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平成31年第1回定例会 市長提案理由説明について


平成31年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2019年2月27日更新)

はじめに

 平成31年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました平成31年度当初予算およびその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。

政治信条

 「至誠通天(しせい、てんにつうず)」
 一つひとつの試練に真心をもって取り組み努力すれば、必ず思いはかなう。
 幕末の偉人、吉田松陰が、維新を成し遂げた松下村塾の塾生に伝え残した孟子の言葉です。
 
 昨年4月、市民の皆様の温かいご支援により、市長に就任させていただいて以来、私は、この言葉を念頭に置きながら市政の課題に向き合い、早や1年を迎えようとしています。
 この間、「人を大事にする」として、小中学校における、すべての普通教室へのエアコンの設置や老朽化した校舎、施設の改修に取り組むなど、本市の将来を託すべき「ひと」づくりに直結する教育環境の整備に力を注いでまいりました。
 
 また、「課題は現場にある」として、何よりも、市民の皆様のご意見を幅広くいただくことを基本としていることから、農業や商工業の若手後継者、まちづくり団体や子育て世代の皆様のほか、多数の市民の皆様にご参加いただいた「市長とちょいカフェ」を開催するなど、現場に根差した市民との協働による市政運営の推進に努めてまいりました。

 さて、昨年は、一年の世相を表す漢字として「災」が選出されるなど、全国的に自然災害が多発した年となり、本市においても、7月に未曽有の豪雨に見舞われました。私は、急ぎ陣頭指揮を執り、市民の皆様の安全確保を最優先するため、本市として初めて、市内全域への避難勧告を行い、改めて市長の責任の重みを認識したところであります。

 本年は、4月末日をもって天皇陛下が御退位され、皇太子殿下が5月1日に御即位されることから、バブルの崩壊に始まった経済の長期低迷、阪神淡路大震災や東日本大震災といった大災害の発生など、まさに激動の平成が幕を降ろし、元号が改められる年となります。

 私は、この新しい時代の幕開けを、市民の皆様とともに迎えることができることに深く感謝するとともに、平成の時代を総括し、伊万里市のあるべき姿を再確認した上で、先人たちが築いた礎の上に新たな伊万里市を構築していくため、この新年度を、これまで解決できていなかった課題に果敢に挑戦し、時代の要請に柔軟に適応する進化への序章の年にしたいと考えています。
 
 これから始まる新しい時代に、伊万里市の輝かしい歴史の1ページを加えることができるよう、真心をもって努力を重ね、市民の皆様とともに、ふるさと伊万里への熱い思いを、一つひとつ現実のものとしてまいる決意であります。

市政を取り巻く情勢と市政運営の課題

 国内では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた社会基盤整備の波及効果などにより、景気の拡大が続いている状況にありますが、世界経済において米国と中国の経済摩擦の激化などにより先行きの不透明感が広がるとともに、本年10月に予定されている消費税増税の影響などが懸念されています。

 このような中、昨年12月に発表された国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略2018改訂版」によりますと、平成29年のわが国の総人口は、前年に比べ22万7千人減少し、7年連続の減少となるとともに、東京圏への人口の一極集中の傾向は、いまだに継続しています。

 また、全国的に雇用や所得の環境改善が続く一方で、東京圏とその他の地域との間には一人当たりの所得等に格差が生じており、地方において大多数を占める中小企業では、人手不足感が高まっています。
 
 国においては、人口減少と地域経済縮小の克服、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立に向けた取組を進めるとともに、新たな総合戦略の策定に取り組むなど、引き続き、わが国の成長力を確保するため、地方創生に注力することとされています。

 地方においても、これまでの独自の地方創生の取組を検証しつつ、人口減少を前提とする新たな時代への適応を図り、住民がいつまでも安心して暮らすことができる地域づくりを進めることが求められています。

まちづくりの基本方針

 人口減少等の影響により、産業、医療、介護やまちづくりなど、あらゆる分野で人手不足が進行している状況は、本市においても全国の多数の地域と同様であり、今後は、人口減少が続いても地域が活力を失わず、市民が住み慣れた地域での暮らしを維持できる体制づくりが必要となっています。

 このため、人口減少等の及ぼす影響を最小限に抑えながら、仕事やまちづくり活動などで、地域社会に市民が主体的に参画し、それぞれの役割で地域を支え、地域の課題を住民主体で解決していく「みんなで支え育てる伊万里市づくり」に取り組むことにより、市民の皆様が地域や職場、家庭等で生き生きと活躍する「幸せを実感できるまち」の実現を目指してまいります。

主要な施策

 このまちづくりの目標を実現する鍵となる重要なプロジェクトについては、市民との協働により、また、国や県など関係機関等との緊密な連携を図りながら、次の施策を着実に推進してまいります。

 第一に、「本市の将来を担うひとづくり」であります。
 人口減少が続く中、持続可能なまちを構築するためには、将来のまちづくりや産業等を支える人材の確保が不可欠であることから、ひとづくりについては、本市が最優先すべき課題であると捉えており、引き続き、教育環境の整備や子育て支援の充実に注力してまいります。
 
 小中学校のすべての普通教室へのエアコン設置工事について、できるだけ早期の完了を目指すほか、平成30年度に実施設計を行っている伊万里中学校の建設着工に向けた取組など、小中学校の校舎や施設の整備等を進め、児童生徒が安心して学習に取り組むことができる環境づくりに努めます。

 また、留守家庭児童クラブの開所時間を延長するなど、子育てと仕事の両立支援の拡充により、若い世代が子育てしやすい環境の充実を図ってまいります。

 第二に、「市民との協働によるまちづくり」であります。
 地域での暮らしの維持を図るためには、地域住民が自発的に立ち上がり、わがまちの課題を把握し課題の解決を図る市民主導のまちづくり活動を促進することが必要であります。

 これまで実施してきた地域の元気づくり交付金を発展させ、地域住民が主体となって住み慣れた地域を未来に向けて維持していくため、地域の将来ビジョンの実現に向けた、まちづくり運営協議会等を中心に自立運営を目指す取組を支援してまいります。

 また、地域のまちづくりを支援する組織体制を強化し、地区公民館のコミュニティセンターとしての機能を高める取組について、平成32年4月の実現に向けた検討を進めます。
 
 このような、身近な地域の課題をスピード感を持って解決できる仕組みの構築を図るなど、市民の皆様が住み慣れた地域での暮らしを維持することができる地域重視のまちづくりを推進してまいります。
 
 第三に、「定住につながるしごとづくり」であります。
 市民の暮らしの維持には収入源となるしごとの確保が必要であり、就労先となる雇用の創出について、重点的な取組が不可欠であります。
 
 平成30年度から造成工事に着手している伊万里東部(松浦)工業団地(仮称)については、平成31年度末の分譲開始に向け工事の進捗を図るほか、企業の進出が続くビジネス支援オフィスについて、若者や女性の就労先となるIT関連企業等の集積を図ってまいります。
 
 また、中小企業振興資金の信用保証料の全額補填やふるさと伊万里就業奨励金の交付など、地場企業の活力増進にも引き続き取り組み、若者の定住に不可欠なしごとづくりを強力に進めてまいります。
 
 さらに、重要港湾の伊万里港については、港湾管理者である佐賀県により、港湾機能の再編などを視野に入れた長期ビジョンの検討に着手される見込みであり、コンテナヤード等の港湾機能の拡充や浦ノ崎地区における埋め立て地の土地利用計画の策定のほか、港湾の利活用のためのクルーズ船の誘致など、検討段階から、佐賀県をはじめ関係機関等との連携強化を積極的に図ってまいります。
 
 第四に、「交流人口の拡大による賑わいづくり」であります。
 定住人口の減少により、まちの賑わいが失われ活力が低下することを防ぐため、交流人口の拡大を図ることは重要であります。

 西九州自動車道の早期の全線開通に向け、引き続き、関係機関や団体等と連携した国への提案活動を展開するとともに、土砂災害により通行止めとなっている、南波多谷口インターチェンジから伊万里東府招インターチェンジまでの区間が間もなく開通する見込みであり、改めて福岡都市圏からの誘客活動を積極的に展開してまいります。

 福岡都市圏の飲食店への伊万里焼の貸し出しや伊万里焼の割引券の提供など、積極的な営業活動の強化に取り組むとともに、首都圏や福岡都市圏等のホテルでの伊万里産食材を使用した限定メニューを伊万里焼の器で提供する伊万里フェアを引き続き開催します。

 また、市内周遊観光券の発行について、平成30年度の事業実績を踏まえて引き続き取り組むこととし、来訪者の滞在時間を延ばし、食事や買い物、体験等による市内での観光消費の拡大につなげる取組を進めてまいります。

 第五に、「安全・安心な暮らしづくり」であります。
 安全・安心の確保は、市民の暮らしの大前提であり、行政が責任を持って取り組むべき課題であります。

 昨年の豪雨災害の教訓などから、保存食や飲料水など災害時の備蓄品等について、各地区公民館への配備の拡充を段階的に進めるとともに、地域における消火活動や災害対応の要となる消防団員の報償金の増額などに取り組み、市民の皆様を災害等の被害から守る体制の強化を図ります。

 また、生活道路の区画線やカーブミラー等の整備、老朽化が進む橋梁やため池等の改修を進めるほか、地域による防犯灯の設置を促進するなど、市民の皆様の身近な所から、安全・安心の確保を図ってまいります。

 最後に、「効率的な行財政の仕組みづくり」であります。
人口減少に伴い財政状況の悪化が見込まれる中、将来に向けた持続可能なまちづくりを推進するためには、限られた資源を有効に活用する市政運営の仕組みづくりが、これまで以上に求められます。

 本年1月に、佐賀・長崎両県にまたがる5市6町により連携協約を締結した西九州させぼ広域都市圏での連携事業など、他市町との連携による効果的で効率的な事業の実施に取り組みます。

 また、従来、手が付けられていなかった分野の改革に、積極的に取り組んでまいります。
 公共施設のファシリティマネジメントを推進し、市民会館大ホールや保育園等の整備・運営のあり方のほか、小中学校の施設規模の適正化など、今後の人口減少社会に即した、市民サービスの提供に必要な施設の管理運営のあり方を見直し、民営化や統廃合を含めた再配置等について検討を進めます。
 
 さらに、市税の全期前納報奨金の廃止や市基金の統廃合、上伊万里用地等の土地開発公社からの買い戻し、下水道事業の公営企業会計への移行やそれに伴う上下水道部への組織見直しなど、幅広い分野の改革に挑戦してまいります。

 繰り返しになりますが、伊万里市の将来を担う子どもたちなど将来世代にまちを引き継ぐ責任を果たし、持続可能なまちづくりを実現するためには、既存事業や組織体制の根本的な見直しを進めていかなければなりません。

 このため、今後さらに厳しくなる財政状況等に対応するため、市民の皆様との積極的な情報共有に努めるとともに、真に必要な取組を見極め、そこに限られた財源や人的資源を集中することにより、身の丈に合った効率的で効果的な事業の推進に取り組んでまいります。

予算編成方針

 本市の財政状況は、近年、ふるさと応援寄附金や財政調整基金等の取り崩しにより財政運営を行っている状況であり、特に、これまで増加を続けていたふるさと応援寄附金については、平成30年度において、総務大臣通知による制度運用の見直し等の影響を受け減少する見込みであることから、今後も厳しい財政状況が続くものと見込んでいます。

 このような中、老朽化した公共施設の大規模改修などによる実質公債費比率の上昇、義務的経費の増加による財政硬直化のさらなる進行などが予測されるため、既存事業の見直しを行いながら、必要な事業への投資を行うとともに、限られた財源の中で堅実な予算編成に努めたところです。
 
 また、総計予算主義の原則に基づいて、事業の重点的、計画的推進を図っていますが、一部の政策的事業については、今後の補正予算への計上を見込んだ二段階での予算付けを行っています。
 この結果、平成31年度当初予算の規模は、
   一般会計 253億2,300万円
   特別会計 142億5,085万1千円
   企業会計  75億  576万4千円 としております。

当初予算の主な内容

 以下、今回提案しました予算の主な内容について、重複を避けながら歳出の款ごとにご説明申し上げます。
 
 総務費については、市民の移動手段を確保するため、地域が取り組むコミュニティバスの運行を支援するとともに、タクシー会社への委託によりデマンドタクシーを運行するなど、将来にわたって持続可能な公共交通網の構築に取り組みます。

 また、交通安全への市民の意識向上を図るとともに、高齢者の運転免許証の自主返納を促進するほか、消費に関する各種トラブルの解決に向けた相談窓口を開設するなど、市民生活の安全・安心を守るための取組を推進します。

 さらに、移住奨励金や空き家改修奨励金などの移住・定住を促進する取組により、子育て世代の本市への転入を図るほか、現在、市内で活躍している地域おこし協力隊の活動を支援し、地域の魅力や活力を向上させる取組を進めます。

 そのほか、開始から約9年が経過し着実に成果が現れている結婚活動の支援においては、婚活協定を結んでいる武雄市や長崎県松浦市と共同での婚活イベントを行うなど、登録者への幅広い出会いの場の提供を図ります。

 ふるさと応援寄附においては、自主財源の確保に努めるとともに、本市ならではの特産品のPR等を図り地域産業の振興につなげてまいります。

 女性が活躍しやすいまちづくりを目指すため、平成30年度に第4次伊万里市男女協働参画基本計画を策定したところであり、特に、ワーク・ライフ・バランスの推進については、引き続き事業者と連携しながら積極的に取り組んでまいります。

 九州の国際物流拠点としての地位が高まっている伊万里港においては、佐賀県伊万里港振興会や民間企業等と連携した、国内外の荷主や船会社へのポートセールス活動に取り組み、取扱貨物のさらなる増加を図ります。

 民生費については、市民の福祉へのニーズが多様化、複雑化する中で、住民主体の福祉の中核を担う社会福祉協議会をはじめ、市民の最も身近な相談窓口である民生委員・児童委員の活動を支援するほか、犯罪被害者等に対し見舞金を支給するなど、地域福祉の充実に努めます。

 高齢者の支援においては、高齢者の就業機会を創出するシルバー人材センターや生きがいづくり活動に取り組む老人クラブを支援するとともに、ひとり暮らしの高齢者宅に福祉緊急通報システムを設置するなど、高齢者が地域で健やかに安心して暮らせる社会の実現を図ります。

 障害者の支援においては、障害者生活支援センターにおける相談・支援をはじめ、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの適切な提供等により、障害のある人の地域での生活を支援し、自立と社会参加の促進を図ります。
 
 また、こどもハートフルセンターひまわり園において、心身の発達に支援を要する幼児と保護者を対象に、日常生活等に適応するための訓練や指導を行うほか、通所施設での訓練を支援するなど、障害のある子どもの居場所づくりや健全育成に取り組みます。

 子育て支援においては、平成31年10月から幼児教育・幼児保育の利用料無償化が始まる見通しであることから、情報の収集および周知を図るとともに、私立保育園等の支援や病後児保育の実施などにより、多様化する保育ニーズに対応したサービスを提供するほか、子どもの医療費の助成をはじめ、児童手当の支給や多子世帯における4人目以降の児童生徒の給食費の助成など、保護者の経済的負担の軽減を図り、子育てを社会全体で支える取組を進めます。
 
 また、新たに、保護者の病気等の際に児童養護施設において一時的に児童の養育を行うなど、家庭の状況に応じたきめ細かな支援に努めます。

 生活困窮者については、生活保護受給者に専門的な立場から助言・指導を行う面接相談員や就労支援専門員を配置するとともに、生活保護に至る前の相談支援体制を整備するなど、自立に向けた的確な支援を実施します。
 
 人権に関する市民の正しい理解と認識を深めるため、高校生を実行委員とするハートフルフォーラムを、関係団体との連携により開催するとともに、小学生を対象とした人権の花運動に取り組み、花の成長を通じた人権尊重の理解を深める活動を進めます。
 
 衛生費については、各種健康診査やがん検診の実施など、生活習慣病の予防と早期発見・早期治療を促進するとともに、子育て世代包括支援センターにおける妊産婦の相談支援体制の充実を図り、妊婦健診費用の助成や乳幼児健診を実施するなど、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つための育児支援に取り組みます。
 
 特に、予防接種については、これまで集団で実施していたBCG予防接種を医療機関での個別接種とするとともに、風しんの予防接種を、抗体保有率が低い年代の男性等を対象として実施します。
 
 医療体制の確保においては、西部医療圏の地域医療支援病院である伊万里有田共立病院の経営健全化を図り、支援を強化するとともに、休日・夜間急患医療センターや病院群輪番制、在宅当番医制の円滑な運営により、様々な疾病やケガに柔軟に対応できる適切な医療の提供に努めます。
 
 一般廃棄物の適正な処理を行うため、さが西部クリーンセンターの運営を支援するとともに、松浦町において整備を進めているスポーツ・レクリエーション施設について、工事着工に先立ち文化財発掘調査に取り組みます。
 
 また、ビンや紙類、ペットボトル等のリサイクルを推進し、市民大清掃や伊万里湾岸清掃等の市民が主体となった活動を支援するなど、環境保全活動を推進するとともに、犬の登録や狂犬病予防注射の接種を促進するなど、公衆衛生の向上に取り組みます。

 さらに、公共用水域の水質を保全し、快適な生活環境を確保するため、公共下水道や農業集落排水の供用区域外における浄化槽の設置を促進します。

 労働費については、勤労者の生活安定と福祉増進を図るための福利厚生資金等の原資を預託するとともに、勤労者の自主福祉事業を行う伊万里地区労働者福祉協議会の活動を支援するなど、勤労者の福祉の向上を促進します。

 また、市内企業の人材確保を図るため、ハローワーク等の関係団体と連携し、市内外の若者を対象に、世界有数の技術力を有する市内企業のPRや就職に関する有益な情報提供を行う伊万里の“いい職”説明会を開催するなど、高校新卒者の市外への流出を防ぎ、市外から優れた人材の流入を図る取組を推進します。
 
 農林水産業費については、農業の安定した継続を図るため、農業次世代人材投資資金や親元就農等給付金により地域農業の担い手を育成するとともに、水田農業の確立のための高性能機械の導入支援、野菜や果樹など園芸作物の生産振興施設整備への支援など、収益性の高い農業の確立を目指すほか、イノシシ等の有害鳥獣の駆除、被害の防止や対策を推進し、農作物の被害の軽減を図ります。
 
 また、肉用牛の生産拡大を図るため、関係団体との連携による伊万里牛の銘柄の確立や販路の拡大、肉質の向上に取り組むとともに、新たに肥育素牛の生産拡大に必要な施設等の整備を支援し、高収益型の畜産を実現します。
 
 さらに、生産条件の不利な中山間地域における農業生産活動を支援し、耕作放棄地の発生防止や農地の適正な管理を促進するほか、地域での農村環境を保全する活動を支援します。

 林業においては、林道をはじめとする生産基盤の整備や間伐材の搬出への支援など、林業経営の安定化と適正な森林の管理を促進します。

 水産業においては、漁業者等が実施する海域の環境や生態を維持するための活動を支援するほか、老朽化が進んでいる波多津漁港の施設について、地域住民の利用頻度が特に高い2号輸送道路の補修工事を行うなど、漁業者等が安全に安心して活動することができる環境を整えます。

 商工費については、これまでの製造業を中心とした企業誘致の推進に加え、IT関連企業の誘致に力を入れるなど、積極的な立地勧奨を行うとともに、地域の特性や潜在能力を生かした起業・創業を支援するほか、既存立地企業の設備投資を促進し、雇用の確保や事業拡大を支援します。
 
 また、本市の伝統産業である伊万里焼の振興においては、鍋島献上の儀などによる伊万里焼の国内外へのPRや伝統技法の技術向上と後継者の育成に取り組む団体を支援します。

 さらに、商店街への集客や賑わいづくりのためのイベント等を支援するとともに、中心市街地の集客施設であり、ICTを活用した仕事づくりセンターPORTO 3316 IMARIが開設された伊萬里まちなか一番館の運営を支援するなど、中心市街地の活性化を促進します。

 観光の振興において、観光パンフレットやポスター、DVD、さらには本市マスコットキャラクターを効果的に活用し、伊万里ブランドの魅力を発信することにより、特産品の販路拡大や観光誘客を図ります。

 また、伝統あるいまり秋祭りやどっちゃん祭りの開催により、中心市街地の活性化を図り、市民の協調と連帯を育むほか、市観光事業を主体的かつ強力に実践する伊万里市観光協会の運営を支援します。

 土木費については、市民生活や経済活動を支える最も基礎的な社会基盤である市道の改良を進めるとともに、児童生徒が安全に安心して通学することができるよう、都市計画道路大坪小学校線を整備します。

 また、河川の適正な維持管理に努めることはもとより、水防法の改正に伴う洪水浸水想定区域が見直されたことから、避難場所や避難経路等の災害情報の再調査を行いハザードマップを更新するとともに、低平地で浸水の危険性が高い松島搦地区における雨水渠を整備するほか、老朽化が進む長浜六本松排水機場と木須新田排水機場の保全改修を行うなど、災害の防止を図ります。
 
 さらに、伊万里港においては、老朽化や背後の開発が進み港湾海岸機能の低下や不足を招いていることから、港湾管理者である佐賀県が実施する堤防等の整備工事の経費の一部を負担するなど、適切な港湾海岸の維持管理を促進します。

 そのほか、市街地の土地利用においては、住環境や道路環境の変化等の状況を考慮し、建設される建物の適正な用途地域への誘導を図るほか、適切に用途地域を見直すなど、将来を見据えた計画的なまちづくりを進めます。
 
 都市公園や河川公園においては、市民が安心して快適に利用できるよう、市民と協力して適正な維持管理に努めます。

 市営住宅においては、必要な改修等を行い居住性の向上等に取り組むほか、一般住宅において耐震診断の費用の一部を助成するなど、安全で快適な住環境の整備を図ります。

 近年、増加している空き家の問題においては、所有者や相続人等へ法律や条例に基づく適正な管理を行うよう指導するとともに、倒壊や犯罪、火災の未然防止を図るなど、生活環境の保全に努めます。
 
 特に、特定空家等については、除却などに対する支援に加え、緊急を要する危険な空き家について最小限の安全措置を講じるなど、市民の安全・安心の確保に取り組みます。

 消防費については、迅速かつ確実に災害情報を伝達するため、平成30年度に整備が完了した防災行政無線を適切に運用するとともに、地区防災委員の研修や情報伝達訓練の実施により地域における防災力の向上を図るなど、災害時に円滑に避難できる体制づくりを進めます。

 また、火災や自然災害から市民の生命や財産を守るため、伊万里・有田消防組合による消防・救急活動を支援するほか、地域における消防力の向上を図るため、小型動力ポンプ付積載車等の更新や消防団員の活動装備の充実に努めます。

 教育費については、ICTを利活用した教育の推進や、特色ある学校づくりを進め学校現場で発生する様々な課題に対応するための交付金の交付、経済的理由により就学が困難な児童生徒や通学距離の長い児童生徒の保護者への助成など、教育環境の充実を図ります。

 特に、平成31年度から、市立学校規模適正化協議会を再開し、将来の児童生徒数の減少を踏まえた学校の適正規模の検討に取り組みます。
 
 また、教育支援センターにおける相談・指導やスクールカウンセラーの派遣などにより、心や体に不安を抱える児童生徒を支援するほか、学校内において児童生徒をサポートする支援員の配置など、特別支援教育の充実に努めます。

 学校給食センターにおいては、安全で安心な学校給食を提供するとともに、学校給食を通じた児童生徒の望ましい食習慣の形成を図ります。
 
 また、地域貢献を志す若者を、地域づくり活動の企画立案や実践に取り組む伊万里未来プランナーとして養成するとともに、市民図書館においては、図書資料の充実に努め、家読に対する市民意識の高揚を図るほか、電算化を行った学校図書館とも連携し、児童生徒の自ら調べて考える力を育てることにより、将来の伊万里市を担う人材の育成を図ります。

 さらに、市民が日ごろから研鑽している芸術活動や音楽活動の成果を発表する場として、また、一般市民がその芸術に触れ鑑賞する機会として、市美術展や市民音楽祭を開催します。

 スポーツの分野においては、市民グラウンド・ゴルフ大会や伊万里ウオークなど、市民が気軽にスポーツを楽しむ機会を提供するとともに、ニュースポーツなどに精通するスポーツ推進委員を中心に、各地域の生涯スポーツの振興を図ります。

 また、著名な元プロ野球選手等を招き、親善試合や野球教室などを行うドリームベースボールを開催するとともに、高校生などのスポーツ合宿に対して、宿泊費の一部を助成するほか、県内外から多数の参加者を集めるハーフマラソン大会などを開催することで、スポーツツーリズムの観点から、本市の観光PR、本市ならではのおもてなしの充実に努め、さらなる交流人口の拡大につなげます。

 散弾銃射撃場においては、土壌汚染対策として、場内の土壌処理の手法と費用について、調査・検討を行います。

 同和問題をはじめとする人権問題においては、講演会や地域に密着した地区巡回講座等を開催するほか、各種研修講座により地域の指導者の育成を図るなど、市民の正しい理解と認識を深める啓発活動を進めます。

 文化財の保存と活用においては、史跡大川内鍋島窯跡の歴史的な価値を明らかにし、史跡の整備資料とするための学術調査を行うとともに、関係機関と連携し、固有の文化財である窯跡を盗掘から守るためのパトロールや警告看板の設置など、保護活動を実施するほか、開発に伴う事前の協議や調査などを行い、文化財の保護と開発の調整を図ります。

 また、歴史民俗資料館で趣向を凝らした企画展を開催するとともに、伊万里・鍋島ギャラリーでは、市所蔵の鍋島や古伊万里を順次公開する企画展を開催し、世界に誇る文化遺産の公開・活用に努めます。

 災害復旧費については、昨年7月の豪雨により被災した林道大川眉山線に係る災害復旧工事を行うとともに、土砂災害防止法の指定箇所となっている急傾斜地において崩壊の未然防止に取り組みます。

 諸支出金については、企業会計として新設する下水道事業特別会計への繰出金などを企業会計に繰り出します。

 次に、特別会計についてご説明します。
 国民健康保険特別会計については、予算の総額を66億5,978万6千円とし、保険給付費および特定健康診査に要する経費等を計上しました。

 介護保険特別会計については、予算の総額を61億5,039万7千円とし、保険給付費および地域における高齢者の生活支援体制の構築を図る、地域包括ケアシステムの推進に要する経費等を計上しました。

 市営駐車場特別会計については、予算の総額を1,244万1千円とし、管理運営に要する経費等を計上しました。

 後期高齢者医療特別会計については、予算の総額を14億2,822万7千円とし、後期高齢者医療広域連合納付金等を計上しました。

 次に、企業会計についてご説明します。
 水道事業特別会計については、予算の総額を25億7,290万5千円とし、有田川取水・導水施設の更新および伊万里市水道施設更新計画に基づき、浦ノ崎浄水場の耐震化に向けた更新事業に要する経費等を計上しました。

 工業用水道事業特別会計については、予算の総額を20億5,284万2千円とし、施設の更新事業に要する経費および企業債償還金等を計上しました。

 新たに設置する下水道事業特別会計については、予算の総額を28億8,001万7千円とし、浄化センターの機器の更新工事費および汚泥の処理過程で発生する消化ガスを有効活用する新たなシステムの構築に係る経費等、さらには、農業集落排水の処理場の維持管理費等を計上しました。

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 市長提案理由説明