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令和2年第1回定例会 市長提案理由説明について


令和2年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2020年3月2日更新)

はじめに

 令和2年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました令和2年度当初予算およびその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

 

政治信条

 平成30年4月に市民の皆様から市政運営の負託を受け、早くも任期の折り返しを迎えようとしております。

 

 今日まで、市民の皆様と同じ目線での対話を重視し、山積する課題に真摯に向き合い解決を図りながら、全力で市政運営に取り組んでまいりました。

 この間、私は、本市の未来を託す子どもに「光」をあて、成長を力強く支援するため、老朽化した学校施設の改修や小中学校の普通教室へのエアコンの設置のほか、全国に先駆けてのプログラミング教育の実施など、教育環境の整備充実に力を入れてまいりました。

 また、市長就任以来の積極果敢な企業誘致活動が実り、ビジネス支援オフィスへのIT関連企業6社7室の入居が決まり、市内への新たな人材の流入と若者や女性の定住の促進を導く新たな「光」を灯すことができました。

 

 さて、日本復興の象徴であった1964年の東京オリンピックから半世紀、再び東京オリンピック・パラリンピックの開幕を迎えるにあたり、5月には市内で聖火をリレーし、市民の皆様とともに平和と希望の「光」を世界につないでいきたいと思います。

 一方、この半世紀の間、本市を取り巻く社会環境は大きく変化しており、特に、社会構造の全般に影響を与える継続的な人口減少は、正面から受け止めなければならない厳しい現実であります。

 歴史から学び守るべき伝統を引き継ぎながらも、時代の趨勢を見越し、「変革」の歩みを進めることが最も大切であり、市民会館大ホールの廃止という苦渋の決断をしたように、変化に伴う苦痛や困難に立ち向かい乗り越えてこそ、新たな強みを持って生まれ変わり、輝かしい未来を切り拓くことができるものと確信しております。

 

 私は、令和の時代の始まりに点火した「変革」のエンジンの回転数を更に上げ、改めてスタートを切り直す気概を持ち、企業や団体のほか市民の皆様一人ひとりにそれぞれの役割で活躍していただきながら一体となって前進する「人がいきいきと活躍する 幸せ実感のまち 伊万里」の実現に向け、先頭に立って渾身の力で邁進する決意であります。

 

市政を取り巻く情勢と市政運営の課題

 近年の日本経済は、雇用環境の改善や企業収益の拡大などによって、内需を中心に緩やかに回復している一方で、相次ぐ自然災害により広範囲に甚大な被害が発生するリスクの増大に加え、長引く米中貿易摩擦や悪化した日韓関係、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大などの影響により、先行きは不透明な状況となっています。

 

 このようななか、国においては、第2期のまち・ひと・しごと創生総合戦略をスタートさせ、活力ある地域社会、稼ぐ地域をつくり、地方への新しいひとの流れを創出することで将来にわたっての成長力を確保することとされており、地方においては、「暮らしやすさ」を追求し、地域の魅力を育み、ひとが集う地域社会を構築することが強く求められています。

 

まちづくりの基本方針

 社会の変化のスピードが速く将来の予測が極めて困難ななか、将来にわたって活力を維持できる伊万里市の構築を図るためには、市民にとっての真の課題を的確に把握し効率的、効果的に解決を図るなど、時代の流れに柔軟に適応していくことが必要です。

 

 このようなことから、地域のまちづくりや市全体のまちづくりについて、企業や団体をはじめあらゆる世代の市民が参画し、多様な主体が英知を結集していくことが不可欠であるため、「時代に柔軟に適応し みんなで支え育てるまちづくり」を基本理念として中心に据え、第6次総合計画に沿った施策の推進を図ってまいります。  

 

主要な施策

 取組にあたっては、市民との協働を基本として、国や県などと密接に連携しながら、複数の事業を横断的、多面的、一体的に進めてまいります。

 

 第一に「しごとづくりと人材の確保」であります。

 若者や女性の就労先となるIT関連企業の誘致については、引き続き先頭に立ってトップセールスを展開するとともに、本市の新たな主要産業としてIT産業の成長を図るため、企業に求められる人材の育成に努めてまいります。

 また、松浦町で整備を進めている伊万里東部工業団地(仮称)は、今月末の完成を予定しており、雇用拡大のための新たな企業の誘致活動を本格化させてまいります。

 さらに、企業の人手不足等を解消し地域の活力を保ち続けるためには、市内高校生等の地元定着のほか、市外在住の若者のUターンやIターンの促進を図る必要があり、伊万里の“いい職”説明会の開催などを通して、市内企業の魅力のPRに努め、市内での就労につながる情報の提供を強化します。

 本市の発展に向けた最大の資源であります伊万里港については、港湾管理者である佐賀県において、伊万里港の将来像を描く長期ビジョンの策定作業が進められており、国際的な物流拠点としての発展を目指し、コンテナヤード等の港湾機能の拡充や浦ノ崎地区廃棄物処理用地の土地利用計画の明確化などについて、関係機関等と連携しながら、積極的に協議に参加してまいります。

 

 第二に「交流人口の拡大によるにぎわいのあるまちづくり」であります。

 観光振興をはじめ企業誘致や移住促進など多様な施策において戦略的な情報発信等を行うシティプロモーションを推進することとし、市民の皆様とともに、本市の魅力を再認識した上で市内外に広く訴求しながら、「選ばれるまち」の創造に力を入れてまいります。

 また、市外から人を呼び込む伊万里ブランドの特産品については、新たに伊万里牛の飼育頭数の拡大に向けた空き牛舎の活用や肥育素牛の増頭を促進するほか、伊万里梨の生産量の維持に向けた改植や新規就農者の確保について支援するなど、産地を守り後世に引き継ぐ取組を進め、魅力の充実を図ってまいります。

 

 第三に、現在、最も優先的に取り組んでいる「将来を見据えた人づくり」であります。

 次代を担う「いまりっ子」が、論理的に考える力を身に付け、IT社会に適応できる知識やスキルを習得できる「プログラミング教育推進のまち『いまり』」を目指すため、IT関連企業との連携によるプログラミング体験ワークショップの開催などに取り組んでまいります。

 また、伊万里中学校の改築工事を引き続き実施するほか、大坪地区における保育園と公民館との複合施設については、地域の皆様のご理解とご協力のもと、現在、実施設計が進んでいることに感謝するとともに、子どもからお年寄りまで世代を超えた交流が可能な施設の整備に努めます。

 

 第四に「市民主導型公民連携のまちづくり」であります。

 担い手不足などにより地域コミュニティの基盤が揺らぐなか、持続可能な地域社会を築くためには、住民自らが主体的に地域のまちづくりに関わり、企業、NPO法人等の多様な主体との連携を強化することが重要であることから、地区公民館をコミュニティセンターに移行し、憩いの場づくりやコミュニティビジネスなどの活動の拠点としての機能を強化するとともに、新たに集落支援員を配置するなど、地域住民の自主的な活動を支援してまいります。

 また、可能な限り住み慣れた地域や自宅で日常生活を送ることができる社会を目指す地域包括ケアシステムの更なる充実を図るため、看護師の資格を有する専門職員の増員および保健師の新たな配置を行い、地域住民や医療福祉関係者、コミュニティセンターなどと十分な連携を図りながら、地域における高齢者の健康の維持と介護予防の一体的な実施に取り組んでまいります。

 さらに、各地区のまちづくり運営協議会等による高齢者支援のまちづくり活動の促進を図ります。

 

 第五に「効率的で効果的な行財政運営」についてであります。

 公共施設については、ファシリティマネジメント推進の観点から、現在進めている市立学校の規模適正化協議会などにおいて市民の皆様のご意見を十分に聞きながら、施設の統廃合や民営化など、地域の実情に応じた公共施設のあり方について検討を進めてまいります。

 また、現在、過去最高の寄附額を更新中のふるさと応援寄附金については、引き続き新たな返礼品の開発に取り組み、貴重な財源の確保と併せて、シティプロモーションとの連携等により、本市の認知度の向上を図ってまいります。

 

 第六に「安全・安心な暮らしづくり」であります。

 長年の懸案でありました山代町楠久津地区の浸水対策について国の制度を活用した排水機場の整備に着手するなど、市民の皆様の生命や財産を守り、本市における国土強靭化の取組を推進してまいります。

 また、近年、自然災害が多発し激甚化するなか、避難所における災害時の情報伝達手段を確保するなど、市民の皆様の利便性の向上を図るため、コミュニティセンターや市庁舎に公衆無線LAN、いわゆるWi-Fiの設置を進めます。

 さらに、地域医療の充実については、医師、看護師など医療従事者の確保が最大の課題であり、国や県をはじめ地元医師会などと十分に連携しながら、市民が安心できる医療の提供体制の構築を図ってまいります。

 

 以上のような施策を効果的に実施していくため、市の組織機構の抜本的な改革を行うこととしており、特に、シティプロモーションの牽引役となる企業誘致や観光振興、情報政策などを横断的に推進する「総合政策部」を新設するほか、現在の市民部を、子どもから高齢者まで切れ目なく支援する「健康福祉部」と、暮らしやすい生活環境の確保、地域住民主体のまちづくりや外国人との多文化共生を支える「市民生活部」に改編します。

 また、土木・建築等の技術の継承や災害対応の効率化、力強い農林水産業の確立を図る「建設農林水産部」を新設するほか、公共施設の適正な維持管理や配置などファシリティマネジメントを全庁的に推進する体制を整備します。

 伊万里市が将来にわたり持続し発展し続けるため、的確な時代認識を市民の皆様と共有しながら、令和の時代の新たな伊万里市づくりへの挑戦を続け、変えるべきところを変え、市民の皆様の笑顔の「光」あふれる未来への礎を築くことができるよう全力で取り組んでまいります。

 このため、私は、令和2年度を、伊万里港の長期計画をはじめ、公共施設のあり方や地域交通と絡めたまちづくり、市民一丸となっての効果的なシティプロモーションなど、多くの施策における本市の近い将来を見据えたビジョンについて、市民の皆様とともに、形あるものにしていく年にしたいと考えています。  

 

予算編成方針

 本市の財政状況については、歳入をみますと、自主財源の根幹をなす市税の大幅な伸びは期待できない状況であるなど、依然として厳しい状態が続いており、また、歳出では、令和2年度から導入する会計年度任用職員制度への対応に要する経費や社会保障に関する経費などの義務的経費のほか、伊万里中学校改築工事、楠久津地区の排水機場整備工事などの建設事業費が増加する見込みであります。

 

 このようななか、令和2年度は、第6次伊万里市総合計画の実質的なスタートとなる年であり、未来への投資を確実に進めるため、財政運営の原則である「入るを量りて、出ずるを制す」を基本として、個々の事業を徹底的に見直し、真に必要で緊急性や実現性の高い事業を選択することにより、財政の健全化を図りながら、堅実な予算編成に努めたところです。

 

 この結果、令和2年度の当初予算の規模は、
  一般会計 267億6,300万円
  特別会計 145億9,020万9千円
  企業会計  73億2,884万1千円 としております。  

 

当初予算の主な内容

 以下、今回提案いたしました予算の主な内容について、重複を避けながら、総合計画で定めたまちづくりの目標に沿ってご説明いたします。

 

 はじめに、安心で健やかな暮らしづくりについて申し上げます。

 

 地域福祉の充実については、市民の皆様の身近な相談窓口となる民生委員・児童委員の活動をはじめ、ボランティアの育成などに取り組む社会福祉協議会の運営を支援するとともに、避難行動要支援者の名簿を活用し、避難時の支援が必要な方の把握等に努めます。

 

 高齢者支援の充実については、高齢者の生きがいづくりや支え合いによる地域づくりに取り組む老人クラブや高齢者の就業機会の創出を図るシルバー人材センターの活動を支援するとともに、いきいき百歳体操等の住民主体の介護予防活動を支援するなど、高齢者の積極的な社会参加を促進します。

 また、認知症の高齢者やその家族等が第三者に対する損害賠償責任を負った場合に補償する制度を創設します。

 さらに、全ての高齢者が住み慣れた地域や住まいで尊厳ある日常生活を送ることができる社会の実現のため、保健福祉や介護等の施策を総合的に推進する第5次高齢者福祉計画および第8期介護保険事業計画を策定します。

 

 障害者支援の充実については、障害を軽減し日常生活に必要な能力の向上を図るための医療費を助成するとともに、介護給付等の障害福祉サービスや相談体制の充実を図るなど、障害のある人の自立した生活を支援します。

 また、こどもハートフルセンターひまわり園において、心身の発達に支援を要する児童とその保護者を対象に、日常生活を円滑に送るために必要な訓練や指導を行います。

 

 子育て支援の充実については、児童手当の支給や医療費の助成とともに、引き続き、幼児のインフルエンザ予防接種にかかる経費や多子世帯の給食費を助成するほか、ひとり親家庭の父母への就労支援等に取り組み、保護者の子育てにかかる負担の軽減を図ります。

 また、子育て支援センターにおける育児相談をはじめ、ひとり親家庭や障害のある子どものいる家庭など、状況に応じたきめ細かな支援体制の充実に努めます。

 さらに、留守家庭児童クラブについては、長期休業中を含めた利用を希望する児童の増加に対応するため、受入定員を増やすなど、保護者の子育てと仕事の両立を支援します。

 

 低所得者支援の充実については、専門的な立場から自立に向けた指導助言を行う就労支援専門員を配置するなど、生活困窮者に寄り添った自立支援に取り組みます。

 

 保健医療体制の充実については、安心して子どもを産み育てるため、不妊治療費を助成するとともに、生後4か月までの乳児を抱える家庭を全て訪問し育児に対する不安や悩みの解消に役立つ情報を提供するほか、妊婦や未熟児がいる家庭への訪問や育児相談などを実施し、支援体制の充実を図ります。

 また、特定健診やがん検診などの受診率向上に努め、生活習慣病の早期発見、早期治療を促すとともに、引き続き、がん患者のかつら購入費用の一部を助成するほか、子どもや高齢者の予防接種を実施し、心身ともに健やかに生活できる取組を進めます。

 医療体制の充実については、西部保健医療圏における地域医療の中心的な役割を担う伊万里有田共立病院のほか、地元医師会による病院群輪番制の運営を支援するとともに、休日・夜間急患医療センターや在宅当番医制の円滑な運営により、地域医療の充実を図ります。

 国民健康保険制度においては、自主的な健康づくりを促す健康マイレージの普及促進を図るとともに、ジェネリック医薬品の積極的な利用促進等による医療費の適正化のほか、国民健康保険税の収納対策を強化し財源を確保するなど、事業の健全な運営に努めます。

 

 二つ目に、創造的で心豊かなひとづくりについて申し上げます。

 

 学校教育の推進については、ICTを利活用した教育環境の充実に努めるとともに、小学5、6年生の教科として新たに加わる外国語への対応を図るなど、未来を生き抜く力を身につけた創造的で個性豊かな児童生徒の育成に努めます。

 学校給食センターについては、徹底した衛生管理のもと、栄養バランス等に配慮した学校給食の提供に努めます。

 

 生涯学習の推進については、地域に密着した社会教育活動や地域づくり活動など、多様な学習ニーズに応じた学習機会の充実を図るとともに、市民図書館においては、市民との協働による運営に努め、引き続き、ブックスタートの取組を実施するほか、児童生徒の本に親しむ環境を整備し、自ら調べて学ぶ力を育みます。

 

 青少年の健全育成の推進については、インターネット依存による生活習慣の乱れのほか、いじめ、不登校など、子どもや家庭が抱える悩みの解消に向け、学校や関係機関と連携した活動の充実に努めます。

 

 文化芸術・スポーツの振興のうち、文化芸術については、市民の文化活動の成果を発表する場として、また、市民が文化芸術に触れる機会として、市美術展や市民音楽祭を開催します。

 また、市民センターにおいては、新たにホールとの同時視聴が可能となるスクリーンを文化ギャラリー等に設置するなど、ホール機能の充実を図ります。

 さらに、増加する外国人住民への対応として、技能実習生等が多く居住する黒川町において新たに日本語教室を開催するなど、多文化共生を図る取組を推進します。

 スポーツについては、市民が気軽にスポーツを楽しむ機会を提供するため、ハーフマラソン大会や伊万里ウオーク、市民グラウンドゴルフ大会などを開催するとともに、スポーツ推進委員によるニュースポーツの普及や指導を通して生涯スポーツの振興を図ります。

 スポーツ施設の整備については、松浦町のスポーツ・レクリエーション施設について、グラウンドゴルフ場や多目的グラウンドなどの工事を進めるほか、既存の体育施設の適正な維持管理に努めます。

 また、令和5年に開催予定の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会佐賀大会に向けて、実行委員会を設立し、関係団体と連携した大会運営の準備を進めるとともに、ホッケーや軟式野球の会場となる国見台球技場や野球場の改修に着手します。

 

 人権教育と啓発の推進については、同和問題をはじめとする人権問題について、地域や関係機関・団体と連携し、小学生による人権の花運動や高校生が主体となるハートフルフォーラムを開催するとともに、地域に密着した地区巡回講座等を実施するなど、市民の人権意識の高揚を図ります。

 また、これまでの教育・啓発の成果や問題点を検証し、今後の取組の指針を定めるための「人権に関する市民意識調査」を実施します。

 

 文化財の保護については、発掘調査を行っている国史跡大川内鍋島窯跡のこれまでの調査成果をまとめ鍋島焼の歴史認識を深めるためのシンポジウムを開催するほか、窯跡などの貴重な文化財を守るため、地域と連携した保護活動に取り組みます。

 

 三つ目に、活気あふれる産業づくりについて申し上げます。

 

 農林水産業の振興のうち、農業については、園芸作物の品質向上を図るほか、収益性を高める施設の整備を促進するとともに、地域農業の担い手となる青年就農者への経営支援のほか、中山間地域等直接支払交付金を活用した耕作放棄地の発生防止や農地の適正な管理に努めます。

 また、農作物への被害だけでなく市民の生活に影響を及ぼすイノシシなどの有害鳥獣の駆除に要する経費の一部を支援し、被害の軽減に努めます。

 さらに、農業における地域の将来の方針を定める「人・農地プラン」について、現在11地区で策定しているものを集落単位に細分化し、各集落の話し合いやアンケート調査等の結果を踏まえた新たなプランの策定に取り組みます。

 林業については、森林環境譲与税を活用し森林管理の適正化を図るため、今後の管理方針について所有者への意向調査を行います。

 また、林道をはじめとする生産基盤の整備や間伐材の搬出を支援するなど、林業経営の安定化等を図ります。

 水産業については、海域の環境保全や生態の維持、水産業および漁村の多面的機能の発揮を図るため、漁業者が行う地域の活動を支援します。

 

 商工業の振興については、伊万里焼の振興を図るため、技術の向上や後継者の育成のほか、日本磁器の最高峰と評価される「鍋島」の国内外に向けたPRなどを行う組合等の活動を支援します。

 また、令和元年12月に国から計画期間の延長認定を受けた「伊万里市創業支援等事業計画」に基づき、専門家相談や創業塾の開講等に取り組む伊万里商工会議所を引き続き支援し、地域の特性や潜在能力を生かした起業や創業を促進するなど、市内企業の振興による経済の活性化を図ります。

 

 観光の振興については、交流人口の拡大や伊万里産品の取引の拡大を図るため、包括連携協力協定を締結している日本航空株式会社などのネットワーク等を最大限に活用するとともに、佐賀県等の関係機関と連携したアジア圏域への誘客活動に取り組むなど、魅力ある本市の観光資源を国内外に発信し、外国人を含めた観光客の受け入れ体制の整備を進めます。

 また、昨年から法人化し、本市の観光を振興する事業を主体的に実践する観光協会の運営を支援し、観光客等の食事や買い物、体験等による市内での観光消費の拡大につなげる取組を進めます。

 

 港湾の活用については、九州の国際物流拠点としての伊万里港の優位性を高めるとともに、コンテナ輸送による取扱貨物の更なる増加を図るため、佐賀県伊万里港振興会や民間企業等と連携し、国内外の荷主や船会社へのポートセールスを積極的に展開します。

 

 四つ目に、生活の基盤づくりについて申し上げます。

 

 道路・交通体系の整備については、都市計画道路大坪小学校線の整備のほか、老朽化した市道中山・上内野線の法面の補修工事や市道重橋・中山線などの改良工事に取り組むとともに、道路橋や道路照明灯の計画的な維持補修に努め、交通安全の確保と利便性の向上を図ります。

 西九州自動車道については、引き続き、地元期成会等と連携し、全線開通に向けた関係機関への提案活動を積極的に展開します。

 公共交通については、いまりんバス市街地線や郊外線の経路を見直し利便性を向上させるとともに、二里町において新たにデマンドタクシーを導入するほか、地域が取り組むコミュニティバスの運行を支援するなど、今後のまちづくりを見据えた上で市民の皆様の移動手段の確保に努めます。

 

 上下水道の整備のうち、上水道については、今後の未普及地区等の対応の方向性について検討を進めるとともに、水道施設更新計画に基づいた施設・設備の老朽化に伴う更新工事等を引き続き行います。

 また、下水道については、西九州自動車道の建設工事に伴う汚水管の移設工事を行うほか、長寿命化計画に基づき、老朽化した施設の更新工事を進めます。

 さらに、公共下水道と農業集落排水の処理区域外において、引き続き浄化槽の設置費用の一部を補助し普及促進に努めます。

 

 都市空間の形成については、用途地域などの区分に基づく適正な土地利用の促進を図るとともに、文化や風土に根差した良好な景観づくりを進めるため、景観行政団体への移行や景観条例の策定等について検討を進めます。

 

 住宅施策の推進については、大久保市営住宅の改修工事や立岩市営住宅のガス管改修工事に取り組むなど、市営住宅の居住性の向上や安全性の確保を図ります。

 また、増加傾向にある空き家については、法律や条例に基づき所有者や相続人に適切な指導を行うなど、市民の安全・安心の確保に努めます。

 

 五つ目に、住みよい環境づくりについて申し上げます。

 

 生活環境の保全については、一般廃棄物の適正な処理を行うため、さが西部クリーンセンターの運営を支援するとともに、ビン類やペットボトルなどをリサイクルするための中間処理を行う環境センターの適切な運営に努めます。

 また、市民大清掃や伊万里湾岸清掃など、市民との協働による環境保全の活動を支援するとともに、事業所からの排水の水質調査のほか、臭気や騒音、振動の環境測定を行うなど、良好な環境の維持に努めます。

 

 防災体制の整備については、火災や自然災害から市民の生命や財産を守るため、伊万里・有田消防組合による消防、救急活動を支援するほか、積載車等を更新し消防団員の活動装備の充実を図るなど、地域における消防力の向上に努めます。

 また、大規模災害に対する高度な防災体制の構築を図るため、上空からの消火、救急、救助等の消防防災活動を行う佐賀県防災航空隊が発足することから、佐賀県および県内自治体と連携し活動を支援します。

 さらに、地域の防災活動の中心的な役割を担う地区防災委員の研修や情報伝達訓練の実施に取り組むとともに、各地区の指定避難所であるコミュニティセンターにおいて食糧等の備蓄品の充実を図るほか、災害情報を迅速かつ確実に伝達するための防災行政無線を適切に運用するなど、地域の防災力の向上に努めます。

 

 暮らしの安全・安心の確立については、交通安全運動等の機会を捉え、交通対策協議会や高齢者交通安全指導員等を中心として、高齢者の交通事故防止等に向けた取組などの啓発活動を推進するとともに、飲酒運転の撲滅に向けた意識の高揚を図ります。

 また、消費生活センターに専門の相談員を配置するとともに、弁護士や司法書士等の専門家による相談窓口を開設するなど、複雑化し多様化する消費生活全般についての相談体制の充実に努めます。

 

 最後に、自立と協働のまちづくりについて申し上げます。

 

 市政に関する情報共有と市民参画の促進については、広報紙やホームページ等により、行政情報や災害時の緊急情報の的確で迅速な提供に努めるとともに、個人情報保護や情報公開の制度を適正に運用するほか、重要な施策等の決定においてはパブリックコメントを実施するなど、市民の行政運営への参画を促進します。

 

 市民との協働によるまちづくりの推進については、まちづくり運営協議会やNPOなどが行う、住み慣れた地域での生活を維持するための活動を引き続き支援します。

 

 男女協働参画社会の形成については、ワーク・ライフ・バランスの積極的な推進を図るほか、ダイバーシティ推進の視点を取り入れた雇用や労働環境を確保する取組を促進します。

 また、暴力やハラスメントを容認しない社会づくりを目指すため、DV防止等の啓発活動を積極的に行うとともに、関係部署や関係機関との連携を強化し被害者への切れ目のない支援に努めます。

 

 自立した行財政運営の確立については、新たに会計年度任用職員制度および任期付職員制度を導入することから、従来の嘱託職員や臨時職員の任用を改め、業務の種類や性質に応じた多様な任用・勤務形態の職員を適切に組み合わせるなど、行政需要の多様化に対応し効率的な行政サービスの提供に努めます。

 また、統計業務については、令和2年は我が国で最も基本的で重要な統計調査である国勢調査の実施の年に当たることから、全ての世帯から正確な回答を得られる体制を整え、国や県と連携した円滑な調査に取り組みます。

 さらに、国が推進しているマイナンバー制度について、一層の普及拡大に努めるとともに、マイナンバーカードの取得を促進します。

 

 移住・定住の促進については、シティプロモーションの取組と連携し、全国に向けた情報の発信に努めるなど、移住プロモーション活動を引き続き実施するとともに、移住希望者が安心して相談することができ、移住後も安心して生活できるよう、相談窓口の充実を図ります。

 また、平成22年度の取組開始から10年が経過する婚活の推進については、引き続き登録者等へのきめ細かなサポートを進めるとともに、各地区と連携した魅力あるイベントの企画や実施により、登録者や成婚者の増加に努めます。

 

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