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令和5年度当初予算編成方針


令和5年度当初予算編成方針
(2022年10月31日更新)

1 市の財政状況

 令和3年度一般会計決算は、前年度決算と比較して、歳入は地方交付税やふるさと応援基金寄附金が増加したものの、国・県支出金が減少した影響により9億5,312万円(△2.7%)の減、歳出は新型コロナウイルス感染症対策に伴う特別定額給付金の給付や園芸農業機械・施設等整備支援事業等の影響により13億8,017万円(△3.9%)の減と双方とも減少となり、実質収支額は7億2,171万円の黒字となった。

 歳入の根幹となる市税は、市内企業の増収等の影響による法人市民税の増などの影響により、対前年度比で3,345万円の増となり、ふるさと応援基金寄附金については、返礼品の拡充などの効果により寄附件数が増加し、対前年度比で6億6,134万円の増となった。

 財政指標については、普通会計ベースで、財政の弾力化を示す経常収支比率が84.0%(△6.9ポイント)と減少したほか、財政の健全度を示す実質公債費比率も9.6%(△2.7 ポイント)と減少する結果となり、改善の方向へ進んでいる。しかしながら今後も、東山代小学校・コミュニティセンター等複合施設の整備、東陵中校区小中一貫校等の整備や民間保育園の建設に伴う補助金などの普通建設事業に係る多額の地方債発行を予定していることから、将来的に実質公債費比率が悪化するおそれがある。
 また、社会保障関連経費をはじめとする義務的経費等の増加により、財政の硬直化が進行することが予測されるため、引き続き財政の健全化に努める必要がある。
 

2 予算編成の基本方針

  令和5年度の当初予算編成においては、政策事業計画の評価結果を反映するものとする。また、 国等の動向や市民ニーズ等には的確に対応することとし、本市の継続的な発展に向けた予算編成を行うものとする。
 財政運営の見通しについて、歳入の根幹となる市税は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響として個人所得や企業収益の大幅な増収が現時点では見込めないことから、前年度決算見込と比べて2億2,348万円減の67億6,515万円と推計している。地方交付税については、税収減に伴う基準財政収入額の減少を考慮し、前年度から2億9,804万円増の63億8,596万円と見込むが、歳入一般財源総額では前年度と比べて7億119万円減の158億1,403万円と推計した。
 一方、歳出については、社会保障関係経費などの義務的経費の増加が見込まれるほか、老朽化した各種公共施設の維持補修費、東山代小学校・コミュニティセンター等複合施設の整備などの普通建設事業費、さらには人口減少社会に対応した新たな行政課題に要する経費等も必要となることから、歳出一般財源総額を前年度決算見込より11億6,409万円増の176億7,931万円と推計した。
 しかしながら、歳出の財源は歳入一般財源を充当してもなお不足するため、財政調整基金、減債基金、公共施設整備基金、まちづくり基金のみならず、ふるさと応援基金にも多くを依存せざるを得ない状況となっている。
 このようなことから、全職員が本市の厳しい財政状況を十分に理解した上で、第6次伊万里市総合計画における各種施策の推進に当たり、令和2年10月に策定した第5次財政基盤安定化計画(R3~R7)に基づき、「選択と集中」や「スクラップアンドビルド」の考え方に、新たな工夫やカイゼンを加えるなど、さらなる強い信念を持って一丸となって最大限の努力を行うことで、 真に必要な事業の推進と財政の健全性を両立させるものとする。

 具体的な方針は次のとおりとする。

(1)ゼロベース予算の実施

 昨年度に引き続き、現行の事務事業を根本から洗い直し、既存の経費の見直しと支出の適正化をもってコストを削減した事業実施を目指すものとする。見積もる年間経費について、政策的事業は経営会議を経て決定した政策事業計画の評価を基礎とし、経常的事業は前年度現計予算(令和4年度12月補正後)以下として、いずれも実施の必要性を再検討すること。
 なお、予算編成の過程において、要求された事業(政策的事業を含む。)は、財政課で査定(歳入状況等を勘案し、経常的経費及び義務的経費のうち一部の費目については調整)を行う。 

(2)制度改正等に対する対応

 令和5年度の国の予算や地方財政計画等が未確定であるため、主に現行制度を前提とした予算編成とするが、当初予算案の決定までに制度の創設・改正等が明らかとなったものは、可能な限り予算編成に反映させるものとする。

(3)DX・GX推進に対する対応

 加速する少子高齢化や人口減少、新型コロナウイルス感染症などの様々な課題に加え、国連の持続可能な開発目標であるSDGs、デジタル技術の活用による産業構造の変化を進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)、脱炭素社会を実現するためのグリーントランスフォーメーション(GX)といった新たな時代への対応が求められている。
 このような社会経済状況の変化の波を捉え、市民ニーズの時流の変化に対応するため、新たな取組や見直しについて検討すること。

(4)内部努力の徹底

 全ての事業について、一層の経費削減に努めること。事業見直しを行う際は、廃止・縮小の影響を十分に考慮し、関係団体等に説明を行うなど、市民の理解を得るよう努めること。

(5)歳入の確保

 国・県支出金について、国や県の動向を踏まえた上で、他省庁の補助制度等を含めて積極的に活用し、財源確保に努めること。また、その他収入として各種財団、企業等の新たな助成制度に関して情報収集を行い、活用を検討するとともに、企業版ふるさと納税やガバメントクラウドファンディング等の資金調達方法についても検討すること。

(6)市債発行の抑制

 市債の発行は後年度に公債費(長期債元利償還金)の負担増につながり、財政の硬直化を招く要因ともなるため、原則として発行額を長期債償還元金以下に抑制するとともに、地方交付税措置がある起債を活用することで、実質公債費比率の逓減に努める。

(7)基金残高の確保

 ふるさと応援基金寄附金については、国における制度変更などにより先行きが不透明な状況にあるため、最低限必要な基金残高の維持に向けて取り組むとともに、枯渇が懸念される財政調整基金、減債基金の取崩しの抑制に努める。

(8)財政改革への取組み

 全職員が、本市の財政状況を十分に認識した上で、市民ニーズなど時流を的確に把握し、社会の変化に迅速に対応できるよう意識改革に努めるとともに、歳入(財源)確保と歳出削減を図るなど、全力を挙げて財政基盤の安定化に取り組む。