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市長雑感(第211号) 偽装からの脱却


偽装からの脱却

 今年も1ヶ月足らずと残りわずかとなりました。今年は、日本の社会の中でもいろんな出来事がありましたが、残念なことに不祥事が多発した年であったような気がします。
 金融不祥事、政治不祥事、官僚不祥事などは相変わらずですが、最近目立つのは企業不祥事であります。それも大企業や名門と謳われるような企業が名を連ねて不祥事が発覚し、経営トップが頭を下げて謝罪する光景が連日マスコミから報道されました。さらには絶対あってはいけない食品の安全安心に関わる偽装表示であります。それも老舗の食品、菓子メーカーによる製造年月日の改ざんや、産地偽装など組織ぐるみで意図的に隠ぺいするなど姑息なやり方です。
 
 こういう不祥事が発覚すれば企業の信用とブランドは一夜にして失墜し、当然売り上げは激減し、企業の経営破綻さえ招きます。こういう不正が分かれば危機に陥ることが分かっていながら、何故このようなことを行うのか不思議であります。

 企業としての倫理感、モラルの欠如と言えばそれまでですが、企業を担っているのは人であります。
 日本の企業は特に物づくりの分野においてはルールを守り、しかも勤勉な社員によって経済大国になってきました。そこには、企業として社員の雇用を安定させ、しかも人材育成をしながらそれぞれの会社や家族の恥にならないように職業人としての倫理感を培われながら成長してきました。
 しかし、最近の経営状況は利益優先のためなら手段を選ばないというか、「勝てば官軍」「稼ぐが勝ち」のような風潮があるような気がします。確かに企業利益の追求はもちろん大切ですが、利益という目先のことを追いかけるあまりに社員の会社への忠誠心は薄くなり、また内部告発も頻繁に行われるなど、全部がそうではないけれど、日本の企業社会の規範は崩れてしまっていると言えます。

 インターネットによる株や金融商品の取引で、短時間で数億円を稼ぐなどの異常なマネーゲームでも、それによって成功したした人を英雄としてみる社会に何の違和感も感じない日本社会になりつつあるようです。
 その大きな理由としては、評論家の言葉を借りれば「人間の欲には制限がないからだ」と指摘されています。
 貪欲が悪を生じさせるということであります。確かに人間には欲というのが誰にでも存在すると思いますが、大事なことは金儲けのために悪事をしてまでもその欲を抑えることができないか否かであると思います。これらの欲を人々が正常な判断で抑制しなければ真の意味での豊かな社会とは言えないのではないでしょうか。

 かつて日本が貧しかった時代には、自分の利益だけを追求しない、弱い人をいたわり助けあい手を差しのべる、強い人におべんちゃらを言わない、自分の受けた親切や援助を社会に恩返しをするといった行動規範が根付いていたと言われています。いわゆる「共助」「公助」の精神です。貧しくても正直で礼儀正しい、思いやりの社会が今こそ求められているのではないでしょうか。

 今年一年の世相を漢字一文字で清水寺の貫主さんが筆で書かれる行事ももうすぐですが、私はひょっとしたら「偽」ではないかと思います。偽装の「偽」、ありがたくない漢字ではありますが、早くこの一文字から脱却して、日本が品格のある社会を築く来年にすべきだと思います。

 

               平成19年12月   伊万里市長 塚 部 芳 和

 

連日の新聞のトップニュースは食品の偽装問題

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