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令和4年第1回定例会 市長提案理由説明について


令和4年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2022年3月1日更新)

はじめに

 令和4年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました令和4年度当初予算及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

 

市政運営にあたっての基本姿勢

 平成30年4月、多くの市民の皆様の負託をいただき、市政運営の重責を担うこととなってから、早4年の歳月が経とうとしております。

 この4年間、現場主義を徹底し、真心をもって市民に寄り添う姿勢を貫きながら、「子に過ぎたる宝なし」との信念から子どもを大事に育てるひとづくりを主軸に、市民福祉の向上と本市の輝かしい未来を築く政策の実現に取り組んでまいりました。

 顧みますと、少子化に伴う人口の減少が加速する真っただ中に市長に就任し、まずは、行政資源の効率的な活用により、子どもがふるさとに誇りを持つことができるよう、人材育成への投資に着手いたしました。

 その後、平成から令和への歴史的な転換点を迎えるにあたって、私は、先人が積み上げてきた功績の重さはもとより、市民の皆様の希望に満ちあふれた新時代への期待の大きさをひしひしと感じ、本市の歩むべき新たな道を渾身の力で切り開いていかなければならないという思いを強くいたしました。

 このような中、全世界において新型コロナウイルスという未知なる敵との戦いが突如として始まり、本市においても、あらゆる活動が制約を受け、かつて経験したことがない大きな試練に直面しました。

 こうした困難な時代にあっても、市民の皆様が未来への希望を持ち、いきいきと暮らしていくことができる持続可能な伊万里市を創り上げていくためには、人口減少対策や感染症対策など、複雑化し多様化する課題に逃げることなく真正面から向き合わなければなりません。

 私は、これこそが、市のリーダーとして私に託された役割と責任であると強く認識し、従来の手法や考え方に捉われない斬新で大胆な発想とたゆまぬ努力をもって、刻一刻と変化する社会情勢に柔軟かつ機動的に適応していく取組を、持てる力の全てを振り絞って進めてまいりました。

 

主要な取組

 今日までの主な取組としましては、まず、身を切る改革として現任期に係る市長の退職手当と現任期中に任命した副市長などの特別職の職員の退職手当を支給しないこととするとともに、市政の総点検としてゼロベースから真に必要な事業の見極めと再構築を進めた結果、実質公債費比率等の財政指標が好転するなど、財政の健全化に一定の効果を上げることができました。

 この成果をもとに、主軸であるひとづくりを推進するため、伊万里中学校の建替えをはじめとする小中学校の施設整備を最優先に進めるとともに、プログラミング教育に代表されるICT教育の充実、留守家庭児童クラブにおける開設時間の延長などの受入体制の強化、県内では唯一となる、保育園とコミュニティセンターを一体化し地域全体で子どもを支え育てる施設の整備を進めてまいりました。

 加えて、保育等の専門大学を運営する学校法人永原学園と連携協定を結び、子どもの健やかな成長を教育と福祉の双方から育む取組をスタートさせるなど、子どもへの重点投資と子育て環境の充実に力を入れてまいりました。

 また、私も先頭に立って誘致活動に取り組み、時代を先導するIT企業の進出が相次いで実現したことにより、ビジネス支援オフィスが満室になるなど、若者の流出の抑制につながる働く場の確保を進めながら、進出したIT企業と連携しポストコロナ社会を見据えたデジタル化の流れを加速させていく、本市独自の強みを創り出してまいりました。

 高い品質による魅力を誇る伊万里焼や伊万里牛、伊万里梨などの地域ブランドについては、生産や販売の拡大と産地の育成に最大限の努力を続けてきたところです。

 

 特に、ふるさと応援寄附金の返礼品として、伊万里ブランドを全国にPRしたことで、今や25億円を超える寄附の実績につながり、そのことがまた地場産業の振興にも貢献するといった高い相乗効果を生み出してまいりました。

 地域のまちづくりについては、利活用の選択肢を増やすため、地区公民館をコミュニティセンターに移行し、市民の皆様がこれまで以上に知恵と工夫による魅力ある地域づくりを実践しやすくなる拠点施設とすることにより、コミュニティビジネスの展開や高齢者の生きがいづくりの取組など、住民の幅広いニーズに対応した地域独自のまちづくりを支援してまいりました。

 人口の減少が進む中、市が所有する公共施設については、将来に向けて市民サービスを維持していくためには、人口規模に応じた施設の統廃合を進めながら、長寿命化を図り更新費用を節減した効率的な管理運営を実現することが不可欠であることから、建物の健全度、利用状況などの総合的な検証をもとに公共施設の規模や数の適正化を図る中長期的な計画をしっかりと示し、実行に移してまいりました。

 また、新型コロナウイルス感染症への対応については、国の臨時交付金等を十分に活用し、公共施設における感染拡大の防止に努めたほか、市内企業の事業継続への支援金の給付や個人消費を喚起するクーポン券の発行など、時機を逸することなくスピード感をもって対策を実行してまいりました。

 このように、市政の各分野で着実な成果を収めることができましたのは、議員の皆様をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力の賜物であり、改めて心から感謝を申し上げます。

 令和4年度は、ふるさと伊万里への熱い思いを市民の皆様と共有しながら、これまで積み重ねてきた実績を本市の力強い発展へと転化させていく決意を新たにしているところです。

市政運営の現状認識

 さて、新型コロナウイルス感染症は未だ収束の気配を見せず、日本全体の社会や経済の情勢は、将来が見通しにくい状況にあります。

 しかしながら、マスクの着用や手指消毒の徹底など、市民の皆様と一緒になって取り組んできた感染対策、また、ワクチン接種の効果が着実に現れてきていることに加えて、本市では、半導体関連企業の大型投資など、地域の競争力を高め持続的な発展に導く力強いエンジンの響きが聞こえ始めており、約2年間もの長いトンネルの先に、少しずつ明るい光が見えてきました。

 この将来の輝きに向け着実に前進していくためには、従来からの課題解決の取組を続けながらも、まずは、市民生活と経済活動を早期に正常化させ、持続可能な地域社会を構築していくことが必要です。

 

 私は、社会や経済が激しく変化する時代を市民の皆様と一緒になって乗り越える気概を持ち、徹底した感染対策を最優先にしながらも、人口減少対策や子育て支援、教育の充実、ニューノーマル社会に対応した産業の振興などを、市民の皆様の英知を結集しながら全速前進させていくことが、今を生きる私達に課せられた責務であると考えています。

市政運営の基本方針と主要プロジェクト

 今後の市政運営にあたっては、コロナ禍への対応を進めながら、子ども、若者、デジタル、加えて産業振興をキーワードとして、本市発展の次なるステージに向けた取組を続けてまいります。

 新型コロナウイルス感染症への対応には万全を期し、第3回目のワクチン接種に全力を挙げ、市民の皆様の命と健康を守ることを最優先に取り組むとともに、感染の拡大によって大きな影響を受けている事業者等への速やかな支援を行ってまいります。

 将来の伊万里を支えるひとづくりについては、東山代小学校とコミュニティセンター等との複合施設の整備を着実に進めていくほか、ICTの技術を活用した教育の更なる充実を図ってまいります。

 多くの議論を重ねてきた保育園の民営化については、施設更新の実現や財政負担の軽減の効果に終わらせるのではなく、将来の伊万里を担う子どもが笑顔にあふれ輝きながら成長する姿を思い描いて、伊万里、牧島、南波多の各保育園について、県内初の公私連携型保育所として、民間のノウハウと資源を十分に活用した運営に取り組んでまいります。

 子育て中の親子が気軽に触れ合い、家族の絆を深める場を提供するため、老朽化した公園の再生に取り組み、子育て世代に優しい、暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。

 また、若者世代を引きつけるまちづくりを進めるため、近隣の大学と連携し、市民が大学生や起業家等と出会い、学び、交流することにより、若者の斬新なアイデアや民間企業の経営感覚をまちづくりに取り込む仕組みづくりを進めてまいります。

 市民生活の利便性の向上や企業活動における業務の効率化、企業のイノベーションの創出を図るため、ニューノーマル社会への適応に不可欠なデジタル化の推進を積極的に進めてまいります。

 西九州自動車道については、特に福岡都市圏の住民から見た本市の魅力を更に高める重要なインフラであるため、市内区間における全線開通に向け、早期整備を促進するとともに、伊万里ブランドを生かしたプロモーションにより交流人口の拡大に努め、本市の産業全体に経済効果を波及させる取組を進めてまいります。

 本市は伊万里港とともに発展の歴史を刻んでまいりました。
 令和4年度中には、七ツ島大橋をシンボルとする臨港道路の完成に加えて、海上輸送の効率化を図るガントリークレーンが更に1基増設されるなど、港湾機能の拡充が急速に進んでいます。

 先人から受け継いだ伊万里港という本市固有の財産をしっかりと守り次代につなぐため、関係機関との緊密な連携のもと、国際コンテナ航路の維持拡大や集荷活動の強化に取り組み、東アジア諸国との近接性を有する国際物流拠点として更なる成長を図ってまいります。

当初予算編成の考え方

 本市発展と市民の福祉の向上を図るためには、効率的な事業を切れ目なく展開していくことが必要でありますが、本年は、市長改選の年であるため、今議会に提案している令和4年度予算については、政策的な経費は継続的なものなど最小限にとどめ、主に義務的、経常的経費など、毎年の行政運営に不可欠な経費を計上しております。

 このため、令和4年度一般会計の当初予算の総額は、277億円としています。

 

当初予算の主な内容

  以下、今回提案しました予算の主なものについて、重複を避けながら歳出の款ごとにご説明します。

 総務費については、市長選挙に要する経費をはじめ、市政運営の指針となる総合計画の令和5年度から令和8年度を期間とする後期基本計画の策定に要する経費のほか、地域外の人材の力をまちづくりに取り込み地域の活性化を図る地域おこし協力隊員の配置に要する経費、議事録作成支援システムの導入による行政事務のデジタル化を進めるための経費、ふるさと応援寄附金の募集や返礼品の送付に要する経費及び地域独自のコミュニティバスやデマンドタクシーの運行に要する経費等を計上しました。

 民生費については、児童手当の支給や子どもの医療費助成をはじめ、医療的なケアを必要とする子どもの保育体制の整備や留守家庭児童クラブにおける支援員の増員など、子育て世帯への支援に要する経費のほか、高齢者や障がいのある人が住み慣れた地域で自立した生活を送るために必要な支援サービスの提供に要する経費及び生活困窮者の就労に向けた準備や家計の改善への支援に要する経費等を計上しました。

 衛生費については、妊婦や乳幼児などの健康診査に要する経費をはじめ、伊万里有田共立病院や休日・夜間急患医療センターの運営経費のほか、一般廃棄物を処理するさが西部クリーンセンターの運営経費、ビン類やペットボトルなどの再資源化に要する経費及び快適な生活環境を保つための浄化槽の設置補助に要する経費等を計上しました。

 労働費については、市内外の高校生や大学生などを対象とした伊万里の“いい職”説明会を開催するための経費のほか、勤労者の生活の安定と福祉の増進を図るための福利共済や福利厚生資金の預託金等を計上しました。

 農林水産業費については、中山間地域などの農地や農業用施設の保全に要する経費をはじめ、農業の担い手や後継者の確保に向け新規就農を促進するための補助金、園芸農業の生産基盤を強化するための機械や施設の整備への補助金、伊万里梨や伊万里牛の生産振興を図るための補助金、有害鳥獣の駆除に要する経費のほか、森林環境譲与税を活用し森林の適正管理を図るための間伐に要する経費及び波多津漁港の施設全体の機能を保ち長寿命化を図るための計画の策定に要する経費等を計上しました。

 商工費については、中小企業振興資金の預託金や信用保証料の補填に要する経費のほか、若者の働く場の確保として伊万里東部工業団地に企業を誘致するために必要な活動経費、観光アドバイザーを活用して誘客を促進するための経費及び福岡都市圏のホテルで実施する伊万里フェアの開催に要する経費等を計上しました。

 土木費については、緊急に対応が必要な道路の補修や道路照明灯の修繕に要する経費のほか、都市公園の遊具の安全点検に要する経費、市営住宅の維持管理に要する経費及び一般住宅の耐震診断に要する経費等を計上しました。

 消防費については、伊万里・有田消防組合の運営経費のほか、消防団に配備している小型動力ポンプ付積載車の更新に要する経費及び「わがまち・わが家の防災マップ」の更新に要する経費等を計上しました。

 教育費については、小中学校の施設の改修やトイレの洋式化に要する経費をはじめ、スクールバスの運行に要する経費、本年4月1日に供用開始を予定している伊万里松浦球技場と伊万里松浦グラウンド・ゴルフ場の運営に要する経費、国見台陸上競技場の第3種公認に向けた施設の改修に要する経費、散弾銃射撃場の水質調査に要する経費及び市民図書館の図書収集に要する経費等を計上しました。

 災害復旧費については、自然災害の発生に備えた農業用施設や土木施設の復旧に要する経費のほか、家屋などに隣接する急傾斜地の崩壊防止に要する経費等を計上しました。

 次に、特別会計について予算の主な内容をご説明します。

 国民健康保険特別会計については、予算の総額を67億8,198万5千円とし、保険給付費及び特定健康診査に要する経費等を計上しました。

 介護保険特別会計については、予算の総額を62億7,534万8千円とし、保険給付費及び地域包括ケアシステムの推進による高齢者の生活支援に要する経費等を計上しました。

 後期高齢者医療特別会計については、予算の総額を14億9,558万円とし、後期高齢者医療広域連合納付金等を計上しました。

 水道事業特別会計については、予算の総額を25億9,316万3千円とし、老朽化した有田川浄水場の排水処理施設の更新に要する経費等を計上しました。

 工業用水道事業特別会計については、予算の総額を19億8,053万7千円とし、長浜浄水場の設備更新に要する経費等を計上しました。

 下水道事業特別会計については、予算の総額を28億4,897万2千円とし、伊万里市浄化センター及び伊萬里津中継ポンプ場の施設の更新に要する経費等を計上しました。


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