本文にジャンプします
メニューにジャンプします

平成31年度当初予算編成方針


平成31年度当初予算編成方針
(2018年11月5日更新)

1 はじめに

(1)経済状況と国の動向

 我が国の経済は、緩やかな回復傾向にあるとされており、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されるが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとされている。また、相次いでいる自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
 このような中、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)で示された「新経済・財政再生計画」の枠組みの下、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組むこととされ、歳出全般にわたり、平成25年度予算から平成30年度予算までの安倍内閣の歳出改革の取り組みを強化するとともに、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化することとされている。

(2)地方財政

 総務省の概算要求において、地方の一般財源総額は、平成30年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準の確保をするとされている。地方交付税については、本来の役割が適切に発揮されるよう総額を確保するとともに、引き続き巨額の財源不足が生じる見込みであることから交付税率の引き上げについて要求されている。しかしながら、現時点では平成31年度の地方財政計画が示されていないことなどから、地方財政を取り巻く環境は不透明であり、地方の財政運営は依然として厳しい状況が続くことが予想される。
 また、佐賀県においては、平成30年9月に行った県財政の収支試算では、地方一般財源総額が実質的に確保されるものの、社会保障関係経費の増大などにより引き続き収支不足が発生する状況である。様々な財源対策を行うことにより、今後4年間の財政運営の目処は立っているものの、自主財源比率は低く、国の方針に大きな影響を受ける恐れがあるため、平成31年度当初予算編成においては、飛躍につながる事業を実施しながらも、スクラップアンドビルド、選択と集中による戦略的な財政運営に取り組むとともに、歳入確保対策を強化するなど、限りある経営資源を重点的・効果的に活用することを基本方針とすることとされている。

2 市の財政状況

 平成29年度一般会計決算は、前年度決算と比較して、ふるさと応援基金への寄附金やその募集事業の影響等により、歳入は7億3,998 万円(+2.8%)の増、歳出についても7億5,249 万円(+2.8%)の増と双方とも増加となり、実質収支額は2億7,546 万円の黒字となったものの、昨年度に引き続き財政調整基金の取り崩しを2億円行う結果となった。
 歳入の根幹となる市税は、法人市民税及び企業の設備投資に伴い固定資産税が増加したことにより、対前年度比1億3,338 万円の増となったが、平成28年度まで増加を続けていたふるさと応援寄附金については、総務大臣通知による返礼率の見直しの影響により減少する結果となった。 このように平成29年度決算の実質収支は黒字であるが、財政調整基金の取り崩しもあり、実質単年度収支は△3,369 万円という厳しい結果となった。
 財政指標については、普通会計ベースで経常収支比率が、94.4%(△1.1ポイント)、財政の健全度を示す実質公債費比率は16.0%(△0.2ポイント)とやや改善したものの、将来負担比率については91.3%(+2.5ポイント)の悪化となった。なお、経常収支比率や実質公債費比率は改善しているものの、全国的に見ても高い比率となっている。
 また、近年の酷暑に対応するため小・中学校へのエアコンの設置が急務となる一方で、老朽化した公共施設の大規模改修も並行して実施する必要に迫られていることから、地方債の借入が集中することにより、将来的に実質公債費比率が悪化する恐れがあるため、今後とも公債費負担適正化の取り組みを継続する必要があることに加え、今後、社会保障関連経費等の義務的経費及び繰出金等の増加による財政の硬直化がさらに進行することが予測されるため、これまで以上の財政健全化に努めることが必要である。

3 予算編成の基本方針

 平成31年度の予算編成においては、原則として、政策事業計画の評価結果を反映するものとする。また、国等の動向や市民ニーズ等には的確に対応することとし、本市の継続的な発展に向けた予算編成を行うものとする。
 財政運営の見通しについては、本年9月末に作成した平成31年度の一般財源の歳入見通しとして、歳入の根幹となる市税は、企業の設備投資が同水準で継続することが現時点で見込めないことから、前年度決算見込から約5千万円減の66億6,081万円と見込んでいる。また、地方交付税については、税収減に伴う基準財政収入額の減少及び西部広域環境組合の施設建設に対する起債の本格償還の開始等による基準財政需要額の増加を考慮し、前年度から約2億5千万円増の57億9,588 万円と見込み、歳入一般財源総額で前年度より約2億円増の155億2,564万円と推計した。
 一方、歳出では、義務的経費について社会保障関係経費、一部事務組合への負担金や他会計への繰出金の増加が見込まれる中で、老朽化した公共施設等の大規模な改修や人口減少社会に対応した新たな行政課題に要する経費も必要なことから、歳出一般財源は、前年度決算見込より約11億円増の172億5,584万円と推計しており、財政調整基金、減債基金、公共施設整備基金に加え、まちづくり基金、福祉基金等に依存せざるを得ない状況である。また、総務省指導によるふるさと応援寄附金の返礼率減少に伴い、ふるさと応援基金積立額の減少の恐れがある中、最低限必要な基金残高の確保に向けた取り組みを強化する必要がある。
 このようなことから、まずは全職員が本市の厳しい財政状況を十分に理解した上で、行政評価の考え方を基本とした成果重視、戦略的視点に立って、個々の事業について徹底的に見直し、真に必要な事業の推進と財政の健全性を両立させるため、一丸となって最大限の努力を行うものとする。
 具体的な方針は次のとおりとする。

(1)ゼロベース予算の実施

 現行の事務事業を根本から洗い直し、既定の経費の見直しと支出の適正化をもってコストのかからない事業実施を目指すものとする。
 見積もる年間経費は、政策的事業については経営戦略会議を経て決定した政策事業計画の評価を基礎に再度実施の必要性を検討し、要求すること。また、経常的事業については、今年度現計予算をベースとして年間経費を見積もり要求すること。

(2)制度改正等に対する対応

 国の予算、地方財政計画等が未確定であるので、原則として現行制度を前提として予算編成を行うものとするが、予算案決定までに制度の創設、改正等が明らかになったものについては、可能な限り当初予算の編成に反映させるものとする。なお、平成31年度に予定されている消費税率の引上げによる影響を見込み要求すること。

(3)内部努力の徹底

 全ての事業についてゼロベースから見直し、一層の削減に努めること。事業の見直しを行う際には、廃止・縮小の影響を十分に把握し、関係する団体等に考え方について説明を行うなど、市民の理解を得るよう努めること。

(4)市債借入の抑制

 市債については、原則として借入額を公債費の長期債償還元金以下に抑制することで、市債残高の圧縮並びに実質公債費比率のさらなる抑制に努めるものとする。

(5)基金残高の確保

 枯渇が懸念される財政調整基金、減債基金の取り崩しを極力抑えられるよう徹底した歳出削減に努めるとともに、経営計画に沿った基金残高の確保を図るものとする。

(6)財政改革への取組み

 国等の動向が不透明な中、財源確保の点から有効な制度活用など情報収集に積極的に努めるとともに、「第4次財政基盤安定化計画」の着実な遂行による財源確保と歳出削減に全職員が一丸となって取り組み財政の立て直しを図るものとする。