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平成27年度当初予算編成方針


平成27年度当初予算編成方針
(2014年11月5日更新)

予算編成方針

1.はじめに

(1)国等の動向

 我が国の経済は、国の経済政策により、景気は緩やかな回復基調にあるとされているが、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動により、一部に弱さが残るものの、次第にその影響が薄れ、各種政策の効果が発現するなかで、緩やかに回復していくことが期待されている。しかしながら、駆け込み需要の反動の長期化や海外景気の下振れなどが、景気を下押しするリスクとなっており、依然として楽観視できない状況にある。このような中、政府は平成26年6月24日に「経済財政運営と基本方針2014」(骨太の方針)とアベノミクスの成長戦略である「日本再興戦略改訂2014」を閣議決定し、デフレからの脱却と経済の好循環の動きを新たなチャレンジと捉えるとともに、人口急減・超高齢化に対応し、持続的・安定的な成長をめざすとした。さらに、平成26年7月25日に閣議了解された「平成27年度予算の概算要求基準」では、(1)年金・医療費等は合理化・効率化に最大限取り組んだ上で自然増8,300億円を加算した範囲内、(2)地方交付税交付金等は「中期財政計画」(平成25年8月8日閣議了解)との整合性に留意、(3)義務的経費は前年度当初予算額の範囲内、(4)その他経費は既定の歳出を見直し前年度当初予算の10%減の範囲内(要望基礎額)で要求できることとした。一方、人口減対策や地域活性化など成長戦略の取り組みに重点化するため、要望基礎額の30%の範囲内で要求できる「新しい日本のための優先課題推進枠」を設けている。
 平成27年度においては、これらの国の経済財政運営の動向とともに、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(平成24年法律第69号)」(いわゆる「税制抜本改革法」)の規定に基づき、平成26年中に判断されるとされている「消費税率の10%への引上げ」や、子ども・子育て支援新制度の導入をはじめとする「社会保障制度の改革」の影響など、その動きをしっかりと注視し、適時適切に対応していく必要がある。

(2)地方財政

 地方の一般財源総額については、地方一般財源総額の確保と地方財政の健全化に向け、平成26年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準の確保をするとされている。しかしながら、地方財政は、200兆円を超える債務を抱えており、今後も公債費支出は高い水準で推移するほか、社会保障関連経費の伸びなども依然として懸念されている。佐賀県においては、平成26年度末の県債残高が予算規模を大きく上回る7,193億円に達する見込みであるとともに、本年9月に行った県の財政収支試算では、地方交付税、県税等の一般財源の総額が平成26年度と同程度確保される場合でも、平成27年度以降も収支不足が発生し、また、社会保障関係経費の増加により収支不足が拡大するという厳しい試算結果となったところである。今後判断される消費税率の再引き上げや法人実効税率の引き下げなど、不安定な要素も多く、地方税をはじめとする収入の先行きは依然として厳しい状況が続くことが予想されている。

2.市の財政状況

 平成25年度一般会計決算において、市税は、法人市民税の増収により対前年度4億1,550万円の大幅増、また地方交付税についても、普通交付税で対前年度比3億3,224万円の増、特別交付税で対前年度比3,987万円の増、交付税総額で3億7,211万円の大幅増となり、財政調整基金や減債基金からの繰り入れに頼らない結果となった。歳入、歳出を前年度と比較すると、歳入は15億円(+6.7%)の増、歳出についても12.8億円(+5.8%)の増と双方とも増加となった。実質収支額は5.2億円の黒字、単年度収支額は2.3億円の黒字となり、実質単年度収支額においても7.7億円の黒字となった。
 財政指標については、普通会計ベースで経常収支比率が、88.1%と前年(94.0%)から5.9ポイント改善し、財政の健全度を示す実質公債費比率は18.3%(△0.6ポイント)、将来負担比率は149.7%(△16.3ポイント)となった。いずれの比率も早期健全化基準を下回っているものの、実質公債比率は県の許可基準(18%)を上回っており、将来負担比率は県内市町で最も高い比率となっている。今後、扶助費や公債費等の義務的経費及び繰出金等の増加に加え、公共施設の維持補修・改築費の増加等による財政の硬直化がさらに進行することが予測されるため、これまで以上の財政健全化に努めることが必要である。

3.予算編成の基本方針

 平成25年度決算における一般会計ベースの自主財源比率は39.6%であり、歳入構成比では、市税30.4%、地方交付税23.6%と、市税と地方交付税への依存度が高く、不安定で脆弱な構造となっている。平成26年度の歳入の根幹をなす市税は、平成25年度に引き続き業績好調を呈していた市内輸出関連企業の好調が予想され、法人市民税は前年度比で約2.5億円の増収見込みである。しかしながら、平成26年度の普通地方交付税交付算定において、基準財政需要額の単位費用の見直しが行われるとともに、税収等の増に伴い基準財政収入額の増により、現時点の交付実績で約41.7億円と前年度から約5億円減少している。今後の普通交付税については、毎年度、税収等による基準財政収入額の変動があるものの、基準財政需要額の減額の影響が重くのしかかってくる厳しい状況である。
 平成27年度の一般財源の歳入見通しとして、市税は固定資産税の評価替えの影響により減少が見込まれるほか、法人市民税については税率改定の影響等により前年度より大幅に減少し、市税総額で61億9,496万円と見込んでいる。また、地方交付税については試算に基づき前年度より8,800万円微増の51億6,293万円と見込み、歳入一財総額で前年度より10億8,715万円減の144億9,711万円で推計を行っている。
 一方、歳出では、社会保障関係経費など扶助費や公債費など義務的経費の増加に加え、老朽化した公共施設等の維持補修や大規模な修繕、改築などが今後確実に想定されるなか、他会計への繰り出し金も増加が見込まれることから、歳出一般財源は、前年度より3,026万円増の154億3,152万円と推計しており、財政調整基金、減債基金、公共施設整備基金に依存せざるを得ない状況であり、基金残高の増額に向けた早急な対策を取る必要がある。
 平成27年度の予算編成においては、国の経済財政運営の動向とともに、平成26年中に判断されるとされている「消費税率の10%への引上げ」や、子ども・子育て支援新制度の導入をはじめとする「社会保障制度改革」の影響や地方創生の動向など、その動きをしっかりと注視し、適時適切に対応していく必要がある。
 このようなことから、まずは全職員が本市の厳しい財政状況を充分に理解した上で「第3次財政基盤安定化計画(H23~H27)」の着実な推進をしつつ、行政評価の考え方を基本とした成果重視、戦略的視点に立って、個々の事業について不断に見直すとともに、本市の厳しい財政状況を充分に全職員が認識した上で、財源の確保並びに健全な財政運営に資するべく一丸となって最大限の努力を行うものとする。


具体的な方針は次のとおりとする。

(1)枠配分予算の実施

 ・枠配分の基礎となる実施計画後の額に、二役協議を経て決定した事前協議実施事業分を加算した上で、シーリングをかけ枠配分予算を実施するものとする。
シーリング:政策的事業(継続分)(△20%)※圧縮困難な事業除く
 ・年間の必要経費を把握するため、予め全ての事務事業に係る年間経費について見積もることとし、見積もる年間経費については、経営戦略会議を経て決定した第5次総合計画実施計画の内示額を基礎に、経営計画に沿った形で各部へ枠配分(事業群)を実施するものとする。但し、経常的事業は、経営計画額以内、政策的事業は、実施計画決定額以内で年間経費として見積もり要求すること。

 

(2)制度改正等に対する対応

 国の予算、地方財政計画等が未確定であるので、原則として現行制度を前提として予算編成を行うものとするが、予算案決定までに制度の創設、改正等が明らかになったものについては、可能な限り当初予算の編成に反映させるものとする。

 

(3)消費税率及び地方消費税率引き上げの取り扱い

 平成27年度10月以降の消費税率及び地方消費税率の引き上げ(8→10%)については、経済状況等を総合的に勘案のうえ、本年12月ごろに判断される見込みであるため現時点では未確定であるため、当該影響経費を今回の当初予算には盛り込まずに、引き上げが決定した場合には、原則、平成27年度の9月補正にて対応することとする。
 

(4)内部努力の徹底

 見積もる年間経費は、一般財源枠配分額の範囲を限度とし、なお一層の削減に努めること。事業の見直しを行う際には、廃止・縮小の影響を十分に把握し、関係する団体等に考え方について説明を行うなど、市民の理解を得るよう努めること。

  

(5)市債借入の抑制

 市債については、原則として借入額を公債費の長期債償還元金以下に抑制することで、市債残高の圧縮並びに実質公債費比率のさらなる抑制に努めるものとする。

 

(6)基金残高の確保

 枯渇が懸念される財政調整基金、減債基金の取り崩しを極力抑えられるよう徹底した歳出削減に努めるとともに、経営計画に沿った基金残高の確保を図るものとする。

 

(7)財政改革への取組み

 国等の動向が不透明ななか、財源確保の点から有効な制度活用など情報収集に積極的に努めるとともに、「第3次財政基盤安定化計画」の着実な遂行による財源確保と歳出削減に全職員が一丸となって取り組み財政の立て直しを図るものとする。