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平成29年度当初予算編成方針


平成29年度当初予算編成方針
(2016年11月4日更新)

◎予算編成方針  

   1.はじめに   

(1)経済状況と国の動向 

我が国の経済は、弱さも見られるものの、緩やかな回復基調が続いているとされ、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されるが、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとされている。このような中、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(平成28 年6 月2 日閣議決定)において、「成長と分配の好循環」の実現に向け、引き続き「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、消費税率の10%への引き上げを2019年(平成31年)10月まで延期するとともに、2020年度(平成32年度)の基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標を堅持することとされた。さらに、平成28年8月2日に閣議了解された平成29年度予算の「概要要求基準」では、「経済財政運営と改革の基本方針2016」を踏まえ、引き続き、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27 年6 月30 日閣議決定)で示された「経済・財政再生計画」の枠組みの下、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組むこととされ、「ニッポン一億総活躍プラン」、「基本方針2016」及び「日本再興戦略2016」(平成28 年6 月2 日閣議決定)等を踏まえた諸課題について、「新しい日本のための優先課題推進枠」が設けられるなど、予算の重点化を進めることとされている。
   

(2)地方財政

 

 総務省の概算要求において、地方の一般財源総額は、平成28年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準の確保をするとされている。地方交付税については、本来の役割が適切に発揮されるよう総額を確保するとともに、引き続き巨額の財源不足が生じることが見込まれることから交付税率の引き上げについて要求されている。しかしながら、現時点では平成29年度の地方財政計画が示されていないことなどから、地方財政を取り巻く環境は不透明であり、地方の財政運営は依然として厳しい状況が続くことが予想されている。
 佐賀県においては、平成28年度末の県債残高が予算規模を大きく上回る7,025億円に達する見込みであるとともに、本年9月に行った県の財政収支試算では、地方交付税、県税等の一般財源の総額が平成28年度と同程度確保される場合でも、社会保障関係経費の増加等により収支不足が拡大するという厳しい試算結果となったことから、「佐賀県行財政運営計画2015」に基づき、将来を見据えた戦略的な財政運営に取り組むこととしている。
     

 

2.市の財政状況

平成27年度一般会計決算は、前年度決算と比較して、ふるさと応援基金への寄附金やその募集事業の影響等により、歳入は7億7,254万円(+3.0%)の増、歳出についても7億3,888万円(+3.0%)の増と双方とも増加となり、財政調整基金の取り崩しも行わず、実質収支額は4億6,254万円の黒字となった。
 歳入一般財源状況を比較すると、地方交付税は、普通交付税の算定における基準財政需要額に「人口減少等特別対策事業費」が新設されたことなどにより、1億854万円の増となったが、歳入の根幹となる市税は、法人市民税の減収等により対前年度比7億5,294万円の大幅な減となったため、減収補塡債を5億4,210万円借り入れることでその減収を補った。
 このように平成27年度決算の実質収支は黒字であり、財政調整基金の取り崩しは行わなかったが、実質的には、税収不足分を減収補塡債で補ったという厳しい状況となっている。
 財政指標については、普通会計ベースで経常収支比率が、90.9%と前年(92.8%)から1.9ポイント改善し、財政の健全度を示す実質公債費比率は16.3%(△1.3ポイント)と改善したが、県内では最も高い数値であり、将来負担比率についても96.1%(△31.4ポイント)となり改善したが県内では2番目に高い数値となった。いずれの比率も早期健全化基準を下回っているが、全国的に見ても高い比率となっている。また、今後はさが西部クリーンセンター建設に係る起債償還の本格化に伴う負担金が増加することから、実質公債費比率の悪化が見込まれるため、今後とも公債費負担適正化の取り組みを継続する必要がある。
 また、今後、扶助費等の義務的経費及び繰出金等の増加に加え、公共施設の維持補修・改修費の増加等による財政の硬直化がさらに進行することが予測されるため、これまで以上の財政健全化に努めることが必要である。

3.予算編成の基本方針  

平成29年度の一般財源の歳入見通しとして、歳入の根幹となる市税は、円高の影響等により法人市民税の増加が見込めないため、前年度決算見込から1億1,770万円減の64億9,703万円と見込んでいる。また、地方交付税については、税収減に伴う基準財政収入額の減少等により、前年度から3億9,076万円増の57億7,305万円と見込み、歳入一般財源総額で前年度より9億5,810万円減の148億4,043万円で推計を行っているが、前年度歳入一般財源総額から繰越金の4億6,254万円を差し引いた実質的な歳入一般財源としては、前年度より6,569万円の減と見込んでいる。
 一方、歳出では、義務的経費について社会保障関係経費、一部事務組合への負担金や他会計への繰出金の増加が見込まれる中で、老朽化した公共施設等の大規模な改修や人口減少社会に対応した新たな行政課題に要する経費も必要なことから、歳出一般財源は、前年度決算見込みより4億3,485万円増の162億8,437万円と推計しており、財政調整基金、減債基金、公共施設整備基金に加え、ふるさと応援基金に依存せざるを得ない状況であり、最低限必要な基金残高の確保に向けた取り組みを強化する必要がある。
 このようなことから、まずは全職員が本市の厳しい財政状況を充分に理解した上で、行政評価の考え方を基本とした成果重視、戦略的視点に立って、個々の事業について不断に見直し、財源の確保並びに健全な財政運営に資するべく一丸となって最大限の努力を行うものとする。
 具体的な方針は次のとおりとする。
 

(1)枠配分予算の実施

・経営戦略会議を経て決定した第5次総合計画実施計画の額を基礎に、シーリングをかけ各部へ枠配分を実施するものとする。

■経常的事業(裁量対象経費)(△2%)

 ■政策的事業(継続分)(△20%)※圧縮困難な事業除く
・年間の必要経費を把握するため、予め全ての事務事業に係る年間経費について見積もることとし、見積もる年間経費については、経営戦略会議を経て決定した第5次総合計画実施計画の内示額を基礎に、経営計画に沿った形で各部へ枠配分(事業群)を実施するものとする。但し、経常的事業は、経営計画額以内、政策的事業は、実施計画決定額以内で年間経費として見積もり要求すること。 

(2)制度改正等に対する対応

 国の予算、地方財政計画等が未確定であるので、原則として現行制度を前提として予算編成を行うものとするが、予算案決定までに制度の創設、改正等が明らかになったものについては、可能な限り当初予算の編成に反映させるものとする。

(3)内部努力の徹底

 見積もる年間経費は、一般財源枠配分額の範囲を限度とし、なお一層の削減に努めること。事業の見直しを行う際には、廃止・縮小の影響を十分に把握し、関係する団体等に考え方について説明を行うなど、市民の理解を得るよう努めること。

(4)市債借入の抑制

 市債については、原則として借入額を公債費の長期債償還元金以下に抑制することで、市債残高の圧縮並びに実質公債費比率のさらなる抑制に努めるものとする。  

(5)基金残高の確保

 枯渇が懸念される財政調整基金、減債基金の取り崩しを極力抑えられるよう徹底した歳出削減に努めるとともに、経営計画に沿った基金残高の確保を図るものとする。 

(6)財政改革への取組み

 国等の動向が不透明ななか、財源確保の点から有効な制度活用など情報収集に積極的に努めるとともに、「第4次財政基盤安定化計画」の着実な遂行による財源確保と歳出削減に全職員が一丸となって取り組み財政の立て直しを図るものとする。