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平成30年第2回定例会 市長提案理由説明について


平成30年第2回定例会 市長提案理由説明について
(2018年6月8日更新)

 

(はじめに)

 平成30年第2回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました補正予算およびその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

 

 

(就任にあたっての決意)

 

市長就任からおよそ2か月が経過しましたが、先の市長選挙において、市民の皆様の温かいご支持により、市政運営への負託をいただいたことは、この上ない光栄に存じます。

これまで経験したことのない人口減少社会を迎え、重要課題が山積している中、市長に就任しましたことに、その使命と責任の重さを再認識し、まさに身の引き締まる思いであり、これまでの行政経験で培った私の持てる力を十分に発揮し、自ら限界を設けることなく課題の解決に真摯に取り組み、責任をもってやり遂げる覚悟です。

私は、選挙活動を通して、地域の隅々まで足を運び実情に触れながら、地域の皆様とご意見を交わす中で、まさに「課題は現場にある」こと、まちづくりの課題はまちに身を置いてこそ発見できることを痛感しました。

このことから、私は職員とともに、あらゆる機会を捉えてまちに出て、ふるさとへの熱き想いにあふれた市民の皆様との対話を深め、この伊万里が、本当に「住んでいてよかった」と実感できるまちになるよう、「仁政」の志をもって、市政運営に邁進する所存でありますので、議員の皆様のご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。  

 

(市政運営の基本方針)

 

さて、我が国の総人口は、少子高齢化の進行を背景に、平成20年をピークに減少局面に入っており、国を挙げての地方創生の取組が進められていますが、人口減少に歯止めがかからない状況に変化はありません。

本市の人口動向についても同様であり、市民福祉のさらなる向上と地域の発展を図るためには、これまで以上に限られた資源を有効に活用し、市政運営の仕組みや考え方、予算の優先順位や使い方を常に検証し見直していくことが大切であると考えています。

もちろん、このような状況にあっても、将来を見据えた施策の展開は必要であり、特に市勢発展の基礎となる人づくりについては、重点的な投資ができるよう、取組を再構築してまいります。  

 

(重点施策)

 

「人は城、人は石垣、人は堀」

戦国武将として名高い武田信玄は、家臣や領民を大事にし、多数の優秀な人材を見出し活用することにより、乱世に道を切り開きました。

現代のまちづくりにおいても、子どもから高齢者、障害のある人などあらゆる市民の皆様が、生き生きと活躍できるステージをいかに用意できるか、また、担い手となる人材をいかに確保するかが、将来の発展に向けた鍵を握ります。

特に、子どもは未来を担う大切な宝であり貴重な人材です。その育成を図るため、何よりも子どもが学習活動に専念できる環境を整備することが重要です。

このため、学校現場との対話を深め、まずは老朽化が著しい学校施設の整備や維持補修を最優先で進めてまいります。

その上で、学校現場でのきめ細かな対応ができるよう、新たに学校長の裁量で使途を決定できる交付金制度を創設するとともに、公立保育園や幼稚園についても同様の制度を創設します。

また、耐震化が必要な伊万里中学校については、来年度からの建設に向けた実施設計に取り組みます。

さらに、県内の他市町に比べて遅れている、小中学校の全ての普通教室へのエアコンの設置やデジタル教科書の本格的な導入を、計画的に推進してまいります。

留守家庭児童クラブについても、不足している施設の整備に取り組むこととし、旧南波多中学校の校舎を活用して南波多児童クラブの施設整備を行うほか、大坪第4児童クラブの既存施設の改修による整備計画を見直し、新たな専用施設の整備を本年度中に行います。

なお、児童クラブの運営は本年4月から民間業者に委託されておりますが、運営状況の検証をはじめ、子育て世代の皆様や支援員の皆様との対話を行いながら、常に運営の改善に努めてまいります。

老朽化した保育園の整備については、大坪公民館の敷地内において、大坪保育園と公民館との複合施設の整備を予定しており、地域との連携を深めた新しい保育の実現と多世代交流の拡大による地域の活性化を目指して、基本設計に取り組みます。  

 

(まちづくりの主要な施策)

 

明治維新から150年を記念し開催されている「肥前さが幕末維新 博覧会」において、本市出身の偉人として取り上げられている森永太一郎翁は、異国の地での人種差別を乗り越え、不屈の闘志で西洋の菓子製法を習得し「日本の製菓王」と呼ばれるまでになった信念貫徹の人でした。

将来に希望が持てる伊万里市を実現するため、私も信念を持って多彩なまちづくりに取り組んでまいります。

本年3月、西九州自動車道の伊万里東府招インターチェンジが開通し、福岡都市圏との時間距離がさらに短縮されました。

この機会を逃すことなく、本市固有の歴史や文化、焼き物や農畜産物等の特産品など、本市の魅力ある資源を存分に活用し、関係団体の皆様との対話を重ねながら、都市圏からの誘客を進め、市内での消費を促し、市内産業の振興につなげる活動を戦略的に展開し、交流人口の拡大による賑わいのあるまちづくりを進めてまいります。

まずは、個人旅行者をターゲットにした、市内での食事や買い物、体験について費用の一部を助成する市内周遊観光券の発行に取り組み、その成果を検証した上で今後の取組につなげてまいります。

なお、西九州自動車道のさらなる延伸をにらんだ新たな道の駅の整備計画については、関係機関と十分に協議した上で検討することとします。

人口減少対策として、就労先の確保が不可欠であるため、しごとづくりに力を入れ、本市で育った若者の市内への定着と市外からの若者の流入を図り、本市の産業やまちづくりを支える人材の確保に努めてまいります。

このため、企業誘致に関する情報収集の強化に取り組み、佐賀県との連携により、IT関連企業など事務系企業を中心としたさらなる誘致活動を推進してまいります。

また、本市の将来を見据え、企業誘致活動を有利に進めていくため、製造業誘致の拠点として、松浦町における伊万里東部(松浦地区)工業団地(仮称)の造成に取り組むこととし、優良企業の誘致に努めます。

さらに、進出企業や地場企業など市内企業の皆様と連携し、市内の優良企業や事業所を地元の高校生や市外の大学生に紹介する「いい職」説明会の内容を拡充するほか、「ふるさと伊万里就業奨励金」を創設し、既存の移住・定住制度と連携しながら人材の確保を図ります。

本市の市制施行以来の最重要施策である伊万里湾開発については、これまでの取組をしっかりと引き継いでいくこととし、浦ノ崎地区における埋め立て地の産業用地化など、関係機関と連携して、臨海部の整備を促進するとともに、積極的なポートセールスにより、さらなる利用促進に努めてまいります。

また、伊万里港へのクルーズ船誘致を進めるため、観光客の受入体制のあり方について、佐賀県と連携しながら、本市が中心となり、周辺市町とともに協議、検討してまいります。

地域のまちづくり活動については、地域住民が自発的に立ち上がり、地域交通の確保や高齢者の支援など、わがまちの課題を把握し解決を図る取組が、本市においても活発になっています。

こうした市民主導のまちづくり活動は、人口減少や高齢化が進む中、地域の暮らしの維持や発展につながるものとして重要性が増しており、積極的に支援するとともに、今後さらに、地域の課題の解決にスピード感を持って取り組むことができる体制づくりが不可欠だと考えています。

このため、地域の元気推進事業や21世紀市民ゆめづくり計画支援事業など、従来の取組を当面は継続しつつも、地区公民館をはじめとして、地域との対話を深め、現場で決定し、すぐに対応することができる体制づくりに向けた検討を進め、今後、具体化してまいります。

また、地域との連携を深めることにより、地域包括ケアシステムの強化を図り、高齢者の生活を様々な形で支え合う地域づくりの実現に努めるとともに、障害のある人の自立した生活の支援を推進してまいります。

まちの課題として要望の多い、道路の整備については、子どもや高齢者を優先した通学路や生活道路の段差の解消など、歩行者や自転車が安全で利用しやすい道路の整備を進めることを重視しながら、地域の皆様と積極的に対話し取り組んでいきたいと考えています。

また、防災行政無線の整備や、松島搦地区の浸水対策等に取り組むほか、日頃から地域の皆様との連携を密にしながら、実効性の高い防災訓練に取り組むなど、自然災害等から市民生活の安全を守り、市民の皆様が安心して暮らすことができる体制づくりに努めてまいります。

なお、地域防災の要である消防団については、出動手当等の来年度の改善実施に向けた検討を進めるとともに、県内でも低いと言われている団員報酬のできるだけ早期の是正を図りたいと考えており、関係者の皆様と協議を進めてまいります。

以上、当面取り組む主要な施策について説明しましたが、この他、耐震化が完了していない東山代小学校の建設については、私の今任期中にめどをつけるとともに、私の公約であります、集客力のある商業施設と公共施設を複合化した施設を中心市街地に整備し、人の流れをつくり、賑わい創出を図るプランについては、これまで説明しました事業の進捗状況を見ながら、庁内にプロジェクトチームを設置するなど、検討に着手してまいります。

また、このような将来への投資となる事業を推進するためには、十分な財源の確保が必要であり、そのためには既存事業の見直しが不可欠です。

まずは、市交際費等の内容を吟味し、必要最小限のものに絞り込むなど、今回議論していただいている特別職の退職手当の不支給をはじめ、足元からの見直しに着手しており、引き続き、市のあらゆる事業を対象に十分な検討を行います。

その取組においては、関係者の皆様との対話を深めることからはじめることとし、来年度以降においても、事業の成果を検証し、次の予算編成で改善していく好循環を生み出す仕組みづくりにつなげてまいります。

繰り返しになりますが、今議会以降も、庁内での議論だけではなく、議員の皆様をはじめ市民の皆様との議論を深めていき、中長期的な市政運営の方針については、現在策定中の第6次総合計画に位置付け、着実に推進してまいります。

 

(補正予算の主な内容)

 

少子高齢化の進行等に伴い扶助費が増加するなど、厳しさが増す本市の財政状況において、今回の補正予算は、当初予算で最小限にとどめていた政策的経費を中心に計上するとともに、人づくりへの重点的な投資の観点から、事業の重要性や緊急性を考慮し、編成を行いました。

なお、骨格予算とは言いながら、当初予算に計上され既に年度当初から実施されている事業もあることから、現場の混乱を避けるため、必要最小限の編成としています。

この結果、一般会計におきましては、歳入歳出それぞれ12億1,982万7千円を追加し、予算の総額を255億5,167万1千円とするものです。

以下、今回提案しました補正予算の主な内容について、重複を避けながら歳出の款ごとにご説明申し上げます。

はじめに、総務費については、明治維新150年を記念した地域主体のイベントの開催をはじめ、遊休化した不動産を活用したリノベーション活動を促進する取組など、市民によるまちづくり活動の支援に要する経費を計上しています。

また、各行政区が行う防犯灯設置への補助に要する経費や婚活の推進に要する経費を計上するとともに、昨年度に策定した再生可能エネルギービジョンに掲げた重点プロジェクトの実現可能性調査の委託料のほか、市が持つ債権、特に私債権の収納率向上を図るための管理体制の強化に要する経費等を計上しています。

民生費については、老朽化している公立保育園の園舎やトイレブース等の修繕料のほか、第2期子ども・子育て支援事業計画策定に必要な基礎調査の委託料など、子育て支援の充実に要する経費を計上しています。

また、障害のある子どもを受け入れる保育園等への支援や福祉ホームを運営する社会福祉法人等への支援など、障害のある人の地域での生活の支援に要する経費等を計上しています。

衛生費については、不妊治療やがん患者のかつら購入の補助に要する経費や、地域医療の担い手の確保につながる伊万里看護学校への支援に要する経費を計上するとともに、浄化槽の設置促進に要する経費、リサイクルサンデーや生ごみの堆肥化など、環境保全活動を実施する 団体等への支援に要する経費等を計上しています。

農林水産業費については、次世代を担う農業者の育成と確保を図るための新規就農者への支援をはじめ、農業経営の安定化に必要な有害鳥獣の駆除活動や営農集団等が行うハウス施設の長寿命化等への支援のほか、伊万里牛の販路拡大等に要する経費を計上しています。

また、整備後50年以上が経過している東山代干拓地の再整備に向けた事業計画書作成の委託料のほか、災害の未然防止や農業生産の維持等を図るための老朽化した水利施設やため池の改修に要する経費等を計上しています。

商工費については、新たな雇用の創出につながる工場等の新設や増設を促進するための経費をはじめ、伊万里商工会議所が行う特定創業支援事業の支援に要する経費のほか、本市の特産品の魅力を発信し観光誘客の促進を図る伊万里フェア等の開催に要する経費を計上しています。

また、観光振興団体への支援に要する経費のほか、老朽化が進む大川内山藩窯公園に設置された関所の門柱の取替工事に要する経費など、観光振興を図るための経費等を計上しています。

土木費については、本年秋頃に予定されている武雄市の若木バイパス供用開始に伴う開通式開催のための負担金のほか、都市計画道路大坪小学校線をはじめとする市民の日常生活に根ざした道路の整備に要する経費を計上しています。

また、橋りょうの定期点検や河川護岸の改修工事に要する経費のほか、特定空家の倒壊や火災の未然防止等を図るための除却に対する補助に要する経費、市営住宅の適正な運営に要する経費等を計上しています。

消防費については、全国女性消防団員活性化全国大会への参加に要する経費、消防団の円滑な運営のための車両の更新に要する経費等を計上しています。

教育費については、伊万里中学校の建設に係る実施設計等をはじめ、大川小学校や山代中学校のプール施設の改修など教育環境の整備に要する経費、学校図書館の電算化に要する経費、今後本格導入するデジタル教科書を有効に活用していくための教職員による研究に要する経費など、児童生徒の学習環境の整備に要する経費のほか、市民図書館の書籍等の購入や、家読活動の推進に要する経費を計上しています。

また、伊万里市内で開催される「全九州高等学校ホッケー競技大会」の運営の支援をはじめ、ハーフマラソン大会、伊万里ウオークなど各種スポーツイベントの開催やスポーツ合宿の誘致に要する経費のほか、地域への貢献を志す若者など、将来の伊万里市を担う人材の育成に必要な生涯学習の機会創出のための経費、散弾銃射撃場の環境対策に必要な用地購入などに要する経費等を計上しています。

災害復旧費については、急傾斜地崩壊危険区域の崩壊防止工事に要する経費、急傾斜地や崖地の崩壊による被害の増大を未然に防止するために県が行う対策工事への一部負担に要する経費等を計上しています。

 なお、歳入については、ただいまご説明しました事務事業に要する経費の財源として、分担金及び負担金、国庫支出金、県支出金、寄附金、繰入金、諸収入および市債を追加するものです。

次に、特別会計についてご説明申し上げます。

介護保険特別会計については、293万3千円を追加し、予算の総額を61億1,187万2千円とするもので、介護保険制度の改正に伴う介護保険システムの改修に要する経費等を計上しています。

公共下水道事業特別会計については、1億7,308万5千円を追加し、予算の総額を23億54万8千円とするもので、平成31年4月からの地方公営企業法適用に伴う企業会計システムの導入に要する経費のほか、浄化センターの機能更新や汚水管の埋設に要する経費等を計上しています。

農業集落排水事業特別会計については、2,640万円を追加し、予算の総額を1億4,859万2千円とするもので、井手野地区の処理場の機能更新に要する経費等を計上しています。

(ダウンロード)


 市長提案理由説明