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銅造誕生仏


銅造誕生仏
(2009年10月8日更新)
県指定重要文化財 彫刻
銅造誕生仏
(どうぞうたんじょうぶつ)

佐賀市城内1-15-23 佐賀県立博物館・美術館保管
平成12年(2000)4月28日指定


銅造誕生仏

 釈迦が生まれて7歩あゆみ、右手で天、左手で地を指さし「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん)といったという姿をかたどった誕生仏です。
 像高(ぞうこう)は15.1cmで、仏像本体と台座蓮肉部(だいざれんにくぶ)までを一鋳(いっちゅう)でつくっています。連肉部から下にのびるホゾで光背(こうはい)を留めていたと考えられますが、光背は失われ、台座も後世に補作されたものです。
 鉛を微量含む純度の高い銅製で、表面は水銀で塗金(ときん)をほどこしています。頭髪は塗金がほとんどないので彩色(さいしき)されていた可能性があります。
 頭髪は陰刻(いんこく)して渦巻き状にあらわし、髪際と眉も陰刻線で表現しています。耳は板状で耳朶(じだ)に穴を穿たず、目は杏仁(きょうにん)形、口唇は仰月(ぎょうげつ)形につくっています。
 両腕ともに肘をかるく曲げ、右腕は頭上にあげ、左腕を下げています。腹部はふくらみをもち、背筋は深くくぼんでいます。乳首と臍は打刻(だこく)で表されており、膝までを覆う裳(も)に幅の広い帯紐がつけられています。また台座連肉部分には連珠文風(れんじゅもんふう)にしべを打刻しています。
 杏仁形の目、仰月形の口唇、図式的な形状をもつ板状の耳と左右対称形の裳の衣文(えもん)の表現は、飛鳥時代(7世紀前期)の止利派(とりは)の様式に通じるもので、本像も7世紀ごろにつくられたと思われます。頭髪を渦巻状につくることや眉を陰刻線で表現することは、日本の古代彫刻では極めてまれですが、中国では北魏(ほくぎ)時代に多くの作例があり、本像の製作に,中国や朝鮮半島からの影響があった可能性が考えられます。
 本像は誕生仏としては比較的大型で、出来ばえも大変に優れてます。佐賀県内でも最古級の仏像として非常に貴重なものです。立花町西円蔵寺(たちばなちょうにしえんぞうじ)の妙顕寺(みょうけんじ)の所蔵品ですが、現在は佐賀市の佐賀県立博物館・美術館に保管されています。

※見学のお問い合わせは佐賀県立博物館・美術館TEL0952-24-3947まで。