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平成30年第1回定例会 市長提案理由説明について


平成30年第1回定例会 市長提案理由説明について
(2018年3月1日更新)

はじめに

 平成30年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の 一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました平成30年度当初予算およびその他の議案について、その概要をご説明します。

政治信条

 「平成」という元号は、「内平らかに外成る、地平らかに天成る」という中国の故事に由来しており、「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味を込めたとされています。

 しかしながら、平成の30年間は、阪神淡路大震災や東日本大震災など未曽有の大災害の発生、失われた20年とも言われるいわゆるバブル経済崩壊後の長期的な経済の低迷、さらには、国政において、内閣総理大臣が17回交代し、政権交代が2度も行われるなど、まさに激動の時代でありました。

 こうした時代の大きなうねりの中で、私は、平成14年4月の市長就任以来、4期16年間にわたり、市民の皆様との対話を第一としながら、市政運営の最高責任者としての大局観を持ち、市民福祉の向上と伊万里市の発展のため、渾身の力で道を切り開いてまいりました。

 特に、4期目にあたりましては、東日本大震災による原子力災害の被害を目の当たりにし、原子力発電所が直接立地していない本市であっても被害の当事者になり得るという現実を突き付けられ、私は、市民生活の平和、つまりは、市民の安全・安心の確保こそが市政運営の最優先課題であると認識を新たにしたところです。

 また、昭和29年に伊万里湾開発を掲げ誕生した本市において、石炭産業から脱却し新たな産業構造への転換を目指して臨海部に整備された工業団地への企業誘致を軸とした工業の振興とともに、伊万里ブランドの確立を軸とした農畜産業の振興にも自ら先頭に立って指揮を執り、市民の皆様とともに伊万里市の産業界全体の底上げに力を尽くしてまいりました。

 こうした取組は、今任期と時期を同じくして始まった国をあげての地方創生の動き、まさに国難とも呼ばれる人口減少という大きな壁を市民の皆様と乗り越えるための確固たる礎になるものと確信しているところです。

主要な取組

 今日までの主な取組としましては、私は、市民の安全・安心の確保のために、市民の皆様の声を国・県に積極的に発信しながらも、九州電力と玄海原子力発電所に関する安全協定を締結したほか、防災行政無線や避難道路などのインフラ整備を進める一方で、市民参加により実施した地区ごとの避難訓練など、原子力災害や風水害、地震等の各種災害を想定した取組を全力で進めてまいりました。

 また、市民の皆様の安全・安心は、第一に健康であることであり、特定健康診査やがん検診の負担軽減、国民健康保険の健康マイレージや高齢者を対象とした「いきいき百歳体操」などの取組を進め、市民の皆様の健康づくり意識の向上や健康寿命の延伸に努めました。

 子育て支援については、厳しい財政状況の中、子どもの医療費助成の拡充、多子世帯給食費助成の開始、留守家庭児童クラブの対象年齢の拡大など、着実に前進させてきたほか、日本一の家読推進のまちづくりに、市民の皆様と一体となって取り組んでまいりました。

 また、教育環境の整備についても、電子黒板の全小中学校への設置、二里小学校や小中一貫の義務教育学校である南波多郷学館の建設、大坪小学校や松浦小学校のトイレをはじめとする老朽化した学校施設の改修など、計画的に進めてまいりました。

 観光戦略の展開において、西九州自動車道の延伸は、交流人口や関係人口の拡大に大きな成果をあげており、また、伊万里焼や伊万里牛、伊万里梨などの伊万里ブランドを活用した都市部への観光PRの強化は全国的に高い評価につながっているところです。
 
 一方、市街地の賑わいを創出するため、観光協会やまちづくり団体との連携のもと、伊万里駅の駅ビルにおいて交流拠点としての機能を強化する取組を推進しているほか、松島搦地区における浸水対策の推進や都市計画道路大坪木須線の整備促進、さらには現在進められている民間開発による魅力あふれる新しい都市空間の形成を目指し、地域の皆様と一緒に取り組んでまいりました。

 また、地域課題の解決に向け、各地区のまちづくり運営協議会の活動を支援するなかで、東山代町の「元気バス」に始まった地域バスの取組が広がりを見せ、波多津町や大川町に加え、今月下旬には黒川町においても、地域の皆様のご協力によりコミュニティバスの運行が実現することとなりました。

 このように、市政の各分野で着実な成果を収めることができましたのは、議員の皆様をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力の賜物であり、心から感謝を申し上げます。

 平成30年度は、市民の皆様とともに、平成の時代を締めくくり、本市の新たな時代の創造に向け、引き続き全力を傾ける決意を新たにしているところです。

社会情勢と市政運営の課題

 今日の社会情勢については、全国的に景気は回復期にあるとされており、地域経済においても、有効求人倍率は1倍を超え雇用情勢は改善し、個人消費や生産活動も持ち直すなど、緩やかに景気回復に向かうことが期待されていますが、その効果は限定的であるため、地域産業への継続的な支援による下支えが必要となっています。

 また、昨年の九州北部豪雨や平成28年の熊本地震、今なお記憶に新しい東日本大震災と福島第一原子力発電所事故などの教訓から、防災対策には終わりはなく、安全確保に向けたきめ細かな対応が求められています。

 今後、本格的な人口減少社会が到来し税収の減少などによる厳しい財政状況が続いていく中で、公共施設の運営などの市民サービスの水準を維持していくためには、人口拡大を前提とした発想を大きく転換し、これまで以上に効率的で効果的な行財政運営を行わなければなりません。

市政運営の基本方針と主要プロジェクト

 はじめに、市民の安全・安心の確保については、迅速かつ一斉に情報伝達ができる防災行政無線の市内全域での供用を開始し、防災訓練に活用するほか、防災に関する教育や研修、訓練等に取り組むなど、さらなる防災力の向上に努めます。

 また、市民の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地区公民館単位での支援体制づくりを進めるなど、地域包括ケアシステムの強化を図り、高齢者の生活を様々な形で支え合う地域づくりの実現に努めてまいります。

 教育については、子どもの頃から伊万里を愛し誇りを持つ郷土愛を育む取組など、ふるさと伊万里に想いを寄せるひとづくりを進めるほか、伊万里中学校の建設をはじめ施設の改修など、優先順位に基づいた教育環境の整備を計画的に進めます。

 また、他の公共施設についても、同様の考え方で適切な維持管理に努めてまいります。

 若者の定着に欠かすことのできないしごとづくりについては、松浦町で整備を進めている工業団地の平成31年度中の分譲開始を目指すほか、佐賀県との強力な連携のもと、製造業はもとより事務系企業の誘致に全力で取り組んでまいります。

 まちづくりの支援については、地域おこし協力隊を増員し、各地区のまちづくり団体などと一体となった活動に取り組むほか、市街地においては、若者の視点からいくつもの新しいまちづくり活動が生まれており、今後、点から線となり、市街地全体に広がるような支援を進めます。
 
 また、西九州自動車道については早期整備を促進するとともに、伊万里東府招インターチェンジの開通を好機と捉え、女山トンネルや若木バイパスの開通に伴う相乗効果により人や物の交流拡大を図ります。
 
 伊万里港の振興については、佐賀県による浦ノ崎地区の土地利用計画策定について、地元と連携した取組を行うとともに、地域経済振興への効果が期待されるクルーズ船の寄港誘致に向けた取組を進めてまいります。

当初予算編成の考え方

 本市の発展と市民福祉の向上を図るためには、本市財政の厳しい状況を踏まえたうえで、効果的な事業を切れ目なく展開していく必要がありますが、今年は市長改選の年であるため、今議会に提案している平成30年度予算については、政策的な経費は継続的なものなど最小限にとどめ、主に、義務的、経常的経費など毎年の行政運営に不可欠な経費を計上しました。

 このため、平成30年度一般会計の当初予算の総額は、229億7千5百万円としています。

当初予算の主な内容

 以下、今回提案しました予算の主なものについて、重複を避けながら歳出の款ごとにご説明します。

 総務費については、市長選挙に要する経費をはじめ、総合的かつ計画的な行政運営の指針となる総合計画の策定に要する経費のほか、松浦町でのデマンドタクシーの運行をタクシー会社へ委託するための経費や地域が主体となるコミュニティバスの運行のための経費、子育て世代の転入を促進するための移住・定住に関する奨励金およびふるさと応援寄附金の返礼品の送付に係る経費等を計上しました。

 民生費については、児童手当の支給や子どもの医療費助成のほか、留守家庭児童クラブの施設整備や民間事業者への運営委託など、子育て家庭への支援に要する経費をはじめ、障害のある人が地域で自立した生活を送るための支援サービスの提供等に要する経費、支援が必要な高齢者への適切なサービスの提供や、元気な高齢者の就業や生きがいづくりの促進に要する経費等を計上しました。

 衛生費については、生活習慣病等の予防や早期発見のための各種健康診査や健康相談などに要する経費、予防接種に要する経費を計上するとともに、伊万里有田共立病院や休日・夜間急患医療センター等の運営経費をはじめ、生活環境保全のための浄化槽の設置補助金および一般廃棄物の処理や再資源化に要する経費等を計上しました。

 労働費については、勤労者の生活の安定と福祉の増進を図るための福利共済および福利厚生資金の預託金等を計上しました。

 農林水産業費については、生産振興を図るための農業用機械や施設の整備等への補助金のほか、担い手の確保に向け新規就農を促進するための補助金および農作物への被害を軽減するための有害鳥獣の駆除や被害防止対策に要する経費等を計上しました。

 商工費については、中小企業振興資金の貸付に係る原資の預託等に要する経費をはじめ、伊万里市駅ビルのリニューアル記念イベントや豪華客船にっぽん丸が4月に伊万里港に寄港する際の観光PRに要する経費および地域おこし企業人の制度を活用し観光協会の事務局長を民間企業から迎えるための経費等を計上しました。

 土木費については、緊急の整備が必要な道路の改良や舗装に要する経費、住宅の耐震診断や改修の支援に要する経費および空家等の解体除却工事や緊急安全措置に必要な経費等を計上しました。

 消防費については、伊万里・有田消防組合の運営費や消防団員の防火衣などの安全装備品および地区防災委員の研修会や中学生の防災教育に要する経費等を計上しました。

 教育費については、市民図書館の図書館資料の収集に要する経費、小中学校においてICT教育を進めるためのパソコン等機器の整備や学力向上のための取組に要する経費、大川小学校のプールなど学校施設の改修に要する経費を計上するとともに、障害のある児童生徒のサポートに要する経費および散弾銃射撃場の環境対策に要する経費等を計上しました。

 次に、特別会計について予算の主な内容をご説明します。

 国民健康保険特別会計については、予算の総額を63億7,602万4千円とし、保険給付費および特定健康診査に要する経費等を計上しました。

 介護保険特別会計については、予算の総額を61億893万9千円とし、保険給付費および地域包括ケアシステムの推進に要する経費等を計上しました。
立花台地開発事業特別会計については、予算の総額を1,386万4千円とし、草刈りなどの管理委託料等を計上しました。

 公共下水道事業特別会計については、予算の総額を19億3,506万9千円とし、浄化センターの機器の更新工事費および地方債償還金等を計上しました。

 農業集落排水事業特別会計については、予算の総額を1億2,219万2千円とし、処理場の維持管理費および地方債償還金等を計上しました。

 市営駐車場特別会計については、予算の総額を1,159万6千円とし、管理運営に要する経費等を計上しました。

 後期高齢者医療特別会計については、予算の総額を14億2,091万4千円とし、後期高齢者医療広域連合納付金等を計上しました。

 次に、企業会計についてご説明します。

 水道事業特別会計については、予算の総額を29億3,732万円とし、有田川取水・導水施設の更新や基幹管路の布設替に要する経費等を計上しました。

 工業用水道事業特別会計については、予算の総額を20億7,824万2千円とし、配水管の布設替に要する経費および企業債償還金等を計上しました。

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