまご説明しました事務事業に要する経費の財源として、分担金及び負担金、国庫支出金、寄附金、繰入金、諸収入、市債を追加するとともに、使用料及び手数料、県支出金を減額するものです。

 

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