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平成17年度 伊万里市予算編成方針


平成17年度 伊万里市予算編成方針
(2004年10月19日更新)
 今日の地方財政は、地方分権の推進にあたって、地域における行政を自主的かつ総合的に広く担うこととされており、地域福祉施策の充実、資源循環型社会の構築、生活関連社会資本の整備などの重要政策課題にかかる財政需要がますます増大するものと見込まれている。
 しかしながら、本市をはじめ自主財源の少ない多くの地方自治体の財政状況は、国の地方税財政制度改革、いわゆる『三位一体の改革』の推進などにより、かつて経験したことのない深刻な厳しさに直面している。
 このような状況下、地方公共団体は、さらなる行財政改革に取り組み、財政体質の健全化に努めつつ、創造性、自主性を高め、積極的な施策の展開が可能となるような地方税財源の充実確保を図っていくことが求められている。
 本市の財政運営は、近年の景気動向などを反映し、市税の落ち込みに加え、その他の収入についても伸びは期待できず、歳入の確保に苦慮しているところである。一方、歳出では、新しい学校給食センターの建設や更新時期を迎える学校等の公共施設の建替え問題、さらには公共下水道事業に対する公債費負担の増や土地開発公社の先行取得用地の買戻し問題など、取り組むべき課題は山積しており、これらの施策の展開には多額な資金需要が見込まれている。
 そこで、現在本市では、第3次伊万里市行政改革大綱に基づき、平成13年度から平成17年度までにわたる行政運営全般についての見直しを総合的、かつ計画的に推進しているところであり、加えて成果重視の効率的な行政運営への転換を目指し、行政評価システムを導入するなど新しい行政経営システムの構築に取り組んでいるところである。
 財政の健全化においても、このまま手をこまねいていては伊万里の将来が危ないという強い危機感から、行政経営システム構築推進本部に財政健全化計画策定部会を組織し、税の問題や人件費削減の問題にも踏み込むなど、あらゆる面から財政健全化の具体的方策について検討を行い、将来の伊万里市発展の礎となる財政基盤の建て直しを図り、伊万里市を豊かで自立した地域社会として更に高めていくための手立てとなる財政健全化計画を策定したところである。
 また、「住みたいまち伊万里・行きたいまち伊万里」を標榜し、「安心」「活力」「発展」という三つのキーワードを核に"海洋""エネルギー""環境"の先端都市づくりを目指すため、その具体的な施策の実施に向けた後期実施計画を併せて策定したところである。
 平成17年度の予算編成にあたっては、多様に刻々と変化する住民要望に応え、限られた財源の中で行政サービスの維持・向上に努めていくためには、各部課の予算編成に対する積極的な取り組みが不可欠の条件となるため、経常的経費、臨時的経費、義務的経費及び政策的経費のうち、特殊な経費を除き、一般財源の限度額を事前に設定し、予算要求を行う「予算枠配分方式」を採用することとする。
 このことは、各部課の主体性を重視し、より現場に近いところで予算編成する「分権化」の試みであり、各部課が自らの責任において予算を決定し実行する。そして、その過程において自らの説明責任を果たしていくということである。
 この予算枠配分方式を進めることによって、予算編成における各部課の裁量の強化と、より主体的に施策・事業の再構築を図りつつ、全ての事務事業について、コストと成果の検証による自己評価を実施し、自主的な見直しが必要となる。
 また、既存の事務事業を徹底的に見直し、「最小の経費で最大の効果を発揮する。」という行財政運営の原点に立ち返り、さらなる経費の節減合理化に努めていかなければならない。
 予算枠の配分は、枠という制限を設けることになるが、事業費の一律削減といった安易で消極的な対応を行うことは厳に慎み、むしろ財源の厳しい制約を既存事業の抜本的な見直しの契機ととらえ、事業の質的転換に積極的に取り組む姿勢が求められる。
 困難な時代であればこそ、新しい考え方が生まれ、考え方を変えていく好機である。今、行政のあり方そのものが問われている時代であり、「市民との協働」という視点を強化していく中で、当然、事務事業のあり方も問われ、また、これからの時代のために新しい必要な施策を開発することが求められている。
 このことから、経済、社会の変化に対応するため、前例踏襲や現状維持という発想を排除した取組みを推奨し、財政の危機的状況を踏まえ、もう一度、市政の事務事業が、市民のために行うものであること、行政施策の企画立案、実施がこの大前提を踏まえているかを自らが常に問いかけ、職員が一丸となって、市民のための行政運営にあたるよう部内、課内の議論を活発にし、情報の共有を図りながら、予算編成に取り組むものである。

重点的事項

  1. 要求にあたっては、財政健全化計画の具体的方策を確実に反映 するものとする。
  2. 政策的経費については、第4次総合計画後期実施計画に基づく事業の計画的実施を図る。
  3. 全ての事務事業について、コストと成果を検証するとともに、自己評価し、自主的な見直しを行い、その結果に基づいて要求に反映するものとする。
  4. 市民要望を反映した質の高い市民サービスを提供するため、職員の英知と汗による取り組みにより、市民満足度の向上を図るものとする。
  5. 事務事業の実施にかかるコストに留意し、市場原理が的確に働く領域においては、「民間でできるものは民間で」という考え方を基本とし、積極的に民間活力の導入を検討するものとする。
  6. 相互に関連し合う事業においては、事業間の調整を行うとともに、新たな手法の積極的な導入やコスト削減など、将来の財政負担の軽減を図る効果的・効率的な事業運営に努めるものとする。
  7. 全ての事務事業について、既存事業の廃止、見直しと併せ、事業の拡充や新規事業の掘り起しを十分に検討するなど、スクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底する。
  8. 既存施設の有効活用を一層進めるとともに、公共施設の管理コストの縮減など、経費の節減を図りながら、事務の効率化を進める。
  9. 特別会計、企業会計については、適正な負担の確保に留意し、安易に一般会計の繰出しに頼ることなく、収支の均衡を図ることを基本とする。
  10. 企業会計については、企業的性格を十分に発揮して、一層経営の合理化、能率化を図るとともに、特に経費の節減及び独立採算性の確保に努め、一般会計との間の経費負担区分の明確化を図るなど、適正な経営に努める。

平成17年度予算の「予算枠配分方式」の基本的な考え方

背景

  • 地方分権の推進により、政策面での「自治体間競争の時代」に突入している。
    ⇒自治体が行政サービスの「質」を競い合い、様々な知恵や創意工夫を発揮し、自己決定、自己責任のもと、自主・自立した行財政運営を行うことで、それぞれのまちの「魅力」を高めていくことが求められている。
  • 厳しい財政状況において、従来型の手法では、「住民満足度」の高い行政サービスの提供を目的とした予算編成がますます困難になってきている。

目的

  • 住民の声をより良く予算に反映し、具体的なサービス提供に至るまでの一貫した迅速かつ責任ある意思決定を行うことで、住民に「住んでいて良かった」と思える「満足度」の高い行政サービスの提供と、住民福祉の総合的な向上を図る。

ねらい

  • 予算の透明性を図り、市民を巻き込んだ予算編成や主管部門の創意工夫を導き出す。
  • 厳しい財政状況を全庁的に共有する。
  • 金額の多寡や事業の量に注目しがちであった予算編成を、住民の声がより良く予算に反映される仕組みに転換する。
  • 個々の施策に熟知した担当部、課に施策選択をさせる。

手法

  • 各部(委員会等)に一般財源ベースでの予算枠を決めて、その範囲内での予算要求とし、一定条件を満たしていれば原則として予算要求をそのまま認める。
  • 住民のニーズを最もよく把握でき、また、住民の目線で事務事業の必要性や効果等を判断する必要がある担当部、課に予算の編成を委譲する。

具体的なポイント

  1. 一般会計における人件費、臨時雇賃金(補助事業等で財源充当しているものを除く。)、公債費を除く全ての経費について、一般財源ベースでの年間経費として、各部(委員会等)に枠配分する。

     <枠の設定(積算)>
    • 1)財政健全化計画の具体的な方策を反映する。
      • 分担金、負担金、使用料、手数料の見直しによる特定財源の増収分と同額を一般財源から削減する。
      • 特定目的基金は、その基金の取崩し目的に応じた事業の一般財源に係る振替財源として充当する。
      • 起債対象事業に要する一般財源分には、全て「財政健全化債」を充当する。
        (※充当額は、100,000円以下端数切捨て) 
      • 補助金の縮減は、後期実施計画の決定による。
      • 県内旅費に係る日当は廃止する。
      • 消耗品費、食糧費、備品購入費は、平成16年度予算額の80%以下に縮減する。ただし、補助事業で財源充当を行っているものを除く。
      • その他、平成17年度に実施予定の健全化計画の具体的な方策を反映する。
    • 2)政策的経費に係る対象事務事業は、後期実施計画の決定による。
    • 3)平成16年度で終息する事業に係る経費は、枠配分額から削除する。
    • 4)経常的経費は、平成16年度の現計予算額(決算見込)を基準とする。
    • 5)義務的経費は、平成16年度の現計予算額(決算見込)を基準とするが、自然増(減)が予想されるものは、増減を加味する。
    • 6)臨時的な経費について、17年度に経費を要しないものは枠配分額から削除し、逆に、新たに経費を要するもの(車検費用や自動車リサイクル費用等)は加算する。
  2. 各部への予算配分枠の内数として、部長裁量枠を別枠で配分する。
     ※部長裁量枠については、市民に対する"目くばり""気くばり"のための調整経費とし、政策的経費に限らず、経常、義務的経費等の全ての経費に対して再配分することができるものとする。
  3. 配分された枠の範囲内での予算となるため、各部長(各監理室等)は、所管する各課の予算要求見積書を事前に徴し、事前ヒアリング、査定を実施する。

財政課予算査定方針

  1. 予算配分枠の範囲内であり、予算要求に係る基本的事項、各節別積算基礎等記入要領、予算単価表及び常用品取扱単価表等の財政課が示す要件を満たしていれば、原則として予算要求をそのまま認めるものとする。
  2. ただし、12月中旬に発表される「平成17年度地方財政計画」により、歳入見込に大きな変動(歳入減)が生じた場合には、要求額の一括シーリングを含め、従来どおりの査定を実施するものとする。

「インセンティブ予算」制度

背景、目的

 地方財政を取り巻く環境が年々厳しさを増すなか、限られた財源の有効活用を図るツールとして「予算枠配分方式」を実施するにあたり、既存事業の見直しや事務事業の効率化を更に効果的に進めていくためには、各部課等が主体性を持って予算の節減に取り組む状況や配分された予算を自由な裁量により編成できる環境の醸成が重要となる。
 そこで、各部課等において予算執行方法の見直しを行い、創意工夫により予算執行額を節減した場合は、その額の一部を翌年度予算においてインセンティブ付与として再配分し、各部の自由な判断により他の事業に活用できる仕組みを構築する。

基本的な考え方

  1. 創意工夫の予算執行で経費節減を図る。
  2. 「予算は(使い切りではなく)限度額」という考えの徹底で、職員の意識改革を図る。
  3. 節減額の内容評価による翌年度予算の追加配分(インセンティブ付与)により、各部課等の主体性の醸成を図る。

制度の仕組み

仕組み

インセンティブ付与額および再配分対象事業の要件

(1)インセンティブ付与額

  • 節減計画における創意工夫、見直し内容を別紙評価基準に基づき評価し、節減額の50%以内をインセンティブ付与額として、各部の翌年度予算配分枠に追加配分する。(一般財源ベース)
  • インセンティブ付与額は、1件(事務事業)あたり5,000,000円を限度とする。

(2)再配分対象事業の要件

  • インセンティブ付与として追加配分された一般財源は、原則として各部の自由裁量により、平成17年度予算要求において所管する事務事業への再配分を行うものとする。

制度に係る対象範囲及び評価基準

(1)対象範囲

  1. 平成16年度における予算執行段階で、当初の事業目的を十分に達成するなかで、業務実施方法の見直しなど、主管部課の創意工夫により予算の節減を行うもの。
  2. 節減計画に係る対象経費は、人件費を含む全ての経費とし、削減効果の対象は一般財源のみとする。
  3. 制度に係る節減内容は、以下にある評価基準に合致するものに限り、次のものは対象外とする。
    • 義務的な経費(扶助費等)で、主管部課の努力や創意工夫以外の要因で予算減額するもの。
    • 単なる契約差金、入札差金として予算減額するもの。
    • 予算計上額を過大に見積もっていたと認められるもの。
    • その他節減努力や計画的な執行、創意工夫によらない単なる決算不要額となるもの。
  4. 節減計画に基づく節減額は、12月補正で全額を減額補正するものとする。

(2)評価基準

評価基準

プロセス

予算節減計画の報告(各部、課) ⇒ 予算節減計画のヒアリング、査定(財政課、市長) ⇒ インセンティブ付与額の通知(財政課⇒各部、課)

その他

インセンティブ付与対象事例
  • 小学校プールの改築に既設の基礎や付属建物の再利用
  • 学校の夜間照明施設の改修工事にあたり、他校で不要になった変圧器を再利用
  • パソコン等情報機器の廃棄にあたり、破砕によるデータ消去を市販の低廉なソフト利用に変更
  • 施設の管理委託について、配置人員を見直すなど必要最小限になるよう精査 など